速報9 外国人のビザ|「単純労働」の緩和

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
注1:職業紹介は植村貴昭が行います
 (屋号:日本海外人材支援機構)
注2:特定技能の登録支援は
 一社)日本海外人材支援機構が行います

速報9 外国人のビザ|「単純労働」の緩和

前回の記事でも紹介しましたが、自民党本部での法務部会では、入管法改正案を条件付きで了承したとの報道がありました。

党内でも問題となっているのは、新しく創設される予定の「特定技能ビザ」が、「事実上の移民政策」なのではないかという指摘です。

特定技能と移民政策

 決議案は2号の要件厳格化に加え、改正案成立後に政府が受け入れ人数などを定める際、自民党と十分に議論することなどを求める内容。法相は同部会で「決議案は極めて大事だ」と表明。さらに、「特定技能2号は1号の単なる延長にならないよう現行の在留資格の技能水準と同等またはそれ以上の厳格な設定にする」と述べた。 出席議員は決議案の修正を長谷川氏に一任し、改正案を拍手で了承した。ただし、一部の出席者からは了承しないとの声も上がった。 「新在留資格、条件付きりゅしょう=特定技能2号を厳格化―自民部会」時事ドットコムニュース

「移民政策」とは何か

政府は「移民政策は取らない」と言いますが、そもそも「移民政策」とは何でしょうか。 日本在留に係る「移民」の定義は、「定住を前提として日本に在留をする者」を意味すると考えられます。

例えば、ドイツやフランス等の欧米諸国は、滞在期間の限定を行い、就労を認める在留資格を付与しており、台湾やシンガポール等も同様です。

そして、諸外国は、限定+定住化は、許さないとするのがスタンダードであり、家族の帯同も認めないとしています。

一つの意見としては「家族も一緒に来たって良い。母国に残すのはかわいそうではないか」という感情論も散見されますが、現実は、そう単純ではないようです。 ドイツのメルケル首相(2010年)「多文化主義は完全に失敗」したと発言をしました。

しかし、これらの定住した移民は、ドイツ語が話せないなど社会に溶け込めず、失業率の高さなどが社会問題となった。2009年には外国人の失業率は12.4%とドイツ人の2倍、中途退学率も13.3%とこれもドイツ人の2倍となっている。 こうした現状に対し、メルケル首相は「多文化主義は完全に失敗した」と発言し、そのために「(多文化社会をつくり移民を”放置”するのではなく)移民が社会に溶け込み、社会が彼ら/彼女らを受け入れる状況を生み出すために、ドイツはもっと努力しなければいけない」と国民に呼びかけたわけである。 これは、移民政策に反対する、という意味ではない。この時「ドイツ語が下手な人を門前払いするようなことはすべきではない」とも発言している。ドイツ社会と移民が互いに受け入れ合うべきだというのが本音だ。 しかし、この発言から現在まで、メルケル首相は欧州危機や外交問題に注力し、国内も経済的に成功して移民に対する国民の不満が弱まったこともあり、うまく統合は進んでいない。生活保護受給者の割合は移民が40%近くを占め、犯罪率も高い。 メルケル首相「多文化主義は完全に失敗」ー今この発言に注目すべき理由』HUFFPOST

もちろん、この発言は、「外国人はドイツに来るな」と言っているわけではなく、あくまでも、移民を受け入れた後の問題に直面した時に、どのような対応を取るかを真摯に考えなければならない、という旨の警鐘に他なりません。

※ メルケル首相は、今期を以て引退することを表明しています。(https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181030/soc1810300012-n1.html)


「特定技能2号」

「特定技能2号ビザ」は、「1号」ビザからの更新(許可)によって認められるものであり、在留期間を無期限で更新できるほか、家族も呼び寄せが可能であると予定されています。

このときの許可基準の一つとなるのが、「特定技能1号」での在留中に、一定の「熟練した」技能レベルを習得した場合のみ、というものです。 そして、その基準が未だ曖昧であるために、自民党法務部会では、慎重意見が相次いでいるとの報道もありました。

また、公明党内の30日の部会では、入管法改正案は了承がされていませんでしたが(「公明、部会了承見送り 入管法改正案で 」日経経済新聞)、31日には了承があった模様で、政府は、明日、11月2日に政策会議を行う予定(「公明党、入管法改正案を了承 政府11月2日に閣議決定へ」産経新聞)であるとのことで、どのような内容が閣議決定されるのかに注目が集まっています。

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©行政書士 植村総合事務所 代表行政書士 植村貴昭

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