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省エネ②|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

省エネ②

建築設備分野においては、無駄なエネルギーを使用しないように負荷を制限する方法、
効率を高めることでエネルギーを効率良く利用する方法、
太陽光発電や風力発電を利用する方法が考えられます。

負荷を制限する方法

無駄な電力を抑えることで、省エネを図る手法です。具体例をいくつか紹介します。

    • 空調機の温度設定を上げる
    • 負荷の力率を高める
    • 照度を下げる
    • 照明を消す

空調機の温度を高くすれば、
空調機に内蔵されているコンプレッサーの運転時間が短くなるため、
消費電力が小さくなります。
負荷の力率を進相コンデンサなどで改善すれば、無効電力が小さくなるため省エネになります。

照明の照度を下げたり照明を消すことで、消費電力が小さくなるため省エネになります。
照明の照度を下げる方法としては、照明の点灯割合を下げる方法もありますが、
初期照度補正による方法や、
人感センサーによる不在時消灯の自動化なども手法として考えられます。

エネルギーの効率を高める方法

ある基準の目標に対し、エネルギー消費をより小さく抑えることで省エネを図ります。
無駄に使用される部分を小さく抑えたり、
排気や排熱を回収して再利用する手法が考えられます。

    • 動力設備のインバーターによる制御
    • 照明の自動点滅制御
    • 中央監視設備によるエネルギー管理
    • コージェネレーションシステム等による排熱利用
    • 高効率器具の採用
    • 電力平準化・ピークカット

動力設備をインバーター制御することで、
必要な負荷に対して必要な運転量となるように制御するので、
過剰な運転による無駄を抑えられます。

照明制御も同様に、人がいない場所を照明する必要は無く、
昼光が入る場所では人工照明を消せます。

中央監視設備に機器の運転時間や消費電力、各種温度制御状態を把握出来るので、
より効率の良い運用方法を提案出来ます。
コージェネレーションシステムを採用すれば、電力の発生と排熱の再利用が同時に行えるので、効率を飛躍的に高める事が可能です。

高効率器具を採用することで、同一の能力を得る為の消費電力を削減出来ます。
インバーター蛍光灯や高効率空調機の採用などが考えられます。

電力平準化とピークカット

電力平準化は、深夜電力と昼間電力の差を平準化させて電気料金の削減を狙うものです。

電力会社が運転している発電設備は、運転と停止を頻繫に行えないため、
深夜も昼間も同様に運転し発電しています。

深夜の電力は過剰に生成されている状態になっているため、
これを平準化することで効率を高める方法です。

電力会社では、深夜の電気使用料金と昼間の電気使用料金に差を付けており、
深夜電力の方が安価です。
深夜電力を貯蔵した電力を放電することで、電力を平準化し、
ピークカットも合わせて行うという手法となります。

どれも数多くの採用実績があり、省エネルギーとして有効な手法です。
省エネルギーを行うためのコストが発生することもありますが、
初期コストの上昇があっても運用コストが削減出来る場合があるので、
長期的なコストの計画を行い、最適なプランを考える事が重要です。

太陽光発電や風力発電を利用する

太陽光発電や風力発電は、化石燃料を使用せずに発電を行えるため、
クリーンな電力源であるとされています。
電力平準化やピークカットとして太陽光発電設備を利用出来ますが、
設置コストが大きいことに注意が必要です。

国による補助を受けられる場合があるので、
これらを活用することで設置コストを低減出来ます。

申請書類の作成手続きや、設置後の定期報告など、多くの業務が発生するので、
これらの人件費や運用コストも視野に入れておく必要があります。

自然エネルギーを利用した発電設備は、設置する土地の状況、
周囲の環境(風況や日射量)に大きく影響するので、これらの条件を十分に検討し、
効率良く発電を行う事が出来るかお判断すべきでしょう。

 

ZEB(ゼロエネルギービル)

建築物への環境配慮への気運は非常に高まっており、
近年ではZEB(ゼロエネルギービル)という考え方が広まっています。

経済産業省が主体となり策定しており、CO2削減という大きな目標を達成するため、
国内で新築する公共建築物について2030年にZEB化を達成するとしています。

ZEBは英国や米国が先進国であり、
英国では2016年に全ての新築住宅・新築学校のZEB化を目標とし、
2019年までに全ての新築非住宅建築物をゼロカーボンとする目標を打ち立てています。

ZEBの定義

ZEBについて、経済産業省は「建築物における一次エネルギー消費量を、
建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、
オンサイトで再生可能エネルギーの活用等により削減し、
年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる建築物」
と定義しています。

「建築物の省エネルギー性能の向上」「運用・管理面での省エネチューニング」
「建物利用者の省エネルギーに配慮したワークスタイル」というように、
多くの要素を複合させてゼロエネルギーを目指します。

建築物の省エネルギーといえば、LEDなどを基本とした高効率照明、
高効率空調機の採用などが一般的ですが、
建物の消費エネルギーを低減するだけでは一次消費エネルギーをゼロに出来ません。

エネルギーの消費を出来る限り低減させた上、太陽光発電や自然採光、
太陽熱利用の「創エネルギー」を組み合わせることで、ゼロエネルギーを目指しています。

ZEBの省エネ設備

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