特許申請(特許出願)における発明の完成度:どの程度で出願をしてよいのか?
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
特許申請(特許出願)における発明の完成度:どの程度で出願をしてよいのか?
質問
特許の申請をするには、どのぐらいの発明の完成度(具体化度)が必要なのですか?
製品化できるほど完成していなければならないのですか?
回答(答え)
解説(総論)
特許を申請(特許を出願)するのには、発明の完成が必要です。
具体的には、そうやれば大体、そのような機能や効果があるとか、ちゃんと動く、という程度の完成度が必要です。
ただ、このような完成度というのは、かなりあいまいな概念なのです。
具体的には、例えば、薬の業界では、例えば、コンピュータシミュレーションなどで、
この構造の化合物だと、効きそうだというぐらいで出願してしまったりします。
全く、実証実験前(人どころか、マウスでさえも実験前)に出願されています。
また、薬について新しい物質が見つかった際にも、全く効くか効かないかわからないうちに、
いろいろな病気に効くということで出願がされてしまったりします。
機械・システムなどの分野でも、設計図などもなく、完全に思いついたアイディアベースで出願することもあります。
このように、発明の完成のレベルというのはかなりあいまいなのです。
簡単な基準としては、当業者(その業界の専門家)が、いろいろ考えたらできそうだねと思えれば足りるのです。
解説(弁理士としての立場)
特許の申請書類(特許明細書)作成の立場からいうと、製品化レベルで具体化してほしいということはあります。
しかし、となると、アイディアから実際の申請(出願)までかなり追加の時間を必要とします。
特許は、先願主義ですので、1日でも先に出願されてしまうと特許が取れなくなってしまう。
(取れても、極めて狭いものとなってしまう。)
という可能性があります。
そのため、アイディアの段階で、なんとなく製品化するとしたらこんな感じかなぁぐらいの程度があれば、
出願するための書類を作成できます。
ただ、可能であれば、製品化のためのアイディアはあった方がありがたいです。
もし、アイディアしかなくても、それらしく製品化できそうに付け足すことも可能です。
ただ、具体化のアイディアがないからということで、こちらで考えた具体案について、
たまにダメだしする方がいます。正直、なら最初に出してくださいと心の中で叫んでしまいます。
結論
以上より、製品化を考えているのであれば、一刻も早く出願(申請)すべきです。
特許の最も恐ろしいタイミングとは!
細かいことは、こちらで考えることもできますし、
第1稿が納品される1~1.5か月後までに考えることも可能です。
さらには、出願後1年間は優先権という制度があり、
細かいことを付け足すことも可能です。(ただ、再出願となりますので費用は掛かってしまいます。)
優先権と優先権が過ぎた後の対応(国内優先権、パリ優先権、PCT)
万一、先を越されるなどの危険性を考えると、出願して出願中という権利を確保した方がいいとアドバイスさせてください。
弊所に来ていただく前に用意いただきたいリスト
弊所に発明を説明に来ていただく前に用意いただきたいもののリストは以下になります。
弊所で発明を説明いただく前に準備していただくとよいものリスト
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