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第26回「こんなやつでごめんなさい」パチンコ・スロットルの知財の世界

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

第26回「こんなやつでごめんなさい」
パチンコ・スロットルの知財の世界

前回の配信から約2週間となりました。
元特許庁審査官:弁理士植村貴昭です。(行政書士もやっています)

今回の内容に関係するのは、このページです。

このメールマガジンは、全て私及び弊社スタッフが直接お会いして、
お名刺を頂戴した方に配信させていただくものです。
できれば、できれば、迷惑メールに分類しないでいただけるとうれしいです。

さて、今回は26回目です。

前にもかかせていただきましたが、帝国データバンク様の全国紙にて、
1ヶ月に1回連載させていただいています。

今月号のネタが「パチンコスロットにおける知財」というやつでした。

・・・・残念ながら、完全ダメ出しをいただき書き直しました。
悔しいので、ここでどんなダメ出しがあったのか、書いちゃおうと思います。

まずは、私が最初に書いた内容です。

<植村のコラム19>

「前回は、「アメリカ知財」などという、
インテリジェンスが高そうに思われる内容を書いてしまいました。
反省しています。私のキャラじゃないって。

でも、反省は口だけにするのが精神衛生上よいので、
反省せずに本日の話題に入ってしまいます。

今回は、パチンコ・スロットの知財です・・・・・・。

止めておけばよかったです。酔った頭で、勢いで、前回予告してしまいました。
この業界、何があってもおかしくないところもあったりします。
こちらは、本気で反省しております。

でも、約束を破るのはよくないので、書ける範囲で書いてしまいましょう・・。

パチンコ・スロットの世界は、一昔前は、日本の知財業界で最も紛争の多い業界でした。

なぜなら、パチンコ・スロットのメーカの社長さんって、基本、一代で会社を極めて大きくした方が多く、血の気が多い方が多いのです。
しかも、完全なワンマン会社だったりしています。

もともと、そういうオーナーさん同士なので、
仲が悪かったりするような事情も多分に想像されます。

さらに、多くのメーカさんはお金を大量に持っていたりするわけです。

そうすると、どうなるかというと、他のメーカが知財(特許とか、意匠とか、商標とか)を侵害している可能性があるとなると、
交渉よりも先に喧嘩である訴訟にすぐに進んでしまうということが多いのです。

しかも、ワンマンの方が多いので、だれにも止められません。

もし、私がその立場でも、絶対に止めれません。
余計なこと言ったら、首になる確率100%です。

しかも売り上げの額が高いので、訴訟額も滅茶滅茶高いのです。

そういったわけで、たくさんたくさん訴訟がありました。高額判決も多く出ました。
ただ、このような事態では、だれが得すると思いますか?

実は、我々弁理士や、弁護士さんなのです。
勝っても負けても、依頼人である、
パチンコ・スロットのメーカさんからお金もらえますし、
もらえる金額も、損害賠償の額に応じて高くなるのですから、ウハウハでした。

私は、残念ながら一回も美味しい思いをしたことがありません。悲しいです。

さすがに、それはあまりにも大変ということで、
訴訟をしないで、メーカが集まって、特許等の数・質、権利者側か使用者側か等に応じて、
徴収・分配をする仕組を作り上げました。
このような方法のことを「パテントプール」といいます。

その結果、業界内で知財に関する秩序が生まれ、
知財訴訟が終息したという事情があります。

パテントプールによる秩序

残念です。私も、この巨額訴訟に絡みたかったです。
というわけで、パチンコ・スロットの訴訟を専門にしていた弁理士・弁護士さんは
かなり収入が減ってしまったということなのです。

では、今は、パチンコ・スロットの業界の知財における争いは無くなったのか
というとそうではありません。

確かに、訴訟まで行って解決ということは少なくなってしまいましたが、
権利を取るという部分では、以前と同様に熾烈な争いが今も繰り広げられています。
良い権利が取れれば、先ほどのパテントプールから訴訟無くお金が入ってくるからです。

これが、私が公に言える最大限のパチンコ・スロットの知財の世界です。

セーフなのかなぁ・・。」

これを、以下のように修正しました。(長いので、読み飛ばしていただいて構いません。)

<植村のコラム19>

「前回は、「アメリカ知財」について記載させていただきました。

今回は、パチンコ・スロットの知財です。

パチンコ・スロットは、特許の世界では「遊技機」と表現します。
読んで字がごとく、テレビゲーム機等の、玩具に類する機械として扱われています。

このように、遊ぶための機械に過ぎないのだから、
たいして特許庁の知財は重要じゃないと思われるかもしれません。

しかしながら、特許等の知財が重要であるか否かは、
その技術の複雑性や、先進性にあるわけではないです。
(遊技機が複雑ではないとか、先進的ではないと言いたいわけではないです。)

