第1章: ダウンロード違法化の歴史1
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
ダウンロード違法化の歴史 1
ダウンロード違法化の歴史(前提知識)
私的使用の複製(30条)は、利用者に認められている権利であり、著作権の内在的制約である。
(憲法29条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。)
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財産権は公共の福祉による制約を受ける。
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本来、この私的複製の対価は不要なはず。
30条3項の補償金は、この利用者に自由にできる複製をする際に、補償金を支払うこととしたもの。
(理由:デジタルによる複製の非劣化)
(=非合法の複製には及ばない)
ダウンロード違法化の歴史(2010改正時議論)
2010年に施行された特許法において、
たとえ私的複製といえどもダウンロード自体が違法(民事責任のみ)とされた。
審議会においては、補償金の改正のみが議論=ダウンロードの違法化は当初無検討
ダウンロード違法化の歴史(2010改正時議論)
議論の紛糾
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合意のできたダウンロードの違法化のみ決定
但し
(1) 「情を知って」との要件を加えること
(2) 罰則を設けないこと が合意の条件
しかし、今回の改正で罰則が議員立法された
ダウンロード違法化の歴史(問題点1)
ダウンロードは、今や一般市民も比較的多く行っている。
(You Tube、ニコニコ動画については後述)
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これが2年以下の懲役になる可能性がある。
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一般市民が犯罪者になる危険性がある。
「その事実を知って」がその抑止になるか?
ダウンロード違法化の歴史(問題点2)
「その事実を知って」
= 有償著作物であること
著作権・を侵害する自動公衆送信であること
この要件により、一般市民が刑罰の対象となることは無い?
各人の内心の事情なので、客観的に判断することが困難。
(1)被告人として裁判し、裁判所の最終的な判断あるまでわからない
(2)警察(検察)が恣意的な運用を行える(抑制する旨の付帯決議はあるが・・)
(3)親告罪 = 権利者の恣意により任意に犯罪者とそうでないものを作り出せる
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https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/