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系統連系③|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

蓄電池の有無

蓄電池設備は、太陽光発電や風力発電で発生した電力を、
夜間や非常時に使用したい場合に設置します。

太陽光発電は日射がある時だけ発電し、風力発電は風がある時だけしか発電出来ないため、
電力は天気まかせ、風まかせとなります。
発電した電力を夜間使用したり、停電の非常時に使用したい場合は、蓄電池に電源を蓄え、
必要な時間に放電するというシステムを構築します。

蓄電池は設置コストも運用コストも高くなり、
電力会社が供給する安定した安価な電力で充電するのが一般的です。
通常時に太陽光発電設備や風力発電設備で蓄電池を充電するのは極めて不経済です。

電力会社から電力を購入できる環境にあるなら、商用電源を使用して蓄電池を充電し、
停電時など電力会社が電力を供給出来ない状況になったら、
自家発電設備から電力を供給して充電するといったシステムにするのが合理的でしょう。

電力会社が電気を供給していない、山岳地帯や海上などで電源を確保したい場合には、
蓄電池設備の設置が有用です。
電力会社が電気を供給している都心部エリアや市街区のエリアでは、
通常時に自家発電設備から蓄電池を充電することにメリットがありません。

蓄電器充電に適するエリア

みなし低圧系統連系とは

系統連系は、低圧・高圧・特別高圧、どの電圧で受電する需要家でも可能ですが、
電圧が高いほど危険なため、電路を保護するための保護装置が多くなります。

しかし、高圧受需家で系統連系を行う場合でも、
5~10kwといった小規模な発電設備を設置することも多く、
保護装置が過大になることが考えられます。

これに対応し、みなし低圧連系という制度があります。

みなし低圧連系は、電力会社との契約電力が比較的大きい場合、
小規模から中規模の太陽光発電設備や風力発電設備を高圧連系の保護装置を持って保護せずに、低圧系統連系と同様の保護装置で系統連系しても良いという緩和措置です。

 

高圧受電の需要家において、太陽光発電設備や風力発電設備を設けた場合には、
高圧電源に対して系統連系するため、低圧の系統連系で設置される保護継電器の他、
地絡過電圧継電器(OVGR)を追加で設置する必要があります。

低圧の系統連系では、OVGRの設置義務はありません。
みなし低圧連系をすることで、保護装置は低圧と同様まで簡易化出来ますから、
OVCRを設置しなくても良いのです。
OVGRの設置コストを削減出来、受変電設備への設備負担を軽減出来ます。

通常、みなし低圧連系を適用したい場合
「発電設備の容量が受電電力の5%程度で、常に発電設備からの電力を構内で消費できること」という条件を満たせば、
管轄する電力会社との協議で高圧系統連系を低圧系統連系とみなせます。

1,000kwを契約電力としている需要家で、10kwの太陽光発電設備を設置した場合、
太陽光発電設備の比率は1%であり、この条件を適用出来ます。

 

FRT機能とは

太陽光発電設備が大量に連系されている系統が一斉に解列すると、
接続されている電力系統に著しい外乱を与え、
電力品質を大きく低下させてしまう原因となります。

大規模な解列が発生した場合、電圧変動、周波数変動が発生し、
配電線に接続されている他需要家への電力品質の低下を引き起こす恐れがあります。
これを防止するため、
事故時運転継続要件としてFRT(Fault Ride Through)
と呼ばれる機能が規定されています。

現行の「電力品質に係る系統連系技術要件ガイドライン」では、
不足電圧の発生による発電設備の解列が規定されていますが、
電力系統の乱れによって解列をするべきか、又は運転継続するべきかは規定されていません。

今後広く普及されると予想される太陽光発電設備の電力品質確保を求めるため、
FRT要件が規定されています。

JEAC9710-2010 2011年追補版では、
低圧連系する発電設備のFRT要件として、
電圧変動に対する動作と周波数変動に関する動作が規定されています。

 

  • 電圧低下によるFRT要件

「残電圧20%以上で、継続時間が1秒以内といった、
瞬時電圧低下に対してゲートブロックせず運転継続を行い、
電圧の復帰後0.1秒以内に、電圧低下前の80%以上の出力に復帰する」

「残電圧20%未満で継続時間が1秒以内の電圧低下に対してはゲートブロックで対応し、
電圧復帰後1秒以内に電圧低下前の80%以上の出力に復帰する」

 

  • 周波数変動に対するFRT要件

「ステップ状に+0.8HZ(50HZ地域)又は+1.0HZ(60HZ地域)、
3サイクル間継続する周波数変動では運転継続する」

「ランプ状の±2HZ/Sの周波数変動では運転継続する。
上限51.5HZ・下限47.5HZ(50HZ地域)
又は上限61.8HZ・下限57.0HZ(60HZ地域)とする」と規定されています。

 

設置した発電設備等で、電気事業者へ売電したり、電気事業者からの買電を抑制し、
電気料金の削減を上手に行いましょう。

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