商標漫画 5:商標が有名になりすぎると危険もあるのです!
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
商標漫画 5:商標が有名になりすぎると危険もあるのです!
すごく有名で素晴らしい商標を持商標を持っていても、適正に管理しなかったため商標がごみになってしまった事例
第1コマ目
主人公(左の小豆色の人)は、品質の良い商品を作り上げました。
ここでは、手入力できる電話としましょう。
その商品は他に似たものがない、画期的な商品でした。
そのため、お客さんは、その商品に飛びつき、飛ぶように売れだします。
その時につけた名前が「E-phone」でした。
第2コマ目
しかし、あまりに画期的で、唯一無二の商品であったため、お客さまは、
手入力が可能な電話=E-phone
という意味で使い始めました。
お客さまをはじめとした消費者は、
後追いしてきた似たような商品を呼ぶときも、E-phone と呼ぶようになってしまったのです。
それは、主人公にしてみると、自社の商標がいろんなところで表示されることから、
宣伝としてはとても素晴らしい効果をうみました。
その商品の一般名称が、自社の商品ということは、その商品の一般名称が思い出されるたびに、
広告されているのと同じだからです。
そのため、主人公はこの事態を何もせず放置したのです。
第3コマ目
ライバルメーカは、一般名称化するまでは、独自のブランド名を付けたりして対応してましたが、
一般名称化したことによって、各社独自のブランド名の上に、でかでかと、「E-phone」をつけて、
販売し始めてしまったのです。
第4コマ目
その事態になって、主人公は焦りだしました。
商標を取っていたので商標権行使なども検討したのですが、
一般名称化してしまったので、その一般名称を使うことを商標権を持っていても、
権利行使できないと、専門家(弁理士、弁護士)に言われてしまったのです。
その結果、せっかく極めて有名になった、「E-phone」は、
誰でも使えることになり、主人公の製品だけ特段優れているということにならなくなったのです。
それどころか、E-phoneでは他社の製品と区別できないということで、
新しく、別の商標を付けて販売せずにはいられなくなってしまったのです。
解説等
この事態についての、言及は下記のページにもあります。
このような事態(一般名称化)を生じさせてしまった例としては、
エスカレータ
キャタピラー
正露丸
等があります。
ぎりぎり、一般名化をぎりぎり逃れた例としては、
ウォークマン
ロードマン
味の素
等があります。
以上より、商標は、適切に管理をし続ける必要があります。
戦略的な使用
戦略的に、この一般名称化を逃れつつ、最も適切に対応した例としては、
「味の素」があります。
私はこの方法を、味の素商法と呼んでいます。
商標全般については、↓こちらのページです。
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©植村国際特許事務祖 所長 弁理士 植村貴昭