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省エネ|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

省エネ

省エネルギーとは、資源や燃料、電気やガスの消費を小さく抑え、
かつ同一の効果を発揮させるための方法です。
目標となる結果や効果に対し、
消費するエネルギーが小さいほど省エネルギーの効果が高いと言えます。

日本は自給自足出来る資源が少ない国であり、
資源の多くを諸外国からの輸入に依存しています。
限りある資源をより効果的に利用するために、省エネルギーの考え方は非常に重要です。

エネルギー消費を小さくし同じ効果

建築物の省エネルギーを推進するためには、エネルギーを使用しないことが最も効果的ですが、エネルギーを消費しなければ経済活動が成り立ちません。
必要なエネルギーの消費を許容し、如何に省エネルギーを図るかを検討しなければなりません。

省エネルギーを図る為の分類は、大きく下記の4項目となります。

  • エネルギーの効率改善
  • 排熱再利用
  • 使用時間の効率化(削減)
  • 断熱性能の向上

エネルギーの効率の改善方法

同じエネルギー消費でも、より高い効果をもたらすことで省エネルギーを図る方法です。
エネルギー効率改善の効果が分かりやすい設備は、照明とエアコンです。

 

  • 照明の省エネルギー

現在多くのメーカーが生産縮小に進んでいる白熱電球でありますが、
電気エネルギーを熱と光に変換する設備として普及してきました。

白熱電球は電気エネルギーの多くを熱としてしまい、
本来必要としている「光を取り出す効率」が低い特徴があります。
蛍光灯やHID照明、最近ではLED照明が普及していますが、
照明器具に置き換えることで、大きな省エネルギーを図る事が可能です。

電気エネルギーを使用せずに照明効果を得る方法として、
光ダクト、トップライト、ハイサイドライトによる自然採光を取り入れる
という手法があります。

太陽光という無限のエネルギーを活用することで省エネルギーを図る技術であり、
現在でも数多くの建築物で採用されています。

光ダクトでは大きな問題にはなりませんが、
トップライトやハイサイドライトは建築物の内部に直射日光を導入してしまうため、
室温上昇というデメリットがあります。

冬季であれば熱負荷低減に寄与する可能性がありますが、夏季に冷房を強くしなければならず、空調によるエネルギー消費量を高めてしまい本末転倒になってしまいます。

 

  • エアコンの省エネルギー

エアコンはヒートポンプの原理を活用した空調設備で、
与える電気エネルギーに対して得られる冷房・暖房能力は3倍~5倍にもなります。

空調用語では成績係数COP(Coefficient Of Performance)
と呼びますが、業務用エアコンでCOP3、
家庭用ルームエアコンではCOP5~6を確保出来ます。
COPが高いほど、効率が良い空調であると判断出来ます。

高効率な空調機を選定し、同じ冷暖房効果を得つつ、
使用する電気エネルギーを削減出来れば大きな省エネルギーにつながります。
空調機の省エネルギーには、高効率空調機を選定するだけでなく、
その制御も大きな効果を生みます。

「変流量・変風量制御」「CO2濃度制御」「BEMS」といったシステムを導入することで、
大きな熱負荷を必要とする場所や時間帯では最大能力を発揮させ、
熱負荷が少ない場所や時間帯では、
能力を抑えて省エネルギーを図るといった綿密な制御が可能です。

 

排熱の再利用による省エネルギー

軽油や重油、ガソリンなどを使用して内燃機関を燃焼させた場合、高温の排熱が発生します。
これは大気中に放出するだけでは何のメリットもありませんが、
この高い熱量を空気や水に与えることで暖房負荷や給湯負荷に熱交換出来るため、
大きな省エネルギーを図る事ができます。

温水プールや温泉、大浴場など熱負荷を必要とする設備では、排熱を熱交換し、
与えた水を昇温出来、排熱無しの状態と比べて大きく省エネルギーを図る事が可能です。

清掃工場では、ゴミを燃焼させる設備から常に多くの熱量が放出されているため、
排熱を空調機や給湯設備に供給することで省エネルギーを図っています。

清掃工場等の付近に温水プールなど水浴施設が設けられていることが多いのは、
排熱の供給を受けることで、暖房と温水生成のコストを大幅に低減でき、
CO2削減に寄与出来る為です。

建築設備分野では、コジェネレーション設備として、
発電機から「電力」と「排熱」を取り出すことが可能であり、
省エネルギー設備として活用されています。

 

使用時間の効率化

誰もいない場所では照明を消す、大きな部屋の一部を使用している場合は部分点灯にするなど、電気の無駄遣いを削減する方法です。
人の手でスイッチをON・OFFするのは、消し忘れにつながるので、
センサー付き照明器具や、タイマースイッチなどを利用し自動制御するのが一般的です。

日常的に使用する照明器具や換気装置はON・OFF出来ますが、
避難階段の誘導灯の防災設備は、日常的に使用することが無くても
点灯しておかなければならない設備です。

これは調光機能や、ON・OFF機能付きの器具を選定することで
省エネルギーを図る事が出来ます。

 

断熱性能の向上

与えられた熱を逃がさず、長時間使用する事で省エネルギーを図る方法です。
高気密マンションでは、室内に熱を与えた場合、又は冷房して冷やした場合、
その熱を外部に出さず長時間利用することを考慮しています。

熱が容易に逃げてしまうと、
更なるエネルギーを投入しなければならないためエネルギーの浪費につながります。

窓や外壁など熱の移動が著しい部分を断熱することで、
熱の流出を防止出来省エネルギーを図れます。
断熱は省エネルギーの他、結露の防止など多くの役割を持っています。

ブラインドやカーテン、ルーバーや庇(ひさし)を設けるのは、
直射日光による熱負荷を大きく低減出来るため有効です。

 

次回は建築設備分野での省エネルギーについて考えてみましょう。

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