知財が重要か否かは、基本的に、売上が高いか否かが重要なのです。

売上が高ければ、少しでも自社のシェアを少しでも高めるために、
出願から登録まで多額のコストのかかる特許などを取得しても問題ないという判断になるからです。

また、この売上げの国内比率が高いと、知財が重要になります。
なぜなら、国内の限られたシェアを奪い合うために、相手をたたけば、
自分の会社のシェアが伸びるからということもあり、知財は格好の道具なのです。

その他にも、国内マーケットでしのぎを削りあってきた会社同士は
どうしても過去の因縁を引きずってしまうという事情も想像されてしまいます。

このような事情に、まさに、合致してしまうのが、パチンコ・スロット業界なのです。

そのため、過去、パチンコ・スロット業界では特許をはじめとする熾烈な知財訴訟が頻発しました。

とても高額な訴訟で有名な事件などもありました。

ただ、批判を承知であえて書いてしまいますと、このような高額訴訟の真の勝利者は、
当事者ではなく、その当事者の代理人をした弁護士と我々弁理士なのです。

勝った場合には、勝訴額の数パーセントを報酬でもらえますし、
負けても少なくとも労力分は確実にもらうことができるからです。

そのような業界も、さすがに無駄だと考えた方がいたのだと思います。

特許等について「パテントプール」という制度を導入したのです。

これは、特許等の知財を利用した会社は、
利用した割合に応じてパテントプールにお金をだして、
利用させた会社は利用させた割合に応じて、お金をもらうという仕組みです。

特許等を利用しているか否かは、
このパテントプール内の弁理士等が判断するという制度にしたのです。

でも、訴訟が無くなったことイコール争いが無くなったということではないです。

確かに、訴訟まで行って解決ということは少なくなってしまいましたが、
権利を取るという部分では、以前と同様に熾烈な争いが今も繰り広げられています。
良い権利が取れれば、
先ほどのパテントプールから訴訟をしなくてもお金が入ってくるからです。

むしろ、権利を取るという部分ではより競争的になっております。
なぜなら、費用も訴訟にかけていた多額の額を投入できることからより、
よりお金をかけて権利を取れるという状況になったからです。」

 

ぶっちゃけ、書きすぎたとは思っておりました。

でも、つまんないコラムなんて読みたくないですよねということで、
筆が滑ってしまったようです。

ただ、よく考えたら、全国版でこれだしたら、いろいろ怖いかもと思って、
帝国データバンクさんが止めてくれてよかったと思ってもいますが、反省はしないのです。

反省は心の毒なのです。
(適当です。根拠はないですが、自分に都合の良いように勝手に断言してしまいます)。
こんなやつなんです、すみません。

 

―― 読者の皆さんへ知財の専門家としてアドバイス ――

ただの愚痴を、書いてしまいました。

専門家としてのアドバイスは、・・・・・
文章書くときは、皆さんよく考えて書きましょうということでしょうか・・。

前回に引き続き、2回も続けてここに何も書かれていないと、
植村君は、ただのお調子者と思われてしまうので、無理やり、アドバイスを出します。

えーと、・・・
皆さんの業界で、知財紛争などがそれなりにある場合は、
弁護士・弁理士に無駄にお金を使って、弁護士・弁理士に漁夫の利を得らせるよりも、
業界団体で、一定のルールを作る、
「パテントプール」の仕組みをつくることも検討してみてはいかがでしょうか。

 

―― その他 ――

では、次回をお楽しみにしてください。
次回は、補助金にさせてください。
また、今回も最後までお読み下さり、本当に有難うございます。
月2回程度の配信を予定しており、
購読いただく方に過度のご負担をかけないようにする予定です。

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―― 編集後記 ――

「レベル上げ要員」

息子の世話がめんどくさくて、携帯ゲームをやらせていましたが、
最近、息子が完全にはまっています。

それは、楽なのでいいのですが、嫁は怒っています。
が、それもいいのですが、最近、息子が寝る前に、
「パパーぁ、強くしておいてね」って言って寝ます。

そのため、本来息子が寝た後は、私のリラックスタイムなのですが、
息子のために、レベルアップにいそしんでいるわけです。

もともと、私がやっていたゲームなので、楽しいはずなのですが、
義務化してしまい、急につらくなっています。
ちなみに、それを、嫁に言ったら、冷たく、「自業自得」と言われました。

父は悲しいです。