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法定停電|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

法定停電

自家用電気工作物(特別高圧、高圧受電)の年次点検は電気事業法第42条第1項における
保安規定を定めて、その内容について点検を実施しなければなりません。

また、その点検の内容は経済産業省の内規、自家用電気工作物保安管理規程により
実施するように平成21年11月に決まりました。
年次点検という言葉も以前は定期検査、年次点検、精密点検、停電検査、法定検査等
いろいろ言われてきましたが、
自家用電気工作物保安管理規程で年次点検と言い方も統一されました。

電気事業法の保安規程で、基本的には全館停電で点検をします。
ただし大きな設備によっては分割による停電でも点検作業をします。

全館停電の場合はバックアップ電源を確保しない限り、全ての電気設備は使用できません。

この停電に対してIT機器の対策

これに対して、何もしないとどうなるでしょう。

だいたい法定停電は夜間に行いますが、
企業では夜間でも電源が付きっぱなしになっているサーバーやPC、電話交換機があります。

これらの機器は急に電源が落ちるとデータが飛んでしまったり、
下記のような障害が起きてしまうことがあります。

    • 正常シャットダウン/立ち上げを行わなかったことによるシステム故障
    • 立ち上げ時、塵や埃による回路ショート
    • 電力復旧時の過電圧による機器故障

このような故障の際、専門家による復旧作業や機器の交換が必要となるため、
停電明けの業務に多大な影響が出てしまうことが予想されます。

ではどんな対策をするべきか?

代表的な対策として、停電バッテリーの活用が挙げられます。

多くの企業で「無停電電源装置(停電バッテリー)」を導入していると思いますが、
ここで一番注意すべき点は電力供給時間です。

実は簡易的な停電バッテリーでは、数分しか電力は供給されず、
長時間用のバッテリーも使用状況によっては1~2時間程度しか持たない場合もあります。

停電中にバッテリーが切れてしまうと意味を成しません。

ハードだけでなく、停電時の運用のマニュアルの作成をお勧めします。

これまでの内容を考えた上で、どのような対策を行えばいいかをご紹介します。

事前準備として

    • 正常シャットダウンが必要なものの、リスト化
    • シャットダウン、立ち上げ方法のマニュアル化
    • 機器、ソフト、システムの保守業者連絡先一覧表の作成

は必須と言えるでしょう。

そして法定停電の前日までに行う作業としては

    • 機器、ソフト、システムの正常シャットダウン
    • ファンなどの取り外し及び清掃

⇒これらは立ち上げ時、塵や埃による回路のショートを防ぐためです

    • ACアダプターの切り離し

⇒停電復旧時の加圧による機器故障を防ぐためです

    • 機器、ソフト、システムの正常立ち上げ
    • 運用試験

一番はこの対策を専門家へ依頼してしまう事ですが、費用もかかるのことですので、
しっかりした事前準備と万が一、起こってしまった時の対策を考えておく事が
被害を最小限に抑えることにつながることになると思います。

停電時運用マニュアルを作りましょう

その他家電・電気機器の停電対策について

家電などについて

〇時間予約機能が付いた家電
 停電により時間予約(ビデオ・留守番電話・電気炊飯器など)が
 働かなくなるものがあります。ご了承ください。

〇冷蔵庫・冷凍庫
 ドアーの開閉を控えたり、氷を冷蔵庫・冷凍庫に入れておくなど、
 庫内の保冷にご注意ください。

〇FAXなど精密電子機器
 ご使用中に停電になりますと、データが消えたり機器が故障してしまうことがあります。
 電源は停電時間前に切っておいて下さい。

 ※停電解消後にご使用の際は、ブレーカーを上げてからプラグを差し込んでください。

〇電熱機器
 アイロン・ドライヤー・炬燵・ストーブなどの電熱機器のプラグは、
 コンセントから抜くようにしてください。
 停電解消時の火災の原因にもなりかねませんので、外出時は特に注意してください。

〇回転機器
 電動工具などの回転機器は、停電解消時の事故の原因にもなりかねませんので、
 安全のため「手元スイッチ」を確実に切っておいて下さい。

〇水槽のエアポンプ等
 熱帯魚の水槽等エアポンプを使っている場合は、
 水中の酸素が保てるように魚をイケス等に分散していただくか、
 電池式エアポンプをご用意下さい。熱帯魚は水温にもご注意ください。

安全・医療類について

〇ご自宅の医療機器
 ご自宅で医療を受けられている方は、医療機関などに、ご相談下さい。

〇ガス漏れ警報器
 ガス漏れ警報器は、停電中は作動しません。

〇防犯システム
 作動しない場合があります。加入会社に停電時間をあらかじめ連絡してください。

〇照明の代用品
 照明代わりとして、ロウソクなどをご使用になる場合は、火災にご注意ください。
 懐中電灯等が良いと思います。

〇その他の代用燃料や発電機
 練炭や炭を燃料とした七輪、カセットコンロ、小型の発電機などを室内で使用すると、
 一酸化炭素中毒になる可能性があります。室内では使用しないで下さい。
 やむを得ず使用する場合には、十分に換気してください。

ビル・マンションでは

〇自動ドア・オートロック等
 ビルやマンションは、エレベーターや自動ドア、オートロック、
 立体駐車場などが稼働しなくなります。
 停電時間帯をあらかじめ確認し事前に使用を中止してください。
 また、水道水が一時的に出なくなることがありますので、汲み置きなどをお願いします。

くれぐれも、事前に停電日・停電時間帯の周知徹底をお忘れなく!

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