会社設立(株式会社・一般社団法人)の定款認証と設立登記について(ノウハウ・注意点付き)

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有
               

会社設立(株式会社・一般社団法人)の定款認証と設立登記について(ノウハウ・注意点付き)

会社設立の流れのなかで定款認証について触れましたが
このページでは、その後の
設立登記まで説明します。

注意事項(ノウハウ)

① 印鑑の3種の準備は、思ったよりかかるので、できるだけ急ぐこと。
② 定款認証の後に、資本金の払い込みを行うこと。
③ 印鑑届出書の司法書士の名前の横の(注3)は、司法書士の印なので注意。
④ 定款認証の際に、定款と委任状との間で発起人の実印で割り印を受けること。
⑤ 定款認証について、公証役場の独自ルールがあるので、
 公証役場に電話して確認したほうがいいです。
⑥委任状には、上に捨印を貰うこと。

準備(決定事項・必要書類) 

準備すべきもの

① 代表取締役(=発起人)の個人実印
② ①の印鑑証明書 2通
(発起人以外の取締役がいる場合は、その人数毎に必要です。
2部でいいのですが、万が一を考えて、一応弊所では3部用意してもらっています。)

③ 会社印(通常は、代表者印、銀行印、角印)

----(時期的な隔たり)----

④ 払い込み
(出資金というやつです。これは、必ず定款認証後である必要があります。)

決定すべきもの

① 会社の名称(商号) → なんでもいいですが、結構考えた方がいいです
             弊所得意の商標も検討したほうがいいです
② 会社の住所     → 最初は自宅で十分です
③ 発行可能株式数   → ⑦資本金の30倍ぐらいがいいと思います
④ 株式の譲渡制限の有無→ 譲渡制限を付けるのが普通
⑤ 取締役の構成    → いろいろ面倒なので、取締役一人がお勧め
⑥ 取締役会を設置するか、
  監査役を設置するか → いろいろ面倒なので、取締役会、監査役を設置しないのがお勧め
⑦ 資本金の額     → いくらでもいいですが、300万円ぐらいあると舐められない
⑧ 会社の目的     → 広めに書きましょう。 ただ、やりすぎないこと
              重要な文言(許認可の関係)を落とさないこと

特に決定すべきもの:会社の「目的」
このサイトを利用して目的を決めると楽である

会社設立 実印作成から登記までフロー

まずは法人実印の作成 

法人実印だけでも設立は可能ですが、
今後、事業を営んでいくことを考えると下記3種類の作成をお勧めします。
角印、代表者印、銀行印とは!|契約の教科書

①法人(会社)実印/代表者印
会社の正式な印鑑なので、一番重要な印鑑です。
設立登記や、設立後の業務上の契約書等に法人を代表して捺印することから
代表者印とも呼ばれています。

②銀行印
法人の商号入りの銀行口座をつくる際に用いる印鑑ですが
法人印と銀行印の兼用は避けた方が良いです。
万が一盗難の被害にあった場合に偽造されるリスクが非常に高くなるからです。

③角印
請求書や領収書等、日常的な実務に用いられる書類に押印する印鑑です。

法人実印だけでも事業は営めますが、事業を営むと書類のやり取りの際には
便利なゴム製の住所印、一般に横版と言われるものも作成しておくと
郵便物や書類に手書きをする手間が省けて便利です。

その他、個人の印鑑が必要になります。
まだ作成していない場合、個人の印鑑を作成し、印鑑登録をしておきましょう。

定款の認証を受ける

定款の作成

定款とは、会社のルールを決めた規則集のことで、“会社の憲法”とも呼ばれます。
定款の記載内容は、基本的には自由に決められますが、

    • 目的(会社の事業目的)
    • 商号(社名)
    • 本店所在地
    • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
    • 発起人の氏名または名称及びその住所

の5つは必ず記載しなければなりません。
インターネット上にひな形もありますので、それを用いても問題ありません。

しかし、会社設立後に許認可を申請したり、融資を受けたりする場合には
定款の記載も審査されることになります。
事業を営むうえでも、しっかりと練られた定款を持っている会社は社会的信用性が高まります。
定款を作成する際には、未来のことも見据え作成するべきでしょう。

定款は3通(公証役場保存用、会社保存用、登記申請用の謄本)用意します。

発起人全員の印鑑証明書の取得

発起人、つまり、設立時の株主全員の印鑑証明書を準備します。
定款認証においては1通あれば足りますが、取締役に就任する人は2通取得します。
1通は定款認証、もう1通は登記申請の際に必要になります。

公証役場で認証を受ける1(事前ファックス)

複数の公証人がいる場合は、公証役場に現実に行ける日などを見て、その日にいる公証人に頼みましょう。
電話して、必要事項を聞きましょう。
一般には、

① 定款案
② 発起人からの行政書士への委任状
(過去に、①とこの②との間で、発起人の割り印を
又は、委任状に定款の内容を記載して特定できることを要求されたことあり)
③ 発起人全員の印鑑証明書
④ 支配株主の紙
⑤ 第三者(発起人を含む)への再委任状

