特許法第36条(明確性・実施可能要件・サポート要件)の拒絶理由通知への対応
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
特許法第36条の拒絶理由通知への対応
特許法第36条の拒絶理由通知は、審査官(審判官)にとって、楽な拒絶理由通知です。
単に、分からない、不明確であると言えば済むのです。
本来は、先行技術(先行文献)を調査して、その一致点・相違点を認定していかなければならないのに、
その必要がない拒絶理由通知なのです。
しかも、不明確なものを明確化するという場合には、たいてい、分かりやすく言葉を足す必要があります。
言葉を足すと、その分、発明の範囲は狭くなってしまいます。
例えば
「自動車」と特許請求の範囲に記載している場合に、
自動車には、3輪、2輪車も含む可能性があり自動車の記載は不明確であると書かれてしまうと、
4輪の自動車に補正せざるを得なくなってしまうのです。
えー、自動車で十分わかるよね、という反論は難しいです。
分からないものを、分かると言わせるのは難しいのです。
ずるい拒絶理由通知
そのため、審査官(審判官)にとって、大変に楽な拒絶理由通知なのです。
他方、それへの対応に苦労する大変困った拒絶理由通知なのです。
実質的に、限定して発明を小さくするしかないからです。
恣意的な運用
このように協力で、楽なのにもかかわらず、
限定をさせることが出来るのです。
また、わからないといえばいいだけなので、きわめて恣意的な運用もできる条文なのです。
私は、この条文のこのような恣意的な運用を断固として、批判したいです!(怒り)
©弁理士植村総合事務所 所長弁理士 植村貴昭