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ショート!③|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

ショート!③

高圧ケーブル末端の短絡電流算出

短絡電流は下記の計算式で求められます。

・(Pa×10^3/(√3×Va×10^3))×(100/%Z)

PaはKVA単位であり、10[MVA]を10000KVAに変換して計算します。
%Z=10.5849%を使用します。Vaは基準電圧であり、6.6[kv]を使います。

・短絡電流Imo=(10000×1000/(√3×6.6×1000))×(100/10.5849)=8264.35→8.27[KA]

これで、高圧ケーブル末端における短絡電流は、8.27[㎄]であることが確認出来ます。

変圧器二次側の短絡電流算出

変圧器二次側の短絡電流は、線路のインピーダンスだけでなく、
変圧器容量と変圧器の%インピーダンスに左右されます。

ここで、3Φ3W6600V/210V500kvAの変圧器について、短絡電流値を計算します。%インピーダンスは4%とします。

変圧器メーカーの技術資料やカタログに、%インピーダンス値が記載されているので、
実務ではこれらの数値を使用するのが良いでしょう。

変圧器のインピーダンスは、10[MVA]ベースを実容量に換算します。
%インピーダンスを4%としたので、これを使用して計算します。
500KVAの変圧器であり、単位を統一して0.5[MVA]とします。

・%ZT=4%×10[MVA]/0.5[MVA]=80%

受電点+線路のインピーダンスは10.5849%、
変圧器のインピーダンスは80%となるため、合算すると90.5849%となります。

Pa×10^3/(√3×Va×10^3)×100/%Zで短絡電流を求めます。
Paは同じく10[MVA]であり10000KVAに変換します。
低圧側の計算であり、Vaは6.6[kv]ではなく0.21[kv]使用します。

・10000×1000/(√3×0.21×1000)×(100/90.5849)=30350A→30.5[㎄]

変圧器二次側が30.5[㎄]ということが判明したので、
配線盤遮断器の遮断容量は、50[㎄]の製品とします。

実務では、多くの遮断器や変圧器があるので、
これを一枚の系統図にした「インピーダンスマップ」を作成します。
インピーダンスマップにより、系統全ての短絡電流が分かり、
それぞれの場所に設置する遮断器の遮断容量等を、計画出来ます。

変圧器二次側の短絡電流計算

短絡によるモーターコントリビューション

インバーターを持たない単純な電動機(換気ファンなど)が設置されている系統で、
電動機運転中に電源側が短絡事故を起こすと、
電動機への電源供給がストップし、
電動機は惰性運転を行い摩擦・回生など各種抵抗によってブレーキが発生し、
最終的に停止に至ります。

この惰性運転をしている間、電動機の回転によって起動力が発生し、
電動機が発電機のように電力を生み出し、
短絡地点に電流を流してしまう現象を、モーターコントリビューションと呼びます。

モーターコントリビューションによって加算される電流値は、電動機の容量に比例します。
変圧器に接続されている電動機の台数と容量が分かれば、実負荷の計算が出来ますが、
設計初期段階では詳細な機械選定が終わっていないことが多いため、
動力変圧器の容量を電動機容量として計算します。

変圧器容量が大きな場合、計算値が過大に算出されることがあるため、
変圧器容量の80%を電動機容量として計算するのが妥当だと思います。

600V未満の誘導電動機の場合、
%インピーダンスを20%として計算し、短絡電流の増分として割増します。
一般的には、動力変圧器容量の3~4倍程度の電流が短絡電流に加算されて、
事故点に流れ込みます。

短絡(ショート)事故は恐ろしいものです!十分注意しましょう。

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