使い方次第です!意匠出願(意匠申請・意匠権・意匠登録)の使い道!

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有
               

使い方次第です!意匠出願(意匠申請・意匠権・意匠登録)の使い道!

特許・実用新案・意匠の違い(どれを選択すべきか)もご参照ください。

使えない子なのか?

意匠については、少し前まで、意匠を専門にしている弁理士はいないといわれていました。
特許(実用新案)、商標は専門にしている弁理士はいるにもかかわらずです。

その理由は、意匠の出願の数も少ないですし、
専門にするほど権利も強くなく、
さらに、専門家でない弁理士であっても、それなりにちゃんとした権利をとれたからです。

しかしながら、私は
使い方次第で、意匠は使える子にもなれる!と断言します。

意匠は使える子にもなれる!

(1)権利化が早い

出願から早ければ半年程度、遅くても1.5年程度で権利になるのです。
特許のように、とても長い時間待たされるということもそれほどありません。

これによって、
いち早く侵害者に対応が可能になります!
(ただし、実用新案の2~3カ月にはかないません)

(2)費用が安い!

特許と同様に、審査はあります。
しかし、特許の様に拒絶理由通知が来る確率がほぼ100%ということはないです。
むしろ、7割ほどは、拒絶理由通知がなく登録されると思います。
その分、費用も安く済みます。もちろん、その場合半年程度で登録になると思います。

拒絶理由通知がなければ、通常、トータルで15~20万円程度です。
拒絶理由通知があれば、高くなりますが、
それでも、30~35万円程度もあれば登録まで行くことができます。

特許と比べても圧倒的に安いのは当然ですし、
さらに、実用新案よりも費用が安く済む可能性が高いということです。

(3)権利化しやすい!

意匠は特許などに比べると、先ほども言ったように拒絶理由通知が来る可能性が低いです。
つまり簡単に、登録になる(権利化できる)ということです。

それは、実は権利の範囲が狭いということになるのですが・・・・。
このことは、次の「(4)権利を振り回しやすい!」と関係します。

(4)権利を振り回しやすい!

あまり良い言い方ではないですが、
中小企業・ベンチャー企業では、権利を振り回して競合に対応していくべきです。

この辺りは、このページを参照ください。
このページは、特許に関することですが、この考え方は意匠でも似たようなことが言えます。

具体的には、意匠は(3)のように、比較的簡単に登録になります。

しかし、その権利の範囲は、実はとてもあいまいなのです。
なぜなら、意匠は図面に現れたそのものずばりではなく、
「類似」の範囲にも権利範囲が及びます。

この「類似」というのが、くせ者です。
何と何が似ているか否かは、いろいろな理論がありますが、
かなり、主観に依存します。

結局は、訴訟になって裁判官が最終的に似ていると思えば、類似ですし、
似ていないと思えば非類似になるのです。
意匠の類似性

それって、それまでは、誰も、はっきりと類似・非類似を断言できないということです。
その裁判官にしても、次の日は異なる判断になることも十分にあり得るということです。

この曖昧さは、予測を困難(不可能)にします。

そうなると、意匠権を提示されて意匠権侵害だといわれた相手としては、
その意匠権者の侵害だという主張に対して、確定的に非類似だと言い切れないのです。

当然、専門家である我々弁理士もある程度、類似だと思う、非類似だと思う
という程度でしか判断できません。
(特許・意匠では、我々弁理士はかなり高い確率で判断できるのと、対照的です。)

つまり、意匠権はこのページでの出願中の状況を、
権利化した後も維持できるということなのです。

この不透明な状況をうまく振り回すのです。

ただ、本当は、意匠は実は権利範囲が狭いので、類似で本当に争うと負けるかもしれまん。
しかし、権利を振り回して、競合会社をけん制するだけであれば十分なのです。

(5)権利期間が長い!

意匠の権利期間は、登録から20年です。
特許は出願から20年ですので、特許よりも長いです。
実用新案は、出願から10年ですので、実用新案よりも長いです。

永久権といわれ、更新が可能な商標から見ると短いですが、
十分に長いです。

以上の様に、意匠権も、使い方次第で、
うまく使える場合があり、出願人の戦略次第では、
ベストな選択になる場合があり得ます。

関連ページ

特許庁の意匠に関する説明のページ

©弁理士 植村総合事務所 所長弁理士 植村貴昭

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