審査官殿納得できません!特許拒絶査定不服審判
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
審査官殿納得できません!特許拒絶査定不服審判
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弊所の方針
特許の審査は、審査官による審査が行われその段階で登録できると判断される場合は、
登録査定が出て特許権となります。
ただ、正直審査官は、その仕事の性質上、かなりザックリとした判断をします。
より具体的には、審査官は、
その発明を
登録しても問題ない(=誰にも迷惑をかけない=ごみ特許)
という場合にだけ、登録することがとても多いのです。
つまり、審査の段階でも登録査定(特許権)を受けることは可能であるが、
かなり妥協して、小さく、抜け道のある特許になっていることが多いのです。
元審査官の審査官時代
現実に私が審査官時代には、
この特許普通は誰もやらないから特許にしようとか、
第三者が同じものを作ろうとしたときに、ちょっとで回避できるから登録しようとか、
という会話が審査室でなされていたことを思い出します。
というような事情があるため、
審査官によって簡単に特許になったということは、喜ばしいことではない
ことが多いのです。
価値あるものを取るには、苦労しなければならない
東京大学卒業という学歴が皆さんすごいと思われるのは、
東京大学がすごいのではなく、東京大学に入ることが難しいからすごいと思うのです。
もし、名前を書いたら誰でもは入れるようになったら、
ほぼ無価値になることはわかると思います。
特許も同じです、簡単に取れるようなものは、価値がないのです。
審査官も、価値が無いものについては比較的簡単に権利を与えるのです。
そんなの物に価値はない!
中小企業・ベンチャー企業にとって、
特許は他社参入を阻害できるものでなければならないのです。
単に、権利があればいいというものではないのです。
そのため、価値ある特許を取るために、
審査官と闘わなければならないのです。
そして、その結果は、大抵の場合、拒絶査定です。
審査官に世の中に大きな影響を与えそうな特許を
認めることは立場上難しいのです
そのため、弊所では本当に価値ある特許を取ってほしい、
権利行使可能な特許を取ってほしいといわれた場合は、
審査官との間で妥協せず(=権利を広いままとして)
審判(拒絶査定不服審判)という、裁判の一歩手前の手続きに持ち込みます。
拒絶査定不服審判
拒絶査定不服審判は、その判断に不服な場合は、裁判(知財高裁))に持ち込まれます。
知財高裁での裁判は、特許庁とは無関係な第三者(=裁判官)によってなされます。
行政と司法なので、同じ国の機関ですが、敵対はしておりませんが、
特段、忖度するという関係にはないのです。
その裁判で勝てるか否かという観点で、拒絶査定不服審判の審判官は判断します。
特許庁の審査官のように、ここでおおざっぱなこと(乱暴なこと)をしても、
次の審判官が何とかしてくれるという状況にないのです。
そのため、比較的、慎重な判断をします。
多少権利が広くて、世の中に影響を与えると思っても、
特許を否定する論理が、裁判官をある程度確実に説得できると、
思わない限り、拒絶審決を出せないのです。
そのため
クライアント様に有利な結果が出やすいのです。
したがって、弊所では本当に大事な特許の場合は、
審判まで争ってほしい!!
と、申し上げるのです。
そのため、弊所は基本的に拒絶査定については全件、拒絶査定不服審判へ進む主義をとっております。
この主義を、わたくしは、全件拒絶査定不服審判主義と、名付けさせていただいております。
悲しいこと
ただそうなると、すんなり通らず何度も審査官、審判官とやり取りすることになります。
そのたびごとに費用もかかります。
だんだんと、クライアント様の声も怖くなってきます(泣)。
さらに、この先生、力がないのではないかと思われているということも、
ヒシヒシと伝わってきます。
そういう経験をすると、
本当は、クライアント様のことを考えて争っているのに、
後ろからも撃たれることになります。
その時、私たち弁理士はどうするのでしょうか。
かなり苦しい立場に置かれるのです。
その時発生する誘惑は、権利を小さくするのです。
そうすれば、特許権になります。
簡単になります。
クライアント様も、その時は喜んでくれます。
そして、それは、すぐにはバレません。
(訴訟になって、初めてわかるのです。)
弁理士は、そんな誘惑といつも戦っているのです。
そのため、クライアントは胆力のある先生を使わなければならず、
かつ、信じてついてきてほしいのです。
特許庁のHPはこちら
©弁理士 植村総合事務所 所長 弁理士 植村貴昭