治療方法(マッサージ方法)とトレーニング方法|特許要件
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
治療方法の特許について?
「【請求項1】
筋肉に締めつけ力を付与するための緊締具を筋肉の所定部位に巻付け、
その緊締具の周の長さを減少させ、筋肉に負荷を与えることにより筋肉に疲労を生じさせ、
もって筋肉の増大を図る筋肉トレーニング方法であって、
筋肉に疲労を生じさせるために筋肉に与える負荷が、
筋肉に流れる血流を阻害するものである筋力トレーニング方法。」
との特許である。
一見すると治療方法に該当するため産業上の利用可能性に該当しないように思われます。
しかし、トレーニングなので、治療方法に該当しないということのようです。
検討事項
治療方法に該当しないとしても、人体を必須の構成要件とする場合、発明に該当するかは、
非常に難しいところかと思ます。
しかし、本件では、トレーニング方法は特許として認められています。
そのため、悪いものを元に戻す(=治療)は認められませんが、
普通の状態をより良い状態にする(=改善)は認められるということのようです。
その結果、今まで、人体を必須の構成要素とするものは特許できないものと思っておりましたが、
人体を必須の構成要件とするものであっても、登録の可能性はあるということになります。
今後どのように、このような人体を必須の構成要素とするものについての特許がどうなっていくかはわかりませんが、
それのみで、取れませんとは言えない状況になったということだけは言えそうです。
無効審判
この特許は、4回もの無効審判にかかって生き延びています。
ただ、2013年に特許権の有効期間は切れるものと思われます。
関連ページ
そもそも人体の治療方法が登録にならない理由は、
特許法第29条第1項柱書があるからです。
また
特許庁による治療行為の特許性についての資料はこちらです。
©弁理士 植村総合事務所 所長弁理士 植村貴昭