鑑定書・見解書・簡易見解書とは(特許・商標・意匠):鑑定内容(侵害鑑定・無効鑑定(有効鑑定」)・先行技術鑑定)
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
鑑定書・見解書・簡易見解書とは(特許・商標・意匠)
どのような時に必要になるの?
鑑定書等は、正直、紛争一歩手前で、要求されることが多いです。
そのような鑑定書等を作ることも弊所では行っています。
今まで、30~40ぐらいは鑑定書等を作ってきました。
鑑定書・見解書・簡易見解書の違いとは?
まとめ
種類 | 鑑定書 | 見解書 | 簡易見解書 |
内容 | 最も厳格な判断書類が鑑定書です。 裁判や審判に耐えるべく作成されたものです。そのため、迂遠ともいえる部分まで詳細に記載し、スキのないように作成します。ページ数も多いです。 |
簡易見解書と同程度の内容になります。ただし、下記のように弁理士印を捺印してその内容について一定の責任を持ちます。 | 簡易な判断になります。しかし、当然、議論すべきところ重要なところは全て記載します。均等論なども当然に判断します。 |
弁理士印の有無 | 弁理士による署名捺印入り | 弁理士による署名捺印入り | 署名捺印は無し |
費用 (技術内容などにより増減します) |
50万(税別) | 30万円(税別) | 10万円(税別) |
納期 | 1月程度 | 1月程度 |
1月程度 |
注意事項
鑑定書であろうと簡易見解書であろうと結論に違いが生ずることはありません。
単にどこまで厳格・詳細な書類が必要かということになります。
また、最終的な判断は裁判官・裁判官がするものなので、
確率が高い低いという部分の判断しかできず、どのように厳密にしても、
100%誰も結論は出せません。
また、あくまでの最後の判断権者は、特許庁、裁判所なので、
たとえ、弁理士の鑑定書を信じて権利行使した、製品を作成したという場合であっても、
過失がないとはされないという判決も出ておりますので、
危険性を排除できません。
侵害鑑定用途・無効鑑定(有効鑑定)・先行技術鑑定
※なお、以下、見解書、簡易見解書についても鑑定書として記載しております。
種類 | 侵害(回避)鑑定 | 無効鑑定(有効鑑定) | 先行技術鑑定 |
内容 | その製品等が特定の特許権などを侵害していないかを判断する鑑定です。 侵害しているという場合は、回避策が思いつく場合は提案します。(詳細は下記をお読みください) |
対象の特許権等が有効であるか否かを、先行技術などに照らして判断いたします。既に、先行技術を知っている場合はその文献を提示いただきます。 もし、知らない場合は、この鑑定とは別途、無効調査なども必要になります。(詳細は下記をお読みください) |
先行技術から特許権となる可能性があるのかを判断いたします。 ただし、この内容は弊所では、通常、先行技術調査で行いますので、特段、この鑑定を行う場合はほとんどありません。 (詳細は下記をお読みください) |
調査が必須な場合もあります
上記鑑定には、多くの場合調査が必要になります。
各鑑定の具体的な内容
(1)侵害(回避)鑑定1(調査無)
① 侵害鑑定の内容
既に、発見されている特許に対して、
製造予定(製造中)の製品・商品が、権利侵害になっていないかということを、
鑑定してくださいとの依頼です。
特許の文言などの意味が分からないので、
どのように解釈したらいいのか分からない、などの理由で依頼される方が多いです。
大抵の場合は、回避策まで考えます。
(回避できない場合もあります。)
② 植村コメント
この鑑定が最も多いです。ほぼこれですね。
この競合の特許権等(実用新案、意匠、商標の時もあります。)があるのだけど、
わが社のこの製品って、大丈夫?と聞かれることが多いです。
もっと、切羽詰まっているときは、
この内容で侵害警告書が来たのだけど、まずいっすかね?
という感じで、聞かれることもあります。
この鑑定のつらいところは、
「大丈夫です!」御社の製品は、特許権等に入っていない可能性が高いという結論の時はいいのですが、
「大丈夫じゃないです」って時がきついです。
お客様は、当然、どうにかしてくださいということまで、
心の中で思っているからです。
そういったときに、こうやれば回避できますといえるといいのですが、
その方法が見えない時が一番つらいです。
たまに回避方法が見えない時があります。そういう時は本当に困ります。
そうではない場合でも、困る時があります。
どんな時かというと、回避策を提示しても、お客様が、
それはコストがかかるとか、
それは性能が落ちるとか、
それは金型の作り直しになるとか、
言って、その回避策を取らない場合です。
そんな時は、実は心の中で、
いやぁ、そんな簡単に、コストがかからず回避できるものは作れませんぜ、
そんなの、思いついたらこの値段でやりませんぜと、
思いますが、
そこは我慢の子で、いろいろ頭をひねるのです。
この鑑定で、「侵害している可能性が高いです」とだけの結論を出すだけなら、
どんだけ楽かとおもいます。
本来は受けた仕事は、回避策の検討ではなく、侵害の有無の鑑定なので、
それだけやればいいのでしょうが、そういうのは、
ちっと不誠実かなと思って、いつも頑張ってしまいます。
(2)侵害(回避)鑑定2(調査有)
① 侵害鑑定の内容
製品・商品はすでにあるのですが、それって作って、
どっかの権利(特許・実用新案・意匠等)とかぶりませんか?
という鑑定です。
といっても、この場合には、鑑定というよりも、侵害調査が主なウエイトを占めます。
侵害調査については→特許の調査(特許検索)の種類(先行調査・無効調査・侵害調査)
を参照ください。
② 植村コメント
侵害調査が主になり、たいていはそれで足りますが、
文献の提示だけでは足りないお客様に対してはこの鑑定を行います。
(ただ、あまり意味が無いように思います。)
つまり、特許の文言などの意味が分からないので、
どのように解釈したらいいのか分からない、などの理由で依頼される方が多いです。
大抵の場合は、回避策まで考えます。
(回避できない場合もあります。)
(3)無効鑑定(調査無)
① 無効鑑定の内容
無効鑑定とは、一定の文献を提示されて、
この文献から無効審判を請求して勝てるか?
または、この文献から裁判における無効主張をして、
裁判所によって無効との判断の結果、侵害を回避できるかという判断です。
多少、追加的に調査(検索)をすることはありますが、
基本的には、提示された文献での勝負をするものです。
② 無効鑑定についての植村コメント
かなり大変な鑑定の一つです。
訂正審判などもあり得ること、従属請求もあるため、
それなりに神経を使います。
(4)無効鑑定(調査有)
① 調査有の無効鑑定の内容
調査があると、さらに大変ですし、責任も重いです。
② 調査有の無効鑑定についての植村コメント
このような鑑定は、警告が既に来ている、
侵害訴訟になっているという状態でないと、基本的にお受けしておりません。
(6)有効鑑定(調査有・無)
① 有効鑑定の内容
この文献から、無効にはならない、
若しくは、このように補正すれば無効にならない、という鑑定です。
② 無効鑑定についての植村コメント
微妙な案件については、この判断はとても大変です。
(7)先行技術鑑定
① 無効鑑定の内容
ほぼ先行技術調査で足りますが、
お客様の中には、この鑑定を出願前に求め、
特許になります、とのコメントを求める方がいます。
それって、正直本当に困ります。
② 無効鑑定についての植村コメント
無限に探せるわけではないので、本当に困ります。
関連ページ
弊所の特許の先行技術調査(特許検索)の内容(出願時の特許調査・特許検索)
特許の調査(特許検索)の種類(先行調査・無効調査・侵害調査)
©弁理士 植村総合事務所 所長 植村 貴昭