特定技能での転職の手続き(申請)・期間・技能実習(特に、技能実習3号(4年目、5年目))との違い

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
注1:職業紹介は植村貴昭が行います
 (屋号:日本海外人材支援機構)
注2:特定技能の登録支援は
 一社)日本海外人材支援機構が行います

特定技能での転職の手続き(申請)・期間・技能実習(特に、技能実習3号(4年目、5年目))との違い

0 技能実習から特定技能への転職

技能実習から特定技能のへの転職について知りたい方は↓ページです。
特定技能での雇用を考えている企業・個人事業主の方へ
技能実習から特定技能への変更

なお、技能実習か特定技能のどちらにしようか迷っている方は、
下記に記載がありますので、読み進めてください。

1 特定技能は転職可能?

特定技能での転職は可能です。

ただし、法律的に可能というだけ現実的には難しい!!です。
その理由は、このページで記載していきます。

対比として、技能実習の場合には、コロナで雇い止めになった場合などの特例ではない限り、
転職が認められていません。

他方、法律的には、特定技能はこのような法律的な制限がありません。
そのため、転職可能ではあります。
が、そう簡単ではないので、以下説明します。

技能実習3号との違い

先日、就労している外国人を技能実習の3号(技能実習の4年目、5年目)
特定技能への変更かを悩んでいる。との相談を受けました。

特定技能にしたら、転職が可能となってしまうため、
技能実習3号にしようと思うとのことでした。

確かに、技能実習3号のままでは、転職(職場を変えること)はできません。

しかしながら、技能実習3号になれるということは、
特定技能に変更する条件はすべてそろっています。

となると、いつでも、特定技能として転職は可能ということになってしまいます。

技能実習3号にするため、一度帰国させ、また日本に呼び寄せるための
各種費用は結構高いです
(渡航費、再度のビザ代、送り出し機関への支払い)
そのことを考えると、特定技能1号に変更したほうがいいのではないかと思います。

技能実習2号を終了した後の選択

特定技能とした場合の就労期間

前述のように、現在、特定技能1号は5年がマックスです。
しかし、今後、特定技能2号までできることを考えると、特定技能に変更したからと言って、
外国の方に働いてもらえる期間が短くなるとは言えないと思います。

2 必要な手続き(申請)とは

特定技能に既になっている場合には転職のために必要な手続き(申請)は、

① 転職先を見つけること

② 在留資格変更許可申請をして認められることです。

②の点について、以下説明いたします。
なお、①の点については、
ベトナム人の失踪・転職が多発(頻発)している:背後にブローカーの存在:特定技能、技能実習生、技術・人文知識・国際業務
も参照ください。

具体的な申請書類は、最初に特定技能へ変更した時と同じです。
特定技能の制度説明(受入条件・技能実習からの変更・ビザ取得条件・外国人の待遇・注意点)特定技能とは?
などに、詳しく記載しております。

特定技能で転職時に特に注意すべきこと

特定技能の在留資格を有している際に転職する場合は、
その在留資格変更許可申請を出すことになります。

なぜなら、特定技能には指定書が交付されます。
その指定書に記載されている会社で働くための特定技能という在留資格だからです。

そのため、この時、なぜ転職したのか(=前の会社を辞めたのか)
きちっと記載した方がいいと思います。

3 ビザの変更が認められないことも

提出する申請は何?

しかし、大きな問題があります。
前述したように、即時、資格変更許可を申請する必要があります。
つまりこれは、新たにビザを取るのと同じ手続き(申請)が必要だということになります。
(=在留資格変更許可申請が再度必要になります。)

技術・人文知識・国際業務ビザで転職時に行う、
所属(契約)機関に関する届出とは全く異なります。

(技術・人文知識・国際業務では、単に届け出れば認められます。
もっとも、更新の際に不許可になる可能性もあります)

具体的には、審査があり一定の確率で不許可になる可能性があるということです。

そして、不許可になれば、在留資格を失うことにもなりかねません。
(正確には、不許可になっても特定活動という30日又は31日にの資格を貰えますが、
その期間内に、新たに申請をする必要があり、それが通るとは限りません。)

ここで、審査されるのは、外国人個人と、新しい就職先の両方が審査の対象になります。

申請で問題となる点1(本人の事情1)

審査の基準は、特定技能を最初に取ったのと同じ内容になります。
一度、特定技能の在留資格を取っているので、本人の問題は、
後述するように、転職しなければならなかった理由部分が重要になります。

あと、最初の特定技能の取得の際に、提出しなかった新たな情報により、
不利になる可能性はあります。例えば、年金の不納や、28時間の時間オーバー、が前の申請時には、
確定申告の時期に到達しておらず、審査の対象にならなかった場合などです。

申請で問題となる点2(辞職(転職)の理由)

まず、外国人個人としては、前の会社を辞めたということで、
よほどの理由が、客観的に示されない限り
(例えば、給与の未払いなど)
不利な心象になることは、どうしても避けられません。

