お・ね・が・い・これしてください!してくれたらこれしてあげます!:業務委託契約基本条項
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
お・ね・が・い・これしてください!してくれたらこれしてあげます!:業務委託契約基本条項
契約書のひな形
(業務委託の内容) 第〇条 ポラリスは植村国際に、別紙の内容を委託する。 2 ポラリスは、本状第1項の対価として、毎月〇万円(税別)の対価を支払う。この対価には、植村国際が支払う実費等のすべての費用が含まれるものとする。 3 前項の対価は、毎月末にその月の分を支払うものとする。なお、この時の支払手数料はポラリスが負担するものとする。 4 本条第1項の業務委託について、不履行及び不完全な履行であるとポラリスが考える場合には、ポラリス及び植村国際は不履行であるか不完全であるかについて協議するものとする。この協議の結果、その割合に応じて、本条第2項の対価は減額するものとする。 5 前項の協議が不調に終わった場合には、ポラリス及び植村国際の両者は専門家である仲裁人のリストを5人づつあげていき、両者が合意する仲裁人を選定する。この仲裁人の決定に、ポラリス及び植村国際は従うものとする。 |
第1項の別紙は下の「別紙雛形」に用意してあります。
第5項の規定は、言いつけは守っていますか?見せてもらいます!:検品条項の規定と基本的に同じ考えの規定です。
一見すると、互いに、自分の都合の良い専門家を上げると思いますが、すぐに、都合の良い専門家など尽きてしまうので、結果、相手の出してきた専門家の中で自分にも配慮してくれるという人を選ばざるを得なくなると思われるから、このような規定にしてあります。
このように、解釈の余地があるようなものの場合には、どこまで行っても契約書で完全に決めておくことはできないので、専門家の仲裁人に判断してもらうことがいいと思います。
別紙のひな形
別紙:業務委託内容 1 必ず行うべき内容 (1)Webページ用の記事を、1月につき5記事作成する。1記事の文字数は2000文字以上とする。内容は、Web集客用のSEOに関する記事とする。 2 できれば行うべき内容 (1)委託者が受託者にメールした場合は1営業日以内に、受託者は返事をすること。 3 やってはならないこと (1)秘密情報に該当しない場合であっても、互いの情報を第三者に話すこと、情報の漏洩をしないこと、SNS等にアップしないこと |
業務委託契約は危険な契約
はっきり申し上げます。業務委託契約は危険な契約です。
委託者の危険
何が危険かというと、何となくいろいろやってくれそう!と思ってざっくりと契約するのですが、
思ったほど、というか全然やってくれず、お金だけ払わなければならないということが多く発生します。
契約前は、受託者は契約が欲しい(お金が欲しい)から、いろいろできそうなこととか、
いろいろできる(=新規のお客さんがたくさん来るとか、すごくかっこいいWebページが出来上がるとか、いろいろアドバイスするとか、いろいろ手助けしてくれるとか)
といいますが、契約が締結されたのちは、契約の満了までは、最低限のことをして(場合によっては何もしないで)、委託料だけもらおうとする
という事例が多く発生します。
受託者の危険
受託者にとってはあまり大きな危険は普通はないです。
しかし、その契約のために設備を入れた場合とか、人を新たに雇うなどしたとか、で投資を行ってしまうと話は別です。
特許事務所とそのお客様である大企業の関係も実はこのような関係があったりします。
具体的にどんなことが起きるかというと、
このように投資をしてしまうと、特に、人を雇ってしまうと、
その人の給与を賄うためにその仕事を継続的に取り続けなければならなくなります。
その仕事がなくなると、その人の仕事がなくなるからです。
日本の場合、解雇が簡単ではないため、仕事がなくなってもその人の給与を払い続ける必要があります。
そうであれば、利益が大変薄くても、場合によっては、赤字になってでもその仕事を取りづつけるために
努力し続けなければならなくなってしまうのです。
つまり、大企業に大変弱みを握られてしまうのです。
そうすると、足元を見られて、どんどん単価を下げる要求が来ます。
それだけでなく、どんどん複雑なこと、ち密なことを要求されるようになります。
その会社独自の、事務処理方法(郵送で各種の紙を送らなければならないなど)
その為、どんどん利益率が下がります。前述のようにマイナスになることも十分にあり得ます。
それだけでなく、どうしても仕事を継続的に欲しいため、
大変気を遣うことになります。わずかな誤記をしてしまった、電話の切り方が悪かったのではないだろうか、
もっともっとサービスして、気を使わなければならなかったのではないだろうか?
ということになって、正直、精神を病んでしまうのです。
その為、受託者も、一つの会社に依存しないこと、不当な要求がある場合などには、
いつでも、その会社と縁を切れるようにしておく必要があります。
業務委託契約の場合には、いつ切られても良いように、人を増やしたり、設備投資をしたりしないようにすべきです。
ではどうすればいいのか?
委託者は、やってほしいことをしっかりと決めるべきです。詳細についてできるだけ細かく記載すべきです。
それが書けないのであれば、業務委託契約で丸っとまとめて頼むだけの知識がないということを前提に考えるべきです。
その場合、さらに、業務委託のやってほしい内容を決める(仕様書を書く)だけの専門家を雇うべきです。
もちろん、その専門家と、受託者は全く関係ない第三者にすべきです。
受託者は、それ以外はやらないから、それ以外のことを求められてもやらないからというスタンスで臨むべきです。
そうしないと、どんどん、要求水準が高くなってしまうかもしれません。
契約の更新・契約の期間
業務委託で、両者ともに満足して終わるためには、
契約は自動更新にしないこと、契約機の期間はできるだけ短くすること(理想的には1カ月)
とした方がいいです。
受託者も長かったり、自動更新の方が楽ですが、
委託者に恨まれずに、きれいに仕事をしたいなら、この方が長い目で見るとよいと思います。
(ただし、自分の能力が低かったり、やる気が持続しないけど、相手に損させてもいいと思っているなら別です)
その結果
私たち終わりにしましょう!契約の終了・契約期間・契約期間満了・契約継続・契約更新・自動更新・合意更新|契約の教科書(4)
の、「有効期間(契約を切ることも考えるバージョン)」などを参考にして、条項を作ってください。
この条項では1年単位の契約になっていますが、前述のように1月とかの短い期間を設定した方が前述のように良いと思います。
契約書関連ページ
その他の契約関するページをまとめたものは↓ページです。
サルでもわかる契約!まとめ:契約書の教科書(契約書チェック・作成)