実用新案はやはり使い勝手が悪い:特許と実用新案で迷っています?と聞かれた場合

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有
               

実用新案はやはり使い勝手が悪い:特許と実用新案で迷っています?と聞かれた場合

使い方次第です!実用新案出願(実用新案申請・実用新案権)の使い道

のような記事を書いておいて、なんなんですが、

やはり、「特許と実用新案を迷っています。どちらがいいですか?」
と聞かれてしまうと、特許ですと答えざるを得ません。

上のページは、実用新案にも可能性はないわけではないというスタンスで書いたため、
少し、実用新案に下駄をはかせているので、基本的に特許の方がいいです。

実用新案の方が絶対にいい場合

間違いなく、実用新案にしましょうと断言できるのは、以下の3つの場合です、

① 権利行使をする予定はなく、単に、権利があればいいという場合です
このような場合には、コストも安いですし、権利化も早いですし、権利化できない恐れもない
実用新案が一択です。

② とにかく早く権利化したい場合
実用新案の登録にかかる時間は2カ月ですので、特許の一番早くて1年はかかる特許とは雲泥の差です。

③ ①とタブるのですが、進歩性が新規性がないことはわかっているが、とりあえず権利が欲しい場合

その他の場合は特許がいい

このような特殊な場合でなければ、特許の方がいいとほぼ断言できます!

以下その理由を説明させていただきます。

(1)費用の点

費用がないのですが特許・実用新案どちらがいいのですか:本当に特許の方が高いのか?」

のページでも書いたのですが、
出願時点では、特許と実用新案とでは費用の差はほとんどありません。
むしろと実用新案の方が高いのです。

また、特許で、出願後に費用が掛かってくるのは審査請求の際とその後の拒絶理由対応です。

そして、審査請求は出願直後からその3年後までの好きな時に可能です。
ということは、審査請求を3年後にすれば、その3年後までは実用新案よりも特許の方が安いのです。

そして、重要な技術(費用をかけてもしっかりした権利をとるべきである技術)であるか否か、
判断できるのです。

その判断の結果、重要な技術であるということであれば、特許をとるために追加でかかる費用など
たいしたことではないはずです。

他方、もし、重要でなければ審査請求しなければいいのですから、
その場合には、実用新案よりも特許の方が安かったということになるはずです。

(2)実用新案技術評価書がとにかく使い勝手が悪い

実用新案は、出願後2カ月ぐらいで登録になります。
その後は権利行使ができるのですが。

その際に制限があります。
実用新案技術評価書というのをつける必要があります。
 
この実用新案技術評価書は、審査官が作るのですが、
一方的に作るため大変厳しい評価がなされることが多いです。
具体的には、この実用新案は新規性や進歩性がない可能性が高いという評価が来る可能性があります。
 
一応、悪い評価であっても権利行使(裁判をすることは)は可能ですが、
裁判で負けると、評価の悪い技術評価書で裁判をしたということで、
逆に相手から損害賠償を請求されることが可能な仕組みになっております。
 
実用新案技術評価書を受けた際に、
1回だけ、修正する機会はあるのですが、
たった1回だけしか機会がないため、かなり、安全を見た修正になってしまいます。
つまり、安全を見るということは、権利範囲がすごく狭いものになることが多いです。
 
それに対して、特許出願は、拒絶理由通知という形で何度もの対応するきかいがあるため、
特許庁の出方などを見ながら、権利範囲で最大の範囲を探ることが出来ます。
そういった意味で、実用新案は使いづらいのです。
(3)結論

以上の理由から、できることなら特許での出願をお勧めします。

関連ページ

特許・実用新案・意匠の違い(どれを選択すべきか)もご参照ください。

弁理士会の実用新案権の説明

©弁理士 植村ぁmレm@絵^子

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