言い方は悪いですが、職を転々とする外国人と思われたうえでの審査になると思われます。

申請で問題となる点(会社の理由)

また新しい就職先も、前の就職先とは異なるため、
外国人を受け入れを認められる会社とは限りません。

財務状況、その他の要素を全てみられることになりますので
新たな受入れと同じように審査されます。

(その会社の操業が短いとか、業種的に不正労働が多いとか、
その会社の財務状況が悪いとか、従業員が少ないとかであれば、
認められない可能性も高いです。)

結果

そのため、認められない可能性も十分にあることになります。

もし、認められない場合は、再度、よりしっかりした会社を見つけるしかないということになります。
簡単に見つけるのは難しいです。

その場合には、給与面よりも、会社の規模などの大きい会社を選ばれることをお勧めします。

4 ビザの申請(手続き)にかかる期間

上記のように、特定技能の場合には、在留資格変更許可申請をし、
それに対して審査があるため、
そのビザについて許可があるまで新しい職場で働くことはできません。

(特定技能の許可は、あくまで会社とセットで許可が出ているからです。
新しい会社での就労は認められません。)

同じように、アルバイト等をすることもできないのです。

前の会社で働くことはできますが、
新しいビザを取得した場合には、その瞬間から働けなくなってしまいます。

(そのため、転職の場合には、ビザの申請のタイミング、
許可が出るとの通知が来てから実際に在留資格の在留カードの書き換えのタイミングが難しいです。)

転職前の会社が、働かせてくれる可能性は低いでしょうから、
結果的に、その為、どこにも働けない期間が生じてしまうことになります。

短くて、1月程度、長くて2ヵ月間無収入の期間が生じます
その際も、国民健康保険、国民年金などは支払う必要が生じます。

(その手続きは、だれもやってくれません。外国人本人がやるしかないです。
もちろん、転職先の会社がやってくれるかもしれませんが、多くはないと思われます。)

なお、いうまでもないですが、この働けない期間に働くことは違法です。
働かせた会社も違法です。刑事罰もあります

そして何よりも、このような事実があると、今後、その会社は外国人就労先として、
在留資格(ビザ)の発行が受けられなくなる可能性が高いです。

そのため、決して、その期間、働いても、働かせてもなりません!

5 就職先のあっせん(弊所の場合)

さらに、通常は登録支援機関等が新しい就職先を見つけることになるとは思いますが、
正直、前の会社を、正当な理由なく辞めてしまった人に
新しい会社を紹介しようとは思いません

今度の会社も辞めてしまうのではないかと思うからです。

途中で辞めてしまうと、こちらも大きく信用を失ってしまうからです。
また、転職させること自体に大きなコストがかかっており、
そのコストを回収できないことになってしまうからです。

真面目に、いい職場をあっせんしようとしている業者で、
転職者に職場をあっせんしたいと思うところは大変少ないはずです。

そのような人を、あっせんするのは、以下のような違法ブローカーだけです。
ベトナム人の失踪・転職が多発(頻発)している:背後にブローカーの存在:特定技能、技能実習生、技術・人文知識・国際業務

6 技能実習生との違い

技能実習の場合、【転職=在留資格を直ちに失う】
という、とても高いハードルがあることは事実です。
しかし、そのハードルが高いがゆえに
会社で我慢ができなくなると、失踪ということになってしまいます。

本人はその瞬間に、在留資格がない外国人になってしまい、
強制送還の対象になるのですが、

その場合、会社なども何か問題があったのでは、など疑義の目で見られ、
いろいろ、今後、不利な扱いを受けています。

それに対して特定技能であれば、どうしても辞めたければ、
失踪のようなことをせずに、一応、会社も本人も傷つかずに辞められるということになります。

それって、転職できる=会社のメリットでもあります。

↓も確認ください。
特定技能では転職してしまうから雇いづらいは本当か?技能実習との比較

7 技能実習生3号との違い

上記の記事は、技能実習1号及び技能実習2号の間(入国から3年目まで)であれば、
のことになります。

この間は、転職は前述のように難しいです。

しかしながら、技能実習3号の場合は異なります。

技能実習3号ということであれば、
特定技能にいつでも変更が可能です。

3号の外国人の場合、特定技能になるためのすべての条件がそろっている状態です。
そのため、特定技能で雇ってあげるとの会社さえ見つかれば、転職可能です。

そのため、

技能実習3号と、特定技能1号の間で人を引き留める力の差はない

ということになります。

言い換えると、

技能実習生3号は技能実習生と転職の際のハードルは変わらない!

ということになります。

8 まとめ

以上より、特定技能で転職は可能です。
しかし、現実上はとても高いハードルがあるということです。

そして、不幸にも、会社との相性が悪くても、

互いに円満な形で別れられる

ということでもあります。

9 関連ページ

出入国在留管理庁のページ

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