不使用取消審判:登録時の注意!

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

不使用取消審判:登録時の注意

1 登録査定(商標登録できた時)

まずは、おめでとうございます! 

次に弁理士としては、やれやれよかった、
登録できなかったらどうしようかと思ったけど、
よかったよかった!

となります。

しかし、次に検討しておかなければならないことがあります。

2 使用する!

商標は、使用するということで登録を許可されます。

その為、
3年間使用しないと、

3 不使用取消審判

不使用取消審判をかけられて、せっかく登録したのに無駄になってしまうことになります。

その為、
登録=使用する

必要があるのです。
しかも、商標出願で提出した指定商品・指定役務全てで、
使用をする必要があります。

指定商品・指定役務の一部で使用している場合は、
使用している部分だけは取り消されませんが、
その他の部分は取り消されてしまいます。

4 使用は出願した商標と同じでなければならない

単に使用していればいいかというとそうではありません。
出願商標と同一の範囲で使用する必要があるのです。

特許庁審判便覧 不使用取消審判

(1)同一である例

① 活字体の書体を単に変えた場合
② 漢字の正字と略字
③ ローマ字の大文字と小文字
④ 平仮名とカタカナ相互間での使用
⑤ 平仮名及び片仮名とローマ字の相互間の使用
⑥ 図形などで同一視される図形
⑦ その他社会通念上同一とされる場合

(2)以下同一ではない例

① 平仮名と片仮名の相互間の使用であっても、外来語等で相互に変更することにより、
  特定の観念が失われ別異な観念が生ずるとき。

例:「ホット」と「ほっと」(前者は熱いという観念であり、後者は「ほっとする」という観念が生じる)

② 平仮名及び片仮名とローマ字の相互間の使用であっても、
  平仮名及び片仮名とローマ字のいずれかに別異の観念が含まれるとき

例:「ホール」と「hall」「hole」

③ 称呼は同一だが、平仮名及び片仮名と漢字のいずれかに
  別異の観念が含まれるときの相互間の使用

例1:「ききょう」と「桔梗」「帰郷」
例2:「ようせい」と「要請」「妖精」「養成」

④ 観念は同一だが称呼が相違する場合の漢字とローマ字の相互間の使用

例1:「虹」と「rainbow」
例2:「音楽」と「music」

⑤ 一定の観念を生ずる図形であるが形態が顕著に異なるため
  社会通念上同一の商標と認められない場合

例:

(3)正直曖昧

以上のようですが、正直曖昧ではないですか?
どこまでなら大丈夫なのか、確実ではないです。
不使用取消審判の審判官がどのように判断するか、予断を許さないのです。

リスクがあるのです。
その為、

できるだけ同じに使って下さい!

としか言えないのです。
もしくは、他のパターンで使いたいなら、

別に出願してください!

といわざるを得ないのです。

5 弊所も登録の際に邪魔になれば

弊所は登録の際に邪魔になった商標に対しては、
万々、不使用取消審判をかけていきます。

審査官殿納得できません!商標の拒絶査定不服審判

6 まとめ

そのため

① 出願時には、できるだけ使用するのと同じ形態で出してください。
② 登録時には、できるだけ登録したのと同じ形態で使用してください

さらに

③ 必ず3年以内に、使用して、その証拠を用意しておいてください。

と申し上げるのです。

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