特許請求の範囲の重要性1|特許要件
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
特許請求の範囲の重要性|特許要件
特許請求の範囲(請求項1~)
特許請求の範囲(請求項1から記載していくものです。)は、
特許において、もっとも重要なものです。
どう重要なのかというと、
この記載こそ、権利範囲なのです。
たとえ、明細書(発明の詳細な説明)、図面などに、
どのようなことが書かれていても、権利には基本的に影響を与えない
というのが原則なのです。
(業界用語で、権利一体の原則、又は、特許一体の原則といいます。)
例えば、最新鋭のエンジンを開発して、ありとあらゆる自動車に搭載して使えて、
その市場価値がとても高いエンジンだとしても、
例えば、
【請求項1】
○○を△△する、赤いエンジン。
などと、「赤い」を入れてしまった請求項で権利を取った場合には、
赤くないエンジンはたとえ、全く同じエンジンを第三者が作っても、
全く権利範囲外と原則なるのです。
当たり前ですが、エンジンが
赤かろうが、青かろうが、全く性能に関係ないはずです。
しかも、エンジンで、車体ではないので、
車体を赤くしても、エンジンさえ赤くしなければいいことになります。
これだと、エンジンがどうしても赤くなければ嫌だという、
ごく特殊なお客様以外には、全く意味が無いということになります。
したがって、特許請求の範囲の記載はとても大事ということになります。
特許請求の範囲と発明の詳細な説明の重要性の程度
特許請求の範囲と発明の詳細な説明(明細書)の重要度の差は、
10:1です。
つまり、特許請求の範囲は、
発明の詳細な説明の10倍近く重要ということになります。
他方、特許請求の範囲と発明の詳細な説明(明細書)との書いてある文字数は、
1:10です。
つまり、特許請求の範囲の文字数は、
発明の詳細な説明の1/10ということになります。
その結果、1文字当たりの重要度は、
特許請求の範囲の一文字は、発明の詳細な説明(明細書)の一文字の100倍の価値があることになります。
そのぐらい重要な部分が 特許請求の範囲 なのです。
発明の詳細な説明(明細書)の位置づけ1(原則論)
発明の詳細な説明は、あくまで、この重要な重要な特許請求の範囲に記載された発明を、
説明するためだけのものという風に理解していただきたいです。
もし、特許請求の範囲だけで発明が完全に理解できるなら、
発明の詳細な説明(明細書)は本来的に不要なのです。
ただ現実には、特許請求の範囲だけで、発明を完全に理解できないはずなので、
どうしても書かなければならないのです。
さて、実はこの、ただの説明というのは原則論で、実務では、
この発明の詳細な説明にはもう少し別の役割が2つあります。
以下、説明します。(これも読まないと、特許請求の範囲の重要性は本当には理解できません。)
特許請求の範囲の重要性2|特許要件
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