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ブレーカーが落ちた!!②|特定技能 ビルクリーニング
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
ブレーカーが落ちた!!②
契約アンペアの想定値を計算で求める方法
契約アンペアは、使用する電気機器の電流値を合算し、積み上げて算出できる「オール電化かガス併用か」「部屋の広さ」の2つが分かれば、計算によって算出出来ます。
ガスコンロ併用住宅の場合の契約アンペア計算式
(40×面積+2000)/1000=契約アンペア
80㎡の住宅で、ガスを併用した住宅の計算例
(40×80+2000)/1000=52→50A契約または60A契約。
オール電化住宅の場合の契約アンペア計算式
(60×面積+4000)/1000=契約アンペア
80㎡住宅 オール電化住宅の計算例
(60×80+4000)/1000=88→10KVA契約
部屋の大きさによって簡単に契約アンペアを算出出来ます。
電化製品の台数で積み上げて契約アンペアを想定する方法
前述している契約アンペアは、マンションや住宅の電気設備設計を行う際に、最大容量として算出するための計算式です。実際の契約においては、この数値よりも少なくすることが多いと考えられます。
下記に、代表的な家庭用電気機器の電流値を記載します。メーカー毎に若干数値が違う為、取扱説明書や機器貼付の仕様シールなどを確認すべきでしょう。家電製品を利用する時間帯毎に、A・B・Cの群に分けて計算してみました。
A群は24時間使用する電気機器、B群は運転時間が長い機器、C群は短時間運転する機器とします。
A群・24時間使用する電気機器
冷蔵庫(2A)、炊飯器の保温運転(0.5A)、電気ポットの保温運転(0.5A)が該当します。待機電力は無視して構いません。A群の電気機器は、常に電力を消費していると考えられます。
B群・運転時間が比較的長い電気機器
テレビ(2A)、エアコン(7A)、電気式床暖房・電気カーペット(10A)、照明器具(0.2A)などが該当します。
B群の電気機器は、計算上入れておくのが安全な電気機器です。テレビやエアコンを付けたまま料理や掃除などをするのは、日常的と考えられ、照明は日常的に点灯している電気機器と考えられます。
エアコンは、室温の調節が完了すると省エネルギー運転となりますが、設定値から外れると運転を再開します。いつ稼働するか分からない為、B群として計算するのが安全です。
C群・短時間運転する電気機器
掃除機(10A)、洗濯機(6A)、電子レンジ(14A)、アイロン(12A)、ドライヤー(12A)、IHクッキングヒーター(15A)、食洗機(12A)電気ポット沸騰運転(8A)炊飯器の炊飯運転(10A)などが該当します。
C群は、同時使用を考える必要があります。比較的大きな電気を使う家電製品がC群に該当します。C群の電気機器は、同時稼働するとブレーカーが落ちることがあるので、慎重な選定が必要です。
同時稼働する可能性があるものを列挙します。掃除機と洗濯機は同時に運転することがあると思いますが、アイロンと電子レンジが同時に運転することは考えにくいと思います。電子レンジと食洗機も、同時に使うことは少ないと思われます。
電子レンジとIHクッキングヒーターは同時に使用する可能性が高い機器です。ここで、思いもかけず電気ポットが沸騰運転を始めてしまい、同時使用になることも考えられます。
二人暮らし以上になると、IHクッキングヒーターを使用し、電子レンジを使っているところにドライヤーを同時に使用されてしまうなど、大きな電力が発生する可能性があります。
しかし、同時使用の可能性を考え過ぎると契約アンペアが際限なく上昇してしまい、電気の基本料金が割高になる為、同時使用をどこかで割り切るのも重要です。参考までに、一人暮らしの家庭でIHクッキングヒーターを持つ場合を計算してみましょう。
一人暮らしでIHクッキングヒーターを使う場合の計算式
冷蔵庫2A+炊飯器の炊飯運転10A+テレビ2A+エアコン7A+IHクッキングヒーター15A+電子レンジ12A=48A
よって50A以上の契約としなければ停電の恐れがある、ということが分かります。さらに二人暮らし以上の場合であれば、C群のドライヤーなどを追加しておけば、不慮の停電を予防出来ます。契約アンペア数を上げると基本料金が高くなりますが、過度に節約を追い求めてしまうと、我慢を強要される不便な生活となる為、生活水準を下げないラインを判断するのが大切でしょう。
お得なナイト8・10契約(東京電力)
夜間蓄積の機器を多く設置していたり、夜間しか自宅にいなかったりという生活スタイルの場合、電力会社の契約メニューを変更することによって光熱費を削減出来る可能性があります。
東京電力の提供するメニューを紹介します。「おトクなナイト8」では夜間8時間「おトクなナイト10」は夜間10時間が1KWhあたり10円程度という、非常に安い単価で電気を利用出来ます。東京電力以外の電力会社でも、名称は違いますが同様のメニューを各社で用意しています。
昼間料金は常に30円を超える高単価契約になる為、昼間に家をあけることが多く、夜~深夜にかけて電気を使うことが多い家庭に向いたメニューと言えます。基本料金は6KVA、(60A同等)からの契約が最小なので、電気温水器やIHクッキングヒーターなど、大きな電気機器を多数使用している家庭でなければ、基本料金が大きくなりメリットが生まれません。
一人暮らしで20A~30Aのアンペア契約をしているような場合、従量電灯契約と比較して、基本料金が800円以上も高くなる為注意が必要です。
太陽光発電の利用による節電
オール電化を使用した契約では、夜間電力が従量電灯の1/3程度まで安くなります。その反面、昼間電力は30円を超える料金単価となる為、昼間電力を大きく使用する生活スタイルには向きません。これを解消するため太陽光発電システムを併用し、昼間電力を太陽光でまかなえるならば、昼間電力を買わない生活スタイルが作り出せます。
まだまだ太陽光発電の単価が高いので設置する家庭は少ないのが現状ですが、今後製造単価・工事単価が下がってくれば十分にメリットがあるシステムと言えるでしょう。
業務施設における契約電力の算出
高圧受電の業務施設の場合、基本料金が1KWあたり1,600円前後になる為、契約電力の設定は慎重に行う必要があります。契約電力を概算する場合、下記の計算を行うことで、契約電力の想定値を算出出来ます。
- 最初の50KVA×0.8+次の50KVA×0.7+次の200KVA×0.6+次の300KVA×0.5+600KVAを超える部分×0.4=契約電力KW
- 変圧器容量50KVA:50×0.8=40KW
- 変圧器容量200KVA:50×0.8+50×0.7+100×0.6=135KW
この数値は概算であり、工場などで大きな変動を伴う特殊負荷がある場合に、そのまま適用するのは危険です。負荷設備の突入電流が大きい為、大容量の変圧器を使う必要も考えられるので、概算値が適切であるか専門的な知見からの判断が重要です。
ブレーカーを落とさぬように上手く契約アンペアを運用しましょう。