年金の脱退一時金:技能実習から特定技能への変更の場合
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
注1:職業紹介は植村貴昭が行います (屋号:日本海外人材支援機構) 注2:特定技能の登録支援は 一社)日本海外人材支援機構が行います |
年金の脱退一時金
:特に技能実習から特定技能への変更の場合
1 脱退一時金
年金には、脱退一時金の制度があります。
この制度は、外国人であっても日本で働く場合には、年金を納める義務があります。
他方、年金を本当にもらえるようになるには、年金を納める期間が10年以上が必要とされます。
そうすると、この10年に満たない期間しか日本で働いていない人は、
年金をもらえないのに、支払ったことになり、
完全に払い損となってしまうということになります。
それは、あまりにかわいそうということで、
外国人などが、日本の職場を離れ、住所を有しなくなった際に、
年金を払い戻そうというのが、この「年金の脱退一時金」です。
ただ、この脱退一時金には、問題があります。
入国して年金を払い続けて3年目までの分は、その支払った年分返金されるのですが、
その後、4年目~9年目の間は、3年分しか出ないのです。
つまり、日本で働いた期間が
1年の人 1年分年金が返金される
2年の人 2年分年金が返金される
3年の人 3年分年金が返金される
4年の人 3年分年金が返金される(1年分損する)
5年の人 3年分年金が返金される(2年分損する)
6年の人 3年分年金が返金される(3年分損する)
7年の人 3年分年金が返金される(4年分損する)
8年の人 3年分年金が返金される(5年分損する)
9年の人 3年分年金が返金される(6年分損する)
10年以上の人 その納付の額に応じて年金が支給されるので損はない。
※ 上記計算は分かりやすくするためのイメージです。
現実にこの額になるわけではないです。
ということになります。
2 今後の予定 5年分まで増える
特定技能という制度ができて、8年(技能実習3年+特定技能5年)近く
日本で働く方が普通になってきて、3年分しか返金されないのは、
あまりに酷いという声が出てきました。
そこで、まだ決定ではないですが、5年分まで増額される予定です。
その結果、以下のようになります。
1年の人 1年分年金が返金される
2年の人 2年分年金が返金される
3年の人 3年分年金が返金される
4年の人 4年分年金が返金される
5年の人 5年分年金が返金される
6年の人 5年分年金が返金される(1年分損する)
7年の人 5年分年金が返金される(2年分損する)
8年の人 5年分年金が返金される(3年分損する)
9年の人 5年分年金が返金される(4年分損する)
10年以上の人 その納付の額に応じて年金が支給されるので損はない。
※ 上記計算は分かりやすくするためのイメージです。
現実にこの額になるわけではないです。
ということになります。
3 最新情報
年金は、五年に引き上げられました。(2020年1月15日情報)
関連リンクのJITCOの年金のだった一時金が5年分になったこと
4 見通し
こでもやっぱり、特定技能での就労が進めば、
それも問題ということで、3年→5年になったように、
5年→7年などのようになる!
のではないかと思います。
5 支給額
3年間働いた場合の支給額は給与の額によっても変わりますが、
だいたい30万円~50万円ぐらいかなぁと思います。
6 どちらが得か(費用面)
例えば、技能実習3年→特定技能5年の8年日本にいた場合。
この場合、おそらくそれまでは5年分まで積み立てられると思いますので、
貰えない額は、3年分となると思います。5年分はもらえるはずです。
ただ、脱退一時金は、一度日本を離れる必要があり、
その場合は、ベトナム、ミャンマーでは、送出機関を再度使う必要があります。
返ってこない費用の3年分と、この送出機関を再度使う費用とどちらがいいのか、
ということになろうかと思います。
7 どちらが得か(将来の年金)
8年で必ず帰るというのであれば、3年分損かもしれませんが、
さらに後2年、何らかの手段、
例えば、特定技能2号、技術・人文知識・国際業務、難民申請、特定活動等
で日本で働くことができれば、
日本政府から年金をもらい続けることが可能です。
日本にいればもちろん、
たとえ、母国に帰っても、日本が現地に年金を送ってきます。
これって、魅力的ではないでしょうか?
特に、特定技能2号などの制度ができる可能性も高く、
その場合には、日本の年金がもらえる資格を得るというのは魅力的ではないですか?
他方、脱退一時金を貰ってしまうと、
支払った期間が、再びゼロになってしまい、年金をもらえようになるのに、
再度10年が必要になります。
もしかしたら、日本にもっといられるかもという場合は、
脱退一時金を貰わないほうがいいと思います。
永住許可取り消しと年金不払いについてはこちら
―――――――以下、フェースブックでの回答――――――――――
@行政書士 植村総合事務所 登録支援機関 代表行政書士 植村貴昭 元審査官