コラム(各種情報)

第32回 契約書におけるちょっとした視点、納品物の所有権移転がいつになるか

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

契約書におけるちょっとした視点、
納品物の所有権移転がいつになるか 

植村のコラム32

前回は、八つ橋に生じた問題を弁理士の観点から解説させていただきました。

今回は、植村は弁理士ですが行政書士もやっており、
契約書もたくさん作成・チェックしていますので、
契約書におけるちょっとした視点を記載させていただきたいです。

 

商売をしている方であれば、売買契約書を作る機会や、
それにハンコを押す機会は多いと思います。

その際に、気を付けなければならないことは複数ありますが、
特に気を付けなければならない部分を記載したいと思います。

 

まずは、納品者の立場で記載します。

まず、物等を納入する側としては、
納品してから、いつお金が入ってくるのかということは気になると思います。
ただ、この辺りは資金繰りなどに直結するため、
大抵しっかりと確認するのではないかと思います。
普通は、月末締めの翌月末払いか、その翌月払いなどが多いと思います。

この際に、他にも気を付けていただきたい部分として、
納品物の所有権移転がいつになるかです。
これが例えば納品時に相手に移転してしまうという契約書も多くあります。

これには大変恐ろしいことが生じる可能性が有ります。
具体的には、相手が倒産の危機がある場合などです。
納品したもののお金が入ってこないということです。
この時に、納品者としてはせめて納品したものだけでも取り返したいと思いませんか。

所有権の移転時期

この場合に、納品時に相手に所有権が移ってしまう契約だと、
容易に取り返すことができません。
それどころか、第三者に売り飛ばされてしまっていることもあり得ますし、
第三者が債権の代わりに差し押さえているかもしれません。

このような場合に、もし、所有権が代金の支払いがあるまで納品者の元にあるのであれば、
このような事態をある程度回避できます。

そのため、納品者としては
代金の支払いがあるまで所有権を留保したほうがいいのです。

 

次に、危険負担という部分もあります。

これは、その間にそのものが自然災害・窃盗等で使えなくなってしまった場合に
その被害をだれがかぶるかというものです。

この点、所有権を、代金をもらうまで留保した場合には、
納品者側が負担するのが普通のようにも思われる方もいるとは思いますが、
所有権とこの危険負担は完全に分離できます。
つまり、所有権は留保しつつ、危険負担だけは購入者に移転することができます。

その結果、危険負担は納入時から購入者に負担させることが納品者にとっては有利です。
場合によっては、もっと前の納品の前から危険負担させることも可能です。

逆にいうと、この逆にすることが購入者にとっては有利です。

 

ほかにも裁判管轄や、検品、不良品の処理、訴訟になった場合の処理、
PL法等で訴えられた時の処理等他にもたくさんありますが、
紙面の関係から、特に重要だと思う点だけを記載させていただきました。

契約書は、相手から提示されるものはかなり不利な場合が多く、
是非、この辺りだけはチェックいただければと思います。

 

さて、次回は何にいたしましょうか。本当は、私は特許が一番得意なのです。
でも、特許の話題ってほとんどしておりませんね。
次こそは、特許の話題をしたいと思っています。ではでは。

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