コラム(各種情報)
第14回 北欧の化け物トロール、知財におけるトロールとは何かについて説明しております。
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
北欧の化け物トロール、
知財におけるトロールとは何かについて説明しております。
植村のコラム14
今回は、狭い価値ある特許とはというお話をする予定でしたが、
世の中でPPAP問題が騒がれているので、そんなお話をさせていただこうと思います。
商標を使ってお金儲けしようとする人がいるというお話をすでにいたしました。
そのような人のことを、我々の業界でトロールといいます。
トロールというのは北欧の方でいう、人ならざる存在を言います。
つまり、化け物です。
例えば、ドラゴンクエストというゲームにおいては
かなり醜悪な鬼のようなイメージの化け物です。
他方、実はムーミンという作品におけるムーミンもトロールです。
イメージは確定していないのですが、このトロールには逸話があります。
橋のたもとに暮らしていて、その橋を渡ろうとする人からお金を巻き上げる
という逸話です。
もちろん、その橋はトロールがかけたものではないです。
この逸話のイメージが似ているということで、トロールの名を付けられたのです。
つまり、知財におけるトロールは、
自分ではそのものを使って商売していないのに、
お金だけを巻き上げようとする人たちということです。
今回のPPAPでその商標を取得した人は、年に何万個も商標を出願しているのです。
私も、2年以上前から気が付いていました。
この人は元弁理士です。ちなみに、私は「元」ではない弁理士です(笑)。
いろいろ理由がありまして断定するとまずいのですが(笑)、
トロール的なことをしている方なのかなと私は個人的に考えております。
さて、以下はこの方とは全く無関係に、
一般的な商標トロールのお話をさせていただきます。
人が使っている商標・使うであろう商標を前もって出願すると、
圧倒的に商標的には有利な立場になります。
その立場を利用して、
その使いたい人に売りつける等をして儲けるのが商標トロールです。
これにあってしまうと、かなりのコストを要します。
もちろん、我々弁理士への依頼料、弁護士への依頼料等のコストがかかってしまいます。
商品・会社名の変更などにも多くのコストが予想されます。
そして、それ以上に、最終的に解決しても、
その間、名前が使えなくなるかもしれないという不安等は
極めて大きな負担になってしまいます。
私が商標だけは取ってほしい、と再三申し上げるのはこのような理由からなのです。
しかも、ただ取得するだけでは意味がないです。
正確に自分の事業をしている分野と
今後事業をしていく分野を見定めて出願する必要があります。
また、商標自体も文字で出すのかロゴで出すのか、
どこまでの言葉で出すのかなどを慎重に検討して出す必要があるのです。
さて、次回こそは価値ある特許のお話をさせていただこうと思います。
特許庁のHPはこちら
以上