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変圧器(トランス)|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

変圧器(トランス)

発電所で作られた電気は交流電流で送られています。
一般家庭に送られて来るまでには、
変圧器で送電や配線の途中で電圧を上げたり下げたりしています。

交流の電圧を昇圧、降圧するための電気機器が変圧器(トランス)というものです。

「強電」で使われている変圧器は、電柱の上にある柱上変圧器などがあります。
柱上変圧器は6000Vなどの高圧を、
家庭で使うような100Vや200Vに変圧しています。

変圧器は「弱電」の電気回路にも、とても多く使われています。
電気製品などは、交流コンセントから電源を得ていますが、
電気製品の中には小さな変圧器(トランス)を使って電圧を下げて使っています。

洗濯機のモーターなどは、交流のままで使いますが、
電気製品の多くは、中で電圧を下げてから、「直流」に変換して使っています。

送電と変圧器

変圧器の原理は相互誘導作用

電磁誘導により、コイルに誘導電流が発生します。
磁石の出し入れにより、コイルが受ける磁界の強さが変化します。
この磁界の強さが変化することにより、コイルの電磁誘導作用による起電力が発生します。

 

  • 磁石の出し入れにより、磁界が変化し電磁誘導により、変圧器の一次コイルが変化します。
  • 誘導起電力が発生するコイルで、電磁誘導により変圧器の二次コイルが変化します。
  • 変圧器では、一次コイルを交流電源に接続することで、磁界の大きさが変化します。
    この現象は、磁石の出し入れによる磁界の変化(電磁誘導)と同じことになります。

相互誘導作用:一次コイルの磁界を変化させることにより、
電源を持たない二次コイルに起電力が発生すること現象のことを言います。

変圧器の原理は、相互誘導作用を利用したものです。

 

変圧器の説明

一次コイルの巻き数をN1N1、二次コイルの巻き数N2N2とした場合
一次コイルにE1E1の電圧を加えると、二次コイルにE2E2の電圧が発生します。

電圧E1、E2E1、E2の大きさは、
一次コイル、二次コイルそれぞれの巻き数に比例します。

電流I1、I2I1、I2の大きさは、
一次コイル、二次コイルそれぞれの巻き数に反比例します。

ただし、電力は一定ですから、変圧器の使用電圧と電流は決まっていて、
二次コイル側の両者の積を変圧器の定格容量といいます。

実際の変圧器は内部にわずかながらの損失が発生します。

 

変圧器の鉄心を成層鉄心で作る理由

変圧器は磁束の変化で誘導起電力を発生させて利用していますが、
実は渦(うず)電流が鉄心にも流れてしまいます。これが熱になって損失になります。
特に電力系の変圧器では、渦(うず)電流損による発熱ロスが大きくなってしまいます。

そこで、このうず電流を少なくするために、
鉄心を薄く切ってそれぞれの堺を絶縁して抵抗を大きくして、
成層鉄心にする事で損失を少なくしています。

過電流は磁束と垂直方向、つまり鉄心の断面方向に発生します。
そのため、薄い鉄板を何枚も重ねた成層鉄心にすることで、
過電流を抑えるようにしています。

また、過電流を防止するためには、無理な負荷を掛けないこと、
定格以上の機器・設備を設置しないことが大切です。

海外で電気製品を使用する場合は?

日本の一般家庭の電圧(電気コンセントの電圧)は通常100V
(世界で最も低い家庭用電圧と言われています)となっています。

ところが、海外では、各国で電圧が異なり、
同じ国でも地域によって電圧が異なる場合があります。

日本の100V電圧対応の電気製品を電圧の高い海外(例えば240Vの国)で、
そのまま電気コンセントに接続し使用した場合、
電気製品が破損してしまう恐れがあります。

電気製品の破損を防ぎ、支障なく使用するには、
電気コンセントからの電圧を電気製品に合った電圧に交換しなければならず、
このため変圧器が必要となります。

尚、電気製品の対応電圧が100V~240V等全世界対応の場合、変圧器は不要です。

定格電流・定格電圧を遵守して、過度の負荷をかけないように心掛けましょう。

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