<> コラム

契約電力|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

契約電力

電力会社と結んでいる契約の中身をご存知でしょうか。

実際に調べてみると、
どうしてこんなに複雑で分かりにくい料金体系になっているのか
呆れてしまうほど厄介です。

とは言え、大まかにでも理解しておかないと、
電気料金を抑えるための効果的な対策を打つことは出来ません。
いくら頑張って節電に取り組んでも、一時的に使用量が増えてしまうと、
高い料金を払い続けなければならないケースもあります。

電気料金を安くするためには、まず基本的な計算方法をつかんでおく必要があります。
どの電力会社の契約メニューでも、計算方法は同じです。

「基本料金」+「電力量料金」+「賦課金」の3種類で決まります。

 

電気料金の計算方法

基本料金は月額固定ですが、
電力量料金と賦課金は毎月の使用量に単価を掛け合わせて計算します。

一見すると簡単な計算式ですが、基本料金と単価の決め方が非常に複雑になっています。
基本料金を安く出来る方法を解説しましょう。

基本料金は「契約電力」の大きさで決まります。

企業や家庭が電力会社と結ぶ契約メニューは何種類もあって、
それぞれで基本料金に違いがあります。
どの契約メニューが適用されているかを確認することが第一歩になります。

共通する原則は「契約電力を下げれば、基本料金は安くなる」ということです。
電力会社は全国10地域に分かれていますが、
どの電力会社でも契約メニューは4つの区分に集約出来ます。

使用量が多い順に「特別高圧」「高圧大口」「高圧小口」「低圧」の4区分です。
このうち「低圧」は家庭や店舗、小規模な事務所や工場が対象で、
その他は企業や大規模な施設向けのメニューになります。

 

電力会社と結ぶ契約の主なメニュー種別

どのタイプの契約メニューでも、利用出来る電力の上限を「契約電力」として設定出来ます。
この契約電力の大きさで基本料金が決まります。

一番分かりやすいのは家庭の場合で、
家の中に設置されているブレーカーが契約電力を超えてしまうと、
スイッチが落ちて電気を遮断する仕掛けになっています。

家庭向けの契約電力は通常「アンペア(A)」を単位にして決めています。
最低10Aからから60Aまであって、それぞれで基本料金は固定で、
契約電力のアンペアを下げれば、基本料金は安くなる仕組みになっています。

 

家庭に設置されているブレーカーの色と基本料金

一般の家庭では電圧を100V(ボルト)で使うことが多く、
60Aの場合の電力の上限は6000W(6KW)になります。

一時的に大きな電力を使わないように気を付ければ、
低めのアンペアのブレーカーに変えても支障はないでしょう。
大抵の家庭は余裕のあるアンペアになっています。

※夏に使用量が増えると冬の基本料金も高くなります。

これに対してオフィスビルに多い高圧小口の契約では、
実際に使った電力の最大値が契約電力になります。

多く使えば使うほど契約電力が大きくなって、それに応じて基本料金が上がっていきます。
「実量値契約」と呼ばれるもので、これがくせ者です。

電力の最大値は30分間の平均使用量をもとに、月毎に最大値が決まります。
ただし契約電力は毎月変わる訳ではなく、
過去12ヶ月の中から最大の月を選ぶことになっています。

夏に上昇した契約電力も冬も継続されてしまうのです。
それに応じて基本料金も高いままになるのです。

実量値契約に注意

「実量値契約」による契約電力の決め方

わずか30分間だけ大量の電力を使ってしまうと、
その後の1年間は高い基本料金が続くことになります。

この仕組みを知らずに高額の基本料金を払い続けている企業は少なくないようです。

夏の昼間に使用する電力を抑えることで、電力使用量のピークを抑えることが出来れば、
その後の12ヶ月間の基本料金が安くなります。
夏のピークカットは電力不足の解消に貢献するだけでなく、
基本料金を引き下げる効果もあるのです。

現在の契約電力が何KWになっているかは、
電力会社から毎月送られてくる請求書を見れば分かります。

実量値契約の請求書には、現在の契約電力と当月の最大値が記載されているはずです。

更に電力会社によっては最近12ヶ月の最大値も記載しています。
毎月の最大値の増減が小さければ問題はありませんが、
極端に大きい月がある場合は基本料金を引き下げる余地があります。

この他にも契約電力の決め方は何種類かあって、
高圧か低圧かによっても適用出来る契約方法に制限があります。

 

テナント契約の電気料金にも要注意

ここまで説明した料金体系が当てはまらないケースもあります。
ビルのテナントになっていて、電気料金もビルの管理会社から請求される場合です。

テナント契約の場合は基本料金が無くて、
使用量に応じた電力料金だけになっているケースが多くあります。
使用量×単価できまるのですが、管理費などを加えて単価が高く設定されています。

ビルの規模や設備によって状況は違いますが、
大規模なビルで1KWhあたりの単価が20円以上、
中・小規模のビルで30円以上の場合は、電力会社の単価が2倍以上になっています。

ビルの管理会社が割高に設定しているメニューを確認して、
単価の妥当性を検証してみる必要があります。

テナント契約では電力会社との直接契約にならないので
電気料金の値上げや値下げの影響が分かりにくいものです。
その点で注意すべきはビルの管理会社による過剰な便乗値上げです。

それに合わせてビルの管理会社がテナントに請求する単価を引き上げることは
十分に予想されます。

ビルの管理会社から電気料金の単価を引き上げると通告された場合には、
詳しい説明を求めましょう。

厚生労働省HPの特定技能ビルクリーニングはこちら
ビルクリーニングの目次はこちら