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第06回「著作権法第27条、第28条 第2回(硬い、硬すぎる!!)」

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

第06回「著作権法第27条、第28条 第2回
(硬い、硬すぎる!!)

この題材の第1回はこちら 第5回「著作権法第27条、第28条第1回(硬い、硬すぎる!!)」
まずは、こちらを読んだ方が、理解が深まります。

はじめにというか導入

の配信から約2週間となりました。
元特許庁審査官:弁理士 植村貴昭です。(行政書士もやっています)

このメールマガジンは、全て私及び弊社スタッフが直接お会いして、
お名刺を頂戴した方に配信させていただくものです。
できれば、できれば、迷惑メールに分類しないでいただけるとうれしいです。

著作権法の特徴的な条文、27条・28条

著作権契約で使われる文言
「全ての著作権(著作権法27条、28条に定める権利を含む)」について

さて、6目の今は、著作権譲渡の契約の際に、「全て」との文言では足らず、
必ずカッコで記載してほしいと警告している条文である、
27条と28条のうちの、28条の方のお話をさせてください。

「本著作物に関する全ての著作権
(著作権法27条、28条に定める権利を含む)を譲渡する。」

という条項を入れることが多いです。
全てと、入れているのに、カッコの「(著作権法27条、28条に定める権利を含む)」ってへんじゃないですか?

というお話なのです。

 

28条の意味をまずは理解

この条項を理解するために、まずは
著作権法第28条の話をいたしたいと思います。

【著作権法28条】
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、
この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと
同一の種類の権利を専有する。

この条文は、ぶっちゃけて言うと、前お話したように、

2次創作をした場合、その2次創作者だけではなく、原作者も権利者になりますよ。
というものです。

 

28条が適用される場面とは

の例と合わせて書くと、

    1.  原作者が小説を書き、映画監督がその小説を基に映画化した場合の、
      その映画も原作者の著作物になるというケース。
    2.  原作者が文章を作って、その文章に基づきその小説を翻訳した場合の、
      その翻訳も原作者の著作物になるというケース。
    3.  原作者がストーリを考え、漫画家が漫画をそれに基づいて書いた場合
      2次漫画と言っちゃいます)の、その漫画も原作者の著作物になるというケース。

いずれも、
後発の著作物に対して先発の著作権者は何もしていない場合であるが、
後発の著作物は、先発の著作物を何らかの形で利用しているケース
です。

まあ、原作者にしてみれば、自分の著作物が基になったのであるから、
それから生み出されたものは、全て私のものということだと思います。

このような考え方の表れがまさに、28条の条文なのです。

 

でも、先発著作権者は何もしていない

ただ、以上の例では、
原作者は、後の創作時には、”何らの関与もしていない”ということが共通しています。
極論を言ってしまうと、原作者は死んでいても権利者になるのです。

最後の漫画の例でいえば、その2次漫画のキャラクタの絵と設定だけを拝借して、
全く別のストーリを別の漫画家さんが書いた場合には、原作者は何もしていない状態です。
しかし、例えそうだとしても、著作権法28条は、
原作者にも著作権の発生を認めているのです。

これが、28条を理解するうえで必要な知識です。

 

28条のもうちょっと具体的な例を申し上げると

つまり、ストーリは全然面白くないけど、すごいCG付けて売れちゃいましたという映画で、
映画化に100億円かかっても、その権利は映画監督のみならず、
原作者にも発生するということです。

また、ストーリを作成した原作者と、
それをもとにしてキャラクタ原画を作った人がケンカしてしまったら、
原作者は、ここぞとばかりに自分の権利を主張して、差止め請求をしてくるかもしれません。

いくら魅力的なキャラクタのおかげで、そのストーリが恩恵を受けていたとしても、
やっぱり原作者にも著作権法上つよい権利が保障されていますから
キャラクタ原案を作った人は、かわいい自分のキャラクタを”人質”に取られて、
いろいろと権利を制限されてしまうんです。

驚いちゃいます。

著作権法第28条で差し止め請求

なぜ、このようなことが!

やっぱり、前にお話しましたが、
「文化人や文化人だと思っている人の力ってすごいのね!」とか、
「黒い鼠」ってすごいのねってことなのですね。

さて、次は、やっと、何度も出てきた「黒い鼠」について書きたいと思います。
実は、すごい怖いことをこれからしようとしています。

―― 読者の皆さんへ知財の専門家としてアドバイス ――

人の著作物を利用して、新しい著作物を作るのは、やめておいたほうが良いです。
原作者は、何もしていないのに、貴方の著作物に貴方と同じ権利が、
あることになって、いろいろと、面倒なことになります。

もし、どうしても二次創作をしようとするならば、
相応の契約書で、しっかりと取決めをしておきましょう。

―― その他 ――

では、をお楽しみにしてください。
また、今も最後までお読み下さり、本当に有難うございます。

月2程度の配信を予定しており、
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―― 編集後記 ――

植村は北海道の旭川の出身です。
寒さに強いと思われるかもしれません。
しかし、東京に20年以上いますので、すっかり寒さに弱いです。

じゃあ、20年も東京にいるから、暑さには強くなってきたのではないかと
思う方もおられると思いますが、未だに、暑さにも弱いです。

結果、寒さにも・暑さにも弱い、貧弱人間になりました。
私は、楽な方にはすぐに慣れるのですが、
厳しい方には慣れない弱い人間のようです・・・・。

関連ページ

文化庁の28条関係のページ

著作権法第28条