メタタグに他社商標を付けた場合の取り扱い:商標の使用に該当するのか?
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
メタタグに他社商標を付けた場合の取り扱い:商標の使用に該当するのか?
メタタグ(meta-tag)とは、Webページ(ホームページ)に埋め込まれている、
そのページの内容を表すキーワードです。
もともとは、この内容を使って、GoogleやBingなどの検索エンジンが、
そのページに書かれている内容を判断するためなどに使用されていました。
なぜこのようなことをするのか?
なぜこのようなことをするのかというと、
(1)類似品、代替え品、海賊版等を売りたい
そのサイトで、有名商品の類似品、代替品、海賊版等の商品を売るような場合です。
類似品、代替品を作って売ること自体は問題ないのですが、
(大手企業の知財などを侵害する場合を除く)
このままだと全く売れないため、大手企業の商品名の類似品、代替品であることを、
宣伝しないと、全く売れません。
そのため、メタタグなどで、大手商品名をつける必要があるのです。
ただ、その大手企業の立場では、せっかくその商品の商標を有名にしたのに、
第三者がその名前で検索等したときにそっちの商品(類似品・代替品)が売れてしまうと、
大変問題なわけです。
フリーライドされていると考えるのも当然です。
なお、海賊版は完全に違法なので、そのような場合はそもそも裁判にならず、
刑事罰の対象にもなりますので、民事裁判になることは多くないと思います。
(2)自社商品の認知が低く、商標としての価値がほぼない状態でフリーライド
ともかく、そのサイトにお客さんを呼びたい場合です。
このような場合は完全にフリーライドです。
海賊版ほど悪くはないですが、フリーライドには変わりません。
さらなる検討
前述のパターンで、(1)の海賊版の場合、(2)の場合は、
正にフリーライドで、このようなことは当然許されるべきではないのは当然です。
他方、類似品、代替品の場合にはどうなのかについては、
簡単に判断すべきではありません。この点は、
なぜなら、
大手企業の知的財産を侵害をしないのであれば類似品を作ることはまったく違法ではありません。
同じく、大手企業の知的財産を侵害しないのであれば代替品を作ることもまったく違法ではありません。
判例
メタタグについては、既にいくつかの裁判例が存在します。
平成 17 年 12 月 8 日大阪地方裁判所にて,他人の商標を含めたメタタグの使用が商標権侵害に当たると認
める判決があります。
ここでは、メタタグにおいても商標の使用であると認める判決でした。
現在の状況
ただ、現在、このメタタグを悪用したSEO対策などが多くされてしまったことから、
Googleなどの検索エンジンは、このメタタグについては、検索の順位などの対象にしないことにしてしまいました。
そのため、現在は、メタタグに他社商品名(他社商標)を入れる旨味はまったくなくなってしまいました。
そのため、これらの判決は、過去の判決と言えます。
2021年10月のハッシュタグについての判決は、このメタタグの判決の延長線上にあるのだと思います。
(下記の、関連ページも参照ください。)
関連ページ
ハッシュタグに他社商標を付けた場合の取り扱い:商標の使用に該当するのか?
商標権における警告書を送るとき(確認事項、雛形、テンプレート,例)
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