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ダイナミック式とコンデンサ式の違い|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

ダイナミック式とコンデンサ式の違い

音声を電気信号に交換し、
ミキサーやアンプに対して信号を供給するマイクロホンですが、
集音の仕組みにより「ダイナミック方式」と「コンデンサ方式」に分類されます。

ダイナミック方式は、
安価で耐久性が高いという利点がありますが、繊細な集音に適していません。
対してコンデンサ方式は高価で壊れやすいのですが、
レコーディングなど繊細な集音に適しているという特徴があります。

ここでは、マイクロホンの種類や特徴について解説します。

ダイナミックマイクロホン

機械的振動に強く、破裂音の大音響にも耐える高い耐久性を持ったマイクロホンです。
会話における「吹かれ(パ行の発生)」に対しても、明瞭な放送が可能です。

温度や湿度による影響を受けにくく、本体の構造が丈夫で取り扱いが容易なため、
広く使用されています。
周波数特性はコンデンサ方式に劣り、
レコーディングやピアノ演奏などの集音など、繊細な利用には適していません。

 

コンデンサマイクロホン

周波数特性が良く、繊細な集音に適したマイクロホンです。
ピアノなど繊細な集音に適しており、レコーディングなどで利用されています。

ダイナミック方式と違い、別途電源を必要とします。
コンデンサの信号を増幅するため、トランジスタが搭載されており、
この動作に電源が使われます。

高い集音特性が利点ではありますが、耐久性に乏しく、「吹かれ」に弱く、
破裂音によって故障する恐れがあり、デリケートな取り扱いが求められます。

ハウリングの発生原因と対策

ハウリングとは、マイクとスピーカーが同じ空間にある状況において、
スピーカーから放出される音がマイクに再度入り込むことにより循環し、
増幅が繰り返された際に発生する大音量のことです。単一周波数における最大出力が放出され、「キーン」という音に交換されます。

ハウリングは、スピーカーやマイクの指向性が広く、
音を拾いやすい環境にあると発生しやすくなります。

空間内における定在波の共鳴や、
マイク・スピーカーの特性にピークがある場合にも発生し、反響しやすい空間で頻発します。

マイクとスピーカーを別の場所に設置「PAシステム」であれば、
ハウリングが発生する恐れは少なくなります。
マイクとスピーカーが同じ空間にある「SRシステム」では、
ハウリングが問題となりやすいため、配置計画に注意を要します。

ハウリングを防止する方法として、
イコライザーによるハウリング周波数の低減(ハウリングサプレッサー)を設ける
という方法もあります。

スピーカーの種類と特徴

スピーカーは、アンプで増幅された電気信号を「音」に交換する装置で、
音質を左右する重要な要素の一つです。
スピーカーには、「ホーン」「コラム」「コンポーネント」など、
形状によって多くの種類があります。

ホーン型スピーカー

ホーン型スピーカーは、再生帯域が、狭いのですが、
大音量を遠くまで伝送出来る特徴があります。

町役場や消防署などの公共機関が、地域全体に対する広域放送を行うスピーカーなどでは、
トランペットスピーカーと呼ばれるホーン型の大音量スピーカーが用いられています。
音質は良くないですが、音声が比較的聞きやすく、かつ遠くまで届きます。

コーン型スピーカー

コーン型スピーカーは音質を重視する場所に使用されます。
天井面にスピーカーを複数取り付けて、
意匠的に目立たなく構築するような計画も可能であり、
非常放送や業務放送用のスピーカーとして広く、普及しています。

防爆仕様のスピーカー

放送設備を設置する環境に合わせて、
屋内型・防滴型・防水型・防爆型のラインナップがあります。

軒下にスピーカーを設置した場合、
防滴型のスピーカーにしなければ絶縁不良の原因となるため注意を要します。
屋上駐車場など、雨が直接掛かる場所では防水型のスピーカーを選定すると良いと思います。

