コラム(各種情報)

第33回 米中貿易戦争 知財(特許・商標)が主たる武器です!

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

米中貿易戦争 知財(特許・商標)が主たる武器です!

植村のコラム33

前回は、契約書、
特に所有権の移転と危険負担の問題について記載させていただきました。

今回は、ちょっと時事ネタで
米中の貿易戦争(関税)問題について記載させていただきます。

知財の戦略的活用について

今、ニュースなどを見ていると、
アメリカ大統領であるトランプ氏が自由貿易を否定して
保護主義に入っていくからけしからんという論調が多いと思います。

確かに、自由貿易が無条件でいいということになると、その論調は完全に正しいです。
貿易によって外国に物を売りつけている
日本のような国の立場からだと特にそうです。
また、第二次世界大戦の原因は実は経済のブロック化であった
という立場から見るとその通りのように思います。

というわけで、今のトランプ氏のやり方は
この観点から見るととても間違った政策のように見えます。

 

急に話は変わりますが、泥棒って好きですか?

嫌いですよね、泥棒が盗んだものを売って、大儲けしていたらどうですか?

実は、トランプ氏が保護貿易を主張している根拠に、
中国がアメリカから技術(特許、トレードシークレット、ブランド、デザイン等)を盗んで、
製品を作って売っているという主張があります。

間違いなく、今も、アメリカは新技術が生まれている国です。
そこに、たくさんの中国人が留学・仕事で来ていることも事実です。
また、中国製のパソコン、ネット回線には、
スパイソフト・ハードが埋め込まれているという話もあります。

また、中国に進出した企業は、技術供与を求められる、撤退の際に
全ての生産設備・資本を置いていかなければならない制度になっていることも事実です。

そうでなくても、外国人の特許等が
中国では認められづらいということも、私自身が経験するところです。

 

そういった観点で、もう一度トランプ氏の主張を眺めてみると、
今度は、トランプ氏の主張は
あながちひどいことばかりを言っているわけではないと思いませんか。

ここまで書いておいてですが、
別に、私はトランプ氏の主張が正しく
保護貿易的な政策が正しいといっているわけではないです。

しかしながら、どのような政策も一方的に100%間違っているわけではなく、
別の観点からは、正しいということあるということを言いたかっただけです。

ただ、知財は国家間の貿易戦争の兵器であり、
各国は自国に都合のよく使いこなしているということで、
当然、そのような国際関係の中で
日本も戦略的に知財を活用していく必要があるということです。

 

これは、国家間の話ですが、企業間でも似たところがあります。

先日も、中小企業が大企業との関係で
知財を不当に開示させられるなどの問題が多く発生しているとの報道を見ました。
大企業と中小企業との関係で
対等に争っていくということは現実的には、かなり困難です。

しかし、実は、特許の世界であれば、その差を埋めることも実は可能です。

次回は、そのことを記載したいです。
私が、相対的知財力と名付けている話です。 
では、次回をお楽しみに。

  以上

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