速報14 外国人のビザ|「単純労働」の緩和 ~法案衆院通過・改正法律案の全貌公開~
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
注1:職業紹介は植村貴昭が行います (屋号:日本海外人材支援機構) 注2:特定技能の登録支援は 一社)日本海外人材支援機構が行います |
速報14 外国人のビザ|「単純労働」の緩和
~法案衆院通過・改正法律案の全貌公開~
改正法案が衆議院を通過
臨時国会の最重要法案と位置付けられていた出入国管理法改正案は27日、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決し、参院に送付された。 「入管法改正案、衆院で可決 外国人労働者の受け入れ増目指す」朝日新聞デジタル
いよいよ「改正法案」が衆議院を通過し、参議院へ送付されました。
改正法案の全貌が公開
「出入国在留管理庁」の新設と長官の権限
法務省のホームページで、現在の臨時国会にて審議がなされている改正法律案が公開されました。
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案
これまでも報道されてきた「出入国在留管理庁」や在留資格「特定技能」が、法律案に明記されています。
そして、「出入国在留管理庁」のトップは「出入国在留管理庁長官」ですが、ほぼすべての条文において、法務大臣の権限だったものが、長官に委任されていることが分かります。
このことで、入管の業務体制はどのように変化していくのでしょうか。
なお、入国管理法の改正案提出の理由は、つぎのとおりです。
人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受入れを図るため、 当該技能を有する外国人に係る新たな在留資格に係る制度を設け、 その運用に関する基本方針及び分野別運用方針の策定、当該外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約並びに当該機関が当該外国人に対して行う支援等に関する規定を整備するほか、 外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を総合的に推進するため、 法務省の外局として出入国在留管理庁を新設する必要がある。 これが、この法律案を提出する理由である。 法務省HPより
「特定技能」の対象職種は?
また法第2条の3は、「政府は、特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針を定めなければならない」と規定しており、この基本方針の内容は、同条第1号乃至5号において、ある程度具体化されています。
法第2条の3第2項(特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針) 第1号:特定技能の在留資格に係る制度の意義に関する事項 第2号:人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に関する基本的な事項 第3号:前号の産業上の分野において求められる人材に関する基本的な事項 第4号:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する関係行政機関の事務の調整に関する基本的な事項 第5号:前各号に掲げるもののほか、特定技能の在留資格に係る制度の運用位に関する重要事項
そして、この基本方針は、閣議決定を経なければなりません(同条3項)。
さらに、「法務大臣は、基本方針にのっとり、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(…)における特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用をはかるため、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針を定めなければならない」(2条の4)とも規定がなされています。
法第2条の4第2項(特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する分野別の方針) 第1号:当該分野別運用方針において定める人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野
こちらの方針の内容も、議院内閣制の趣旨はさておき、実際上は「国会の蚊帳の外」にあるわけです。どの分野で、特定技能の制度を実施するか、いつ決まるのでしょう。
「特定技能」外国人との雇用契約の内容は?
在留資格「特定技能」によって、日本に在留する予定となる外国の方は、日本の機関と雇用契約を締結することが予想されます。
第2条の5(特定技能雇用契約等) (…)本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約は、次に掲げる事項が適切に定められているものとして法務省令で定める基準に適合するものでなければならない。 同条第1号:特定技能雇用契約に基づいて当該外国人が行う当該活動の内容及びこれに対する報酬その他の雇用関係に関する事項 同条第2号:前号に掲げるもののほか、特定技能雇用契約の期間が満了した外国人の出国を確保するための措置その他当該外国人の適正な在留に資するために必要な事項
このように、法文のなかには、頻繁に「法務省令で定める基準に適合するもの」という要件が登場しますが、この法務省令の内容しだいで、この法律が大きく変わることを意味します。もちろん、まだ法務省令は完成していないでしょうから、「白紙委任である」と非難されるのは避けられません。
私ども行政書士としても、法務省令が確定しない以上は、外国の方のサポートを全うすることができません。
法律案に組み込まれた「コア」部分たる「法務省令」が分からず、非常に歯がゆい想いです。
在留資格「特定技能」の定義とは?
最後に、入国管理法案が規定する在留資格「特定技能」の定義をお示ししたいと思います。(別表2)
一号 | 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(第二条の五第一項から第四項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上特定技能 の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であつて法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 |
二号 | 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であつて法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動 |
いったいどのような「技能」が「特定技能」というのか、まだまだ判然としませんし、あいまいな文言には、解釈の幅がありますから、その解釈を行う者の価値観によって、良くも悪くも姿を変える法律となることは間違いありません。
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