業務用スピーカーは、一般的な屋内空間や屋外だけでなく、
工場や研究所など危険物を用いる場所に設置する例もあります。

爆発性のある危険なガスが発生する恐れのある場所にスピーカーを設置する場合、
防爆型スピーカーが求められます。
防爆仕様でなければ、火花によって引火し、爆発事故につながる恐れがあります。

放送設備の音源装置

放送設備に組み込む音源装置の一つとして、
CDやDVDを再生するためのBGM装置、自動案内放送を流すためのボイスデータ、
時間制御を行うプログラムチャイムやタイマーなど、多くの機器が組み合わせられています。

ミュージックマシン

ミュージックマシンは、
カセットテープやMD、CD、DVD、SDカードなどを媒体としたBGM用の音源です。
カセットテープやMDは従来から使用されている古い音源ですが、
長時間音楽を流し続けることから、回転駆動を主とする装置では劣化の進行が早くなります。

回転駆動系の機器ではなく、
メモリーカードなどを使用したデジタル再生装置が広く普及しています。
現在の設備設計では、CDやDVD、メモリーカードの採用が一般的です。

プログラムチャイム

プログラムチャイムは、チャイムに関する制限を主に行う機器です。
始業チャイムや案内放送チャイムを設定することで、
定時チャイムや定時音楽を自動演奏出来ます。
曜日や週間の設定の他、年間タイムスケジュールや、
企業の創立記念日といった特殊日設定も可能です。

プログラムチャイムには時計が搭載されており、
放送品質の向上にあっては「時刻合わせ」が重要となります。

学校用途では、秒単位で建物全体の時間を整合させなければ、
授業時間や試験時間、登下校の時間にズレが生じ、クレームなど大きな問題に発展します。

時計設備からの信号を受けて、建物全体の時間を統一するのが一般的ですが、
無電圧接点で時刻合わせができる製品もあるので、計画に応じて使い分けると良いと思います。

音声データはCFカードなどのメモリディスクが広く使用されます。
一般的な4音チャイムの他、
学校などで頻繫に使用される「ウエストミンスターの鐘」「朝(ペールギュント)」
などが収録されています。

マトリクスユニット

CDやDVD、マイク放送、有線放送、非常放送、緊急放送など、
多くの音源が設けられたシステムの場合にその優先順位を設定し、
多数の放送を制御するための装置がマトリクスユニットです。

商業施設を例として解説します。
売場では販促に関する放送を流し、共用通路やエレベーターホールでは
BGMや迷子放送を流すなど、一つのシステムで多くの異なる放送を流すことが可能です。

複数の放送電源に対して、優先順位の設定が可能であり、
BGM放送<マイクロホンによる案内放送<緊急地震速報<火災放送
といった優先順位を設定しておけば、より重要な放送を上書きして放送出来ます。
上書き放送をフェードインするなど、明瞭性を高める機能なども搭載されています。

アッテネーターの計画方法

スピーカーの音量調整を行う機器はアッテネーターと呼ばれます。

壁付けのプレートにアッテネーターを組み込み、
ツマミを調整することでスピーカーからの音量が調整出来ます。

主装置の音量設定はそのままに、スピーカー側での個別調整が可能となるため、
部分的に反響が大きく聞きづらいような場合であっても、
スピーカー単体の音量調整によって解決し、系統全体の音量に影響を与えずに済みます。

アッテネーターでは3段階の音量調整が可能です。
通常は最大音量で設定しておき、反響が問題になるような場所では、
音量を下げて運用すると良いと思います。

アッテネーターでは、天井や壁に設けられたスピーカーへの内蔵が可能です。
アッテネーター内蔵スピーカーを使用すれば、天井の高さや部屋の広さに応じて、
音量の個別調整が可能となるため便利です。

会議室や執務室などでは、スピーカーの音量を利用者が自由に設定出来るよう、
壁面にアッテネーターを設けるのが一般的です。
スピーカー本体にアッテネーターが内蔵されている場合、調整が著しく困難になります。

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