速報17 外国人のビザ|「単純労働」の緩和 ~「基本方針」の閣議決定~

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
注1:職業紹介は植村貴昭が行います
 (屋号:日本海外人材支援機構)
注2:特定技能の登録支援は
 一社)日本海外人材支援機構が行います

速報17 外国人のビザ|「単純労働」の緩和

~「基本方針」の閣議決定 全貌まとめ

「2つの方針」とはなにか?

入国管理法の改正案が参議院を通過し、今年の春から施行されるというニュースが世間を騒がしました。

この改正法は、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に、外国人人材を受け入れることを目的としておりますが、その制度を運用するにあたっては、2つの方針の策定が必要であると、法文によって規定されています。

第二条の三 政府は、特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 第二条の四:法務大臣は、基本方針にのつとり(…)、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(以下「分野別運用方針」という。)を定めなければならない。 入国管理法(新)http://www.moj.go.jp/content/001273528.pdf

つまり、政府がまず「基本方針」を策定し、これを基に、法務大臣がさらに「分野別運用方針」を定める、ということになります。そして、今回決定したのが政府が策定した「基本方針」です。

簡単に言ってしまえば、法律で「外枠」を作っておき、その中身は、行政が決定するということが行われているのです。


基本方針の決定で何が明らかになった「外国人人材」

以下、これから企業が雇うことになる外国人について、どのような人材が予定されているかにつき、決定された事項を箇条書きで列記したいと思います。

  • 「1号特定技能外国人」は、通算して5年を超えて日本に在留できない
  • 「1号特定技能外国人」に対しては、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」が求められる。これは、即戦力になるべき水準である。
    • 即戦力になるかどうかの水準は、分野ごとの「試験」によって測定する。
  • また、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本」としつつ、分野ごとに「業務上必要な日本語能力水準」が求められる。
    • 日本語の水準は、それぞれの分野を所管する行政機関が定める「試験」によって判断する。
  • 上記の2つの「試験」は、原則として国外の試験実施機関において行う。

特定技能制度のコアとなる「2つの機関」について

特定技能制度を運用するにあたって、外国人が密にかかわる2つの機関について詳細が徐々に明らかになっています。

登録支援機関と特定技能所属機関

「特定技能所属機関」とはなにか?

外国人が、受入れ先となる日本の企業に就職する場合には、当然ですが雇用契約の締結が必要となります(「特定技能雇用契約」)。

そして、この受入れ先企業のことを「特定技能所属機関」といいます。

(特定技能)雇用契約には、日本人と同等以上の待遇が求められており、さらに、企業(特定技能所属機関)は、外国人が、「職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(「1号特定技能外国人支援計画」)を作成しなければならないと」法律で規定されています。

「登録支援機関」と「支援計画」とは何か?

そして、この「1号特定技能外国人支援計画」の作成をするのは、原則として受入れ先企業ではありますが、当該「外国人支援計画」の作成及び実施を「登録支援機関」を委託できる、とあります。

1号特定技能外国人支援」の具体的な内容を見てみましょう。

  • 外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解することが できる言語により行う。)
  • 入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
  • 保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
  • 外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む。)
  • 生活のための日本語習得の支援
  • 外国人からの相談・苦情への対応
  • 外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
  • 外国人と日本人との交流の促進に係る支援
  • 外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除 される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援

雇用形態と「転職」

基本方針によれば、雇用形態は、「フルタイムとした上で、原則として直接雇用とする」とあります。

なお、農業や漁業の一部の業種については、派遣が可能となる予定です。

そして、今回の特定技能制度では、転職が認められるというのが、大きなポイントです。 つまり、企業の待遇がブラックであった場合には、被用者である「特定技能外国人」は、他の会社に転職してしまう可能性が大いにあるということです。

いかがでしたでしょうか。 しっかりと外国人に対する支援体制を整えなければ、今回の特定技能制度を利用することもできません。

また、外国人には大きなイニシアチブがありますので、企業の透明性が、信頼関係を続けるために非常に重要になってきます。

次回はもう一つの方針である「分野別運用方針」について、詳しく見ていきたいと思います。

速報18 外国人のビザ|「単純労働」の緩和~「分野別運用方針」の決定1~はこちら

出入国管理庁の特定技能ページはこちら
特定技能試験の特徴と申し込み方法はこちらをご覧ください

©行政書士 植村総合事務所 代表行政書士 植村貴昭

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