US(アメリカ)での特許の手続きの流れ
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
US(アメリカ)での特許の手続きの流れ
はじめに
アメリカは代理人費用、庁費用ともに高いです。日本の2倍から3倍かかると考えてください。
(現在、物価もアメリカは日本の倍です。)
正直、130万程度で終わればかなりスムーズにいった方です。
また、日本以上に限定された特許になってしまうことも多いです。
個人的には、中小企業、個人に負担できる額ではないと思っております。
そのため、弊所では頼まれればしますが、基本的にお勧めしておりません。
(0)出願前準備
出願するまでに、各種の手続きが必要です。
① 現地代理人の選定
(安い事務所、丁寧な事務所、日本語が使える事務所等あり、適切な事務所を選定することが大事です。)
② 委任状の準備
③ 翻訳
④ 請求項の数や従属関係の調整
(アメリカの場合、マルチのマルチが認められない、請求項の数が多いと高額になるなどあるため)
(1)出願(翻訳代を含めて60万円程度)
以上の準備が整うと、現地の事務所を通じて出願することになります。
なお、アメリカの場合には、審査請求制度はありません。
出願するとそのまま審査が行われます。
(2)方式審査
方式審査がなされます。
現地の代理人がしっかりしていれば、ここで問題になることはあまりありません。
(3)単一性審査 限定要求(10万程度)
アメリカの場合、日本に比べてはるかに、単一性の要件が厳しいです。
(0)の④にも記載しておりますが、適切に費用を取るということを非常に重要視しているからです。
複数の発明があるということだと、
限定要求=複数のうちどの内容を特許にしたいのか選ぶ必要が生じます。
(4)実態審査(1応答につき20~30万程度)
OA (Office Action)とも言います。
① 普通のOA
② final の OA
③ アドバイザリ
があります。このOAは非常に長いです。
慣れていないと、読むだけ、翻訳するだけで膨大な時間・費用がかかります。
通常1~2回はこのアクションがあります。
費用は、20~30万と書きましたが、40万を超えることもあります。
そして、1~2回で済まない場合も多いです。
また、RCEという手続(後述)きをすることもあります。
そうすると、一からやり直しです。
(5)IDS(1回10万円程度)
他の国での審査で上がってきた文献等を、遅滞なくお知らせしなければなりません。
これにも費用が掛かります。
機械翻訳であれば、安く済みますが、人による翻訳を要求される場合には、
さらに費用が掛かります。
(6)その他手続き
アメリカにおいては、多くの日本にはない手続きがあり、
思ったように進まない、細かく費用が掛かるなどあります。
©弁理士 植村総合事務所 所長 弁理士 植村貴昭