をFAXします。
前もって、電話して確認すべきです。

公証役場で認証を受ける2(マニュアル)

定款電子認証マニュアル

公証役場で認証を受ける3(電子認証)

定款案については、法務省から提供される電子認証システムを使って、定款のみを電子認証をしてお送りします。
この時、認証してもらう公証人も選ぶ必要があります。

なお、本人(又は、行政書士の補助者など)が委任状下記の3で受ける場合には、
代理人である行政書士がさらに、本人に委任状を発行して、これに対して電子認証して
送る必要があります。ただ、これは電子認証は必要ですが、電子メールで許されています。

また、実質的支配者に関する署名も、この時送ってしまうと楽です。
この時も、電子認証して、電子メールで送ることが可能です。

電子メールのメールアドレスは、公証人のWebページに乗っています。

その後、公証人役場で認証された定款を受け取りに行きますが
その時の持参資料は

・実質的支配者となるべきも者の申告書
・運転免許証等の本人確認書類
・発起人全員分印鑑証明書
・袋とじにして契印した委任状+紙定款
・現金約5万2千円
・復代理人委任状(事務所の誰かが持っていく場合)

公証役場で認証を受ける4(公証役場に現実に行って受領)

定款が作成できたら、公証役場で定款認証を受けます。
持参する物は

    • 定款3通
    • 発起人全員の印鑑証明書
    • 収入印紙4万円
    • 現金約5万2千円(認証手数料5万円、謄本請求費用約2千円)
    • 発起人全員の個人実印
    • 運転免許証等の本人確認書類
    • 代理人を用いる場合は、委任状(上記の、「公証役場で認証を受ける2(電子認証)」も参照)

の7つです。
以上は紙の定款を用いた認証方法ですが、電子認証にすると③の収入印紙4万円が不要になります。
もっとも、電子認証のためには専用のソフトと知識が必要になります。

設立登記

定款の認証が完了したら、登記の手続きに移ります。
登記が完了してはじめて株式会社の設立となります。

出資の履行(資本金の払い込み)

まずは資本金の払い込みです。
これは、代表者の個人口座への振込により行います。
この払い込みは、定款認証の翌日以降に行う必要があります。

資本金の払い込みが完了したら、

通帳の表紙を1枚めくったページ(銀行名、支店名、口座種類、口座番号、名義人が乗ったページ)、
振込が記帳されているページ

をコピーします。

登記申請に必要な書類の準備

①払込証明書
払込があったこと証する書面を作成し、法人実印を押印します。
これと、前述の通帳コピーをホチキスでとじこみます。
順番は払込証明書→通帳の表紙→通帳の表紙を1枚めくった振込記帳頁の順です。

②役員の就任承諾書
設立時の取締役・代表取締役・監査役につき、それぞれ就任承諾が必要になります。
基本的に、役員個人の実印で押印します。

③発起人の決定書
会社の住所を決定したことを証明する書面です。
通常、定款には本店所在地として最小行政区画までしか記載しません。
そのため、この書面で本店所在場所を明確にします。
また、公告方法で電子公告を定めている場合は、あわせてサイトのアドレスも記載します。

④印鑑届出書
会社実印を届け出る書面です。

⑤役員の印鑑証明
定款認証の際は株主全員分が必要でしたが、登記申請においては役員全員分となります。

⑥印鑑カード交付申請書
会社の印鑑証明書を発行するために必要な印鑑カードの交付を申請するものです。

⑥登記申請書
決まった様式に、定款で決めた会社の概要を記載します。
OCR用申請用紙を用いる必要があるのですが、
テキストデータで作成し、CD-Rやフロッピーディスクで用意するのがお勧めです。

登記申請

ここまで用意できたら、法務局にて株式会社の設立登記申請を行います。
持参すべき物は

① 登記申請書
② 登録免許税納付用台紙
③ OCR用紙又はCD-R、フロッピーディスク
④ 認証済みの定款
⑤ 発起人の決定書
⑥ 役員の就任承諾書
⑦ 役員の印鑑証明書
⑧ 払込証明書
⑨ 印鑑届出書
⑩ 印鑑カード交付申請書

になります。
ただし、役員の構成や出資方法(金銭か、現物出資か)等により異なる場合があります。

まとめ

会社を設立するためには、定款認証と登記申請を行う必要がありますが、
いずれも、自分でやろうと思うとなかなか大変です。
とくに、定款の作成にあたっては、設立後も見据えた長期的な目線で作成する必要がありますが、
これには専門知識が不可欠です。
専門家へ依頼することもご検討ください。
弊所も当然、会社設立は承っています。

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©行政書士 植村総合事務所 所長弁理士 植村貴昭

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