商標権における警告書を送るとき(確認事項、雛形、テンプレート,例)・商標法違反(商標権侵害)

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有
               

商標権における警告書を送る場合・商標法違反(商標権侵害)
(確認事項、雛形、テンプレート,例)

商標権における警告は実はかなりたくさん起こっています。

私も数カ月に一回、警告を送る又は警告を受けています。
そこで、どのように、商標権違反・商標権侵害があった時にどうするのかの例をご説明します。

0 ほんとに商標権侵害?商標権違反?

まず、相手の使用の様子や、自分の権利を確認して、
本当に商標権の侵害・商標権の違反に該当するのか確認しましょう

無断使用しやがって!
マネしやがって!
許せん!

とかの感情をまずは抑えて、
冷静に、裁判したら勝てるだろうかと、考えてほしいのです。

侵害でもないのに警告書を送ってしまうと、あまり可能性は高くないですが、
逆に訴えられてしまう可能性もなくはないです。

侵害であるか否かについては、結構専門的な部分が多いため、
弁理士に依頼したほうがいいと思います。

1 警告を送る前の確認

警告書を送る場合には、以下のことを気を付けましょう。

・権利が本当に自分の物か?(当たり前ですが、念のため)

・権利が今も生きているか?
(商標の維持年金は10年おきです。ちゃんと払って更新しているか確認しましょう)

・権利を3年間使っていて、証拠を出せるか?
(商標は3年継続して使っていないと、不使用取消審判の対象になります。
それが原因で負けることになります。
もっとも、警告を送ると決めてから慌てて使っても間に合います(笑))

・相手がこちらを商標出願するよりも先に使い始めていて、商標出願よりも早い段階で、
有名になっていないか確認しましょう。
(先使用権という権利が発生することがあります。)

・どこまで求めるか、ある程度決めましょう。具体的には、使用をやめさせればいいのか、損害賠償まで払わせるまでやる気なのか。それによって、警告書のトーンが変わるので、ある程度の見通しは立てましょう。
(後から変えることは可能です。)

・どのぐらいのトーンでやるのか決めましょう。
優しくいくのか、怖くいくのか、紳士的に行くのかです。

・相手から逆に、打ち返される恐れがないか確認しましょう。
具体的には、相手の持っている、特許、商標、不正競争防止法でやり返されないかを確認しましょう。

2 警告書に書く内容1(必須の内容)

警告書には、以下の内容を書きましょう。

・商標権の番号(例えば、商標登録123456号)ですね。
・こちらの連絡先
・対応期限
 一般には2週間程度です。

たまに、3日とか馬鹿な期限を指定してくる方がおりますが、
馬鹿だなと思われるだけです。相手に不要な警戒心と、敵愾心を生ませるだけで、
ビジネスとしては馬鹿なことだと思います。

警告書の内容(商標)

3 警告書に書く内容2(必要に応じて書く内容)

   警告書とここまで書いておりますが、別に警告書と必ずしも書く必要はないです。

高圧的にでるということであり、訴訟しても確実に勝てる場合は、「警告書」を使いますが、そうでない場合は、それ以外の表現が多いです。タイトルの話です。
例えば、一番弱い表現では、「お知らせ」「情報提供」「検討依頼」
もう少しづつ強くして言って、「通告書」等になります。

    • こちらが求める相手の対応
      例えば、
      単にやめてほしいのか(差止)損害賠償まで求めるのか(その場合いくらなのか?)
      やってもいいけど、使用料を取るのか(その場合いくらなのか?)などを記載しましょう。
      ここに記載している内容も、どこまで書くのかも検討が必要です。
    • こちらはどこまでやる気なのか
      すぐに訴訟に持ち込むつもりなのか、相手の対応自体では訴訟も辞さないのか、できれば話し合いで済ませたいのか、
      です。ただ、この部分は、書き方によっては、相手になめられることも多いので、対応自体で訴訟も辞さないぐらいが普通です。
    • 相手の侵害の態様の説明
      相手のどの行為が、どうして、侵害になるのかの説明をしてあげると親切です。
      特に、やめてほしい場合などは、どの行為を問題としているのか教えてあげる必要があります。

4 警告書ひな形(雛形、テンプレート)

株式会社

代表者    殿

〒 331-0061
埼玉県さいたま市西区西遊馬1813-1-1-203
弁理士 植村総合事務所・行政書士 植村総合事務所
弁 理 士  植 村 貴 昭
TEL 048-782-9007

警 告 書

前略 当職は,株式会社○○(東京都    代表者 。以下「権利者」といいます。)の代理人として,貴殿に対し,次のとおり通知します。

侵害されたとする権利の種類
権利者は,以下の商標(以下「本件商標」といいます。)権を取得しております。

(商標権の表示)
登録番号     商標登録番号第   号
登録日       平成  年  月  日
登録商標     「   」
商標権者     株式会社
指定役務     第 類「 」

侵害を特定するための情報
URL :https://www.●●●.co.jp/
上記URL中,「◆◆◆」との表記を付した商品の販売。

権利者の請求
販売及び発送の中止を求める。
仕入れ先,販売数量,販売価格,販売先のリストの送付を求める。

三.本書到達後二週間以内に貴社がとる対応を当職(弁理士植村貴昭)宛に書面での回答を求める。

 

侵害されたとする理由及びその根拠

(1)権利者及び本件商標

本件商標権者である株式会社    は,本件商標「    」につき,上記指定商品役務の範囲において,本件商標を使用する独占権を有しております。また,出願商標「     」が商標権となったのちには上記指定商品役務の範囲において,本件商標出願を使用する独占権を有します。

(2)本件商標を使用する商品(本件商品)

貴社の上記URLにおいて表示されている「    」を表示した商品の販売は商標の使用と判断しております。

結論
以上から,上記URL内の「    」との表記を付して,貴社商品を販売する行為は,商標法第37条第2号に該当するものと思料いたしますので,権利者株式会社   は,貴殿に対し,商標法第36条第1項に基づき,ただちに,本件商品の販売を中止及び上記権利者の請求に従うことを求めます。
なお,期限内に誠意あるご回答がない場合には,当方としては誠に遺憾ながら,上記侵害行為・不正競争行為の差止め,損害賠償請求及び不当利得返還請求,刑事罰の告訴などの法的措置を講じざるを得ませんことを予めご承知おきください。

草々

 

関連ページ

特許庁の商標権侵害のページ

 

元のページはこちら。

©弁理士 植村総合事務所 所長 弁理士 植村貴昭

  • 専門家(元特許庁審査官・弁理士・行政書士)に相談!

      必須お名前

      会社名・店舗名・屋号

      ※法人・事業主の方はご記入ください。

      必須メールアドレス(携帯電話以外のメールアドレスをお願いいたします)

      必須メールアドレス確認用(携帯電話以外のメールアドレスをお願いいたします)

      お問い合わせ内容・ご相談内容・ご質問内容があればお書きください

      大変申し訳ございません匿名・偽名・名のみ・姓のみのご質問にはお答えできません