重たい責任です!商標の10年間の管理費
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
重たい責任です!商標の10年間の管理費
商標は、永遠の権利(永遠権)です。
しかし、商標更新の費用で説明しているように更新していかななければなりません。
一種の固定資産税のようなものと考えていただければ、と思います。
1 更新を忘れるとどんなことが起きるの?
この費用を、支払わないと、権利がなくなってしまいます。
そうして、本当は更新したかったこの権利がなくなってしまうと、
以下のようなことが起きます。
(1)権利がなくなります
しつこいようですが、当たり前に権利がなくなります。
回復する手段はありますが、基本的に、半年以内です。
忘れた人が、半年以内に思い出すという可能性は低いので、
通常は、回復不能になります。
(2)他人に取られるかもしれません
他人が同じ商標を出願していた場合には、その他人に商標権が付与される可能性があります。
その場合に、逆にこちらが商標権侵害になり訴えられるかもしれません。
先使用権(せんしようけん)が発生すれば、使い続けることはできるのですが、
そのためには、周知という要件が必要なため、危険な状況になります。
また、この先使用権で店舗の拡張、業態の変更などが認められるかは、
かなり未知数です。
認められないと、侵害になってしまいます。
いずれにしても、おっかなびっくり経営することになり、
事業の拡大は、現実的にも、経営者の心理的にも極めて難しいです。
その損害の額は考えたくもありません!
(3)弊所もじっと待つことがあります
(2)の更新がされないことを、弊所も待つことが現実にあります。
クライアントから、所定の商標を取ってほしいと依頼されている時に、
先願で邪魔な商標があり、その商標が更新されないことを待っていることが現実にあります。
そして、現実に更新料が支払われないようでしたら、一気に出願するのです。
その時の、私の心理状態は、じっと眺めていて、
一気に襲い掛かるワニのような心理状態です(笑)
(4)再度取り直し
更新を忘れた場合に、最もラッキーなケースでも、
商標を取り直する必要があります。
なお、ラッキーじゃないケースというのは、
(2)のように、他人が商標を出願してしまうケースです。
その場合には、当然、1から出願をしていく必要があり、
弁理士費用などを再度負担しなければなりません。
以上のように、
商標の更新を忘れるというのはとても重大なことなのです!!
2 誰も教えてくれない!
(1)特許庁からの通知はない
以上のように、重大な結果をもたらすのに、
特許庁からは、もうそろそろ更新期限が来ますよとの通知は、
一切ないのです!!
(2)10年後(5年後)は長い!
しかも、この更新の間隔は、10年おきなのです。
(5年の更新料等の場合は、5年おき)
10年って皆さん、どうお考えになるでしょうか?
10年後に誰からも何も言わないでいるのに、
思い出して行動するというのは、かなり難しくないですか?
-
- 担当者が辞めている可能性は高いです
- 辞めていなくても覚えていられますか?
- エクセルなどで管理するにしても、入力ミス、途中でデータの誤った上書き
- パソコンが壊れる
等が起こる可能性は常にあり、その結果が重大なのです。
そもそも、人間が10年後何かをするという約束は、
人は忘れる生き物である限り、
とても、とても、重たく難しい約束なのです。
3 実は、弊所も受けたくない!
弊所は、プロです。
しかし、できれば、このような責任を引き受けたくないです。
普通に考えて、10年後の約束までは難しいからです。
特別なシステムを導入していますが、システムの不具合なども
絶対ないとは言えず、普通の管理では安心できず、
寝れなくなってしまうからです。
4 管理はしているが・・
弊所でも、10年後にお客様にお知らせできるように、
特別なシステムで管理しております。
その為、通常は10年後の更新も案内できると思います。
ただ、絶対はなく、不安です。
寝れなくなるときさえあります。
その為、法的な責任まで負うことはできないのです。
5 特段の管理
前述のように、普通の管理では絶対ではないため、
法的な責任を負うということはしておりませんが、
特段の費用を払っていただいた方には、
更に厳重な管理をしております。
具体的には、その案件について、定期的なウォッチングなどです。
その為、心配であるという方には、
商標登録時の費用
商標更新時の費用
に申し込みをいただき、厳重な管理をさせていただいております。
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©弁理士 植村総合事務所 所長弁理士 植村貴昭