特許請求の範囲の重要性4(調査していたら?)|特許要件
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
特許請求の範囲の重要性4(調査していたら?)
特許請求の範囲の重要性は、
前のこのページ特許請求の範囲の重要性1でご理解いただいたと思います。
特許請求の範囲における、発明は複数あるということも、
前のこのページ特許請求の範囲の重要性2でご理解いただいたと思います。
特許請求の範囲のは、審査官の引例との関係性によって決まることは、
前のこのページ特許請求の範囲の重要性3でご理解いただいたと思います。
調査していたら!
確かに調査していたら、②タイヤにゴムがついて衝撃を緩和していること
ではなく、
最初から⑩のポイントで出願していた、というかもしれません。
では、そのような例を検討してみましょう。
下記の、審査官が引用したリアカーを知って、
「柵がリヤカーの前部分にもあること」をメインしてに出願した場合、
どのようなことが起こるのでしょうか?
審査官が引用したリアカー | 出願したリアカー |
その時は、まず間違いなく、今度は、審査官は、上記の引例ではなく
ほかの引例を引用するでしょう。
例えば、下記のような文献を探してくると思います。
この文献と、出願発明とはかなり異なるのですが、
ポイントとした
「柵がリヤカーの前部分にもあること」
の部分は確実に、従来技術にあるとされてしまうのです。
結論を言うと、
審査官は発明のポイントとした部分に応じて、自由に文献を変えてしまうため、
前もって調査して出願を変えても、それに応じて、
変更してしまうため意味が無い
ということなのです。
さらに悪いことに、「柵がリヤカーの前部分にもあること」をポイントしにしてしまうと、
今更、他のポイントが重要部分ですという主張が難しいのです。
なぜなら、今更ほかのところがポイントと言うことは、矛盾した主張になってしまうからです。
矛盾とまでにならなくても、1つのポイントに絞った場合は、
他のポイント以外の部分の記述は、あっさりとした簡単な記載になる可能性が高いです。
それは、他のポイントが重要であるとの主張を難しくする要因です。
この辺りは、先に動いた方が負ける!拒絶理由通知 特許検索
をご参照下さい。
結論
したがって、発明のポイントを最初に決定することも、調査することも、
ほとんど意味が無いということになります。
やれること
となると、出願時点でやるべきことは、
① 全てのポイントとなりそうなところは、
いつポイントと変更されてもいいように、
満遍なくしっかりと記載すること。
② 今はポイントとなる可能性はゼロと思うようなところであっても、
手抜きせずに、それなりに記載しておくこと。
③ ポイントをどこともいわず、全てがポイントというような記載とすること。
④ 請求項1なども、どうせ拒絶理由通知が審査官から通知されるし、
その時にポイントをきめればいいのですから、
ざっくりと、とても上位で書いておいて、
拒絶理由通知が来てから、決めればいい!
という風に思うこと。
というようなことになります。
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