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ちょっとした思考実験

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

ちょっとした思考実験

思想及び良心の自由(憲法19条)

ちょっとだけ思考実験というか、思想の練習をしたいと思っています。

憲法の19条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」
との規定があります。
そして、憲法の本には思想良心はぜったに侵害してはならない権利であるとされています。

つまり、国家権力はたとえどんなに危険な思想であっても、
これを害してはいけないというものです。

 

確かに、一般的には、まあ、心の中でどんな恐ろしいことを考えていても、
それを国家権力が介入してどうこうするというのは、良くないように思えます。

ただ、この条項を絶対として、どのような状況があってもだめだろうか?
という、思考上の状況を想定してみたいと思います。

この、思想や良心自体自体が実行に移されない限り普通は問題がないので、
少し極端な例を作りたいと思います。

たとえば、

「今の世界は自然を壊し、動植物を殺し、作り替えており、
人間というものはこの地球で生きていくべきではない。
また、どんどん環境が悪化していくこの地球で
今後長い間生きていかなければならない子供は、
自然や動植物を害してたくさんの罪を犯す前に、殺してあげた方がいいんだ」

という、きわめて極端な思想が生まれてきたらどうでしょうか。
ちょっと、極端だとは思いますが、なんとなく、
こんな思想は今の日本にもちょっとだけありませんか?

そして、この思想を現実に移して子供などを殺害する事件が起こっていたらどうでしょうか。

一定の殺人鬼などではなく、この思想を持った複数の人物がおこなっており、
今は実行に移していないが、これからこのような、
犯罪を犯す可能性がある人が一定数いる可能性がある。

しかし、その可能性のある人物を探すことは今のところとても難しいという場合に、

例えば、踏み絵のような方法で、その思想をはかることができるのなら、
その時は、緊急事態として、犯罪を犯していない段階であっても、
このような思想良心を持った人物を特定して、
一定の措置をとることは、許されないのでしょうか?

という、思考実験をしてみました。

この私の検証結果でいうと、思想良心の自由といえども、
状況によっては侵される可能性があるし、
それが正しいとされる場合もあるのではないかということです。

憲法19条

 

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