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忘れられてもらいたいもの:死後の著作権者人格権

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

忘れられてもらいたいもの:死後の著作権者人格権

私は、実は結構忘れっぽいです。
だから、なんでも、メモることにしています。

という風に、言い訳の前振りをしている今日この頃です。
すみません、前々回かな?

ラブレターが死んだあと公開されたらどうなるのかについて、
お話しすると書いておきながら、すっかり忘れていました。
ある方に、指摘されて思い出しました。(忘れてほしかったです)

うん、植村は忘れっぽいからしょうがないですね。
皆さんもお許しくださりますよね。
むしろ、注意を受けたら、すぐに改める素直なよい子っすね、私。(笑)

(嫁には、お前が教えないからだ!と愚痴ります。
その結果、大抵、何言っているの!と怒られます。(笑)
意味が分からない方は、前回の編集後記もご参照ください)

前回は、堅い話だったので、文章がつまらなかったのではないかと思うので、
今回は、少し楽しくしてみました。(言い訳2です。)

 

さてさて、本題に入らせていただきます。

著作権は、大きく分けて著作財産権といわれる部分と、
著作者人格権といわれる部分があります。

このうち「著作者人格権」は著作者が被る経済的な損失というよりも
著作者の尊厳にかかわる部分の侵害を守るためのものです。

ですから、著作者人格権には、何度もこのコラムで出てきた「同一性保持権」のように、
勝手に著作物を変更しないでほしいという権利が該当します。

また、ラブレターが公開されてしまった場合に使える権利として
私が前に書かせていただいた「公表権」があります。

復習すると、この公表権は、
著作者の許可なく勝手に公表されない権利ということができます。
ここで、著作者人格権の「人格」という部分に注目してください。

著作権人格権は「人格」というからには、その個人に一身に専属して、
他人に譲渡することができない性質のものです。

譲渡を受けた人が他人の人格を譲り受けるということができてしまうと、
譲り渡してしまった人は、人格を失うことになるからです。

それを許してしまうと、奴隷制のようなことにも結びつくおそれがあるからです。
この理屈は、相続についても同じことが言えます。

つまり、たとえ子孫といえども、先祖の人格を継承することはないということになります。
そうすると、著作者人格権は、その著作者が死亡したと同時に消滅し、
たとえ相続人といえども相続できないということになるのです。

 

おおー!! なんか、法律的な真髄に近いところをお話ししている気分になってきました。
なんか、えらくなった気分です・・・・。(むなしいだけですね・・。)

ではでは、となると、著作者が死んだら、同一性保持権も公表権もなくなるので、
改変も公表も、やりたい放題だーということになりそうです。

となると、故人のかいたラブレターも、公表し放題ということになります。

生きている間は、前のコラムで書かせていただいたように、
あんな恥ずかしいラブレターも、こんなキモイラブレターも、
公開しないでくださいと言えたのに、死んだあとは、好きにやられそうです。

やばいです。
おちおち、死んでもいられません。

しかぁし、著作権法は、そんな、恥ずかしい諸君と私の、ここでも味方です!

著作権法には、著作人格権は、死んだあとは確かに消滅するけど、それに対応して、
死んじゃったあとも、その人が生きていたら嫌だと思うことをした場合、
刑事罰に処すという規定があります。

その結果、皆さんと私の恥ずかしいラブレターは、守られます。
よかった、よかった。

著作者人格権の消滅と刑事罰

―― 専門家としてアドバイス ――

著作権者が死亡した場合は、著作財産権は相続等されます。
他方、著作者人格権は消滅しますが、それを害すると、
刑事罰によって処罰されてしまいます。気を付けましょう。

特許庁のHPはこちら
広報担当者のための著作権法解説はこちら

―― その他 ――

では、次回をお楽しみにしてください。
次回は、うーんと、何にしようかなぁ。考えておきますね。

また、今回も最後までお読み下さり、本当に有難うございます。
月2回程度の配信を予定しており、
購読いただく方に過度のご負担をかけないようにする予定です。

―― 編集後記 ――

「降りられないのに上るな!」

下の子は、立って歩けるようになり、活発に移動するようになってきました。
その延長で、こたつテーブル等の胸ぐらいの高さのところにも上れるようになってきました。

そこまでは、いいのですが、降りられません。
降りようと努力しているようなのですが、大抵泣きます。

そうすると、行っておろしてやることになるのですが、
降りた瞬間、また同じテーブルなどに上るのです。
何度も何度も繰り返すのです。

いい加減嫌になって、しばらく放置していると、
どうなるかというと、落ちます・・。

大抵、あたまを打ちます。
子供は泣きます。
私は嫁に泣かされます。ちゃんと見てろ!と・・。

その結果どうしているかというと、落ちそうな部分に、布団を敷き詰めます。
というわけで、私は、布団もなく、寒い思いしながら、

子供を見ているという状況になっていたりします。
早く育って、上ったものを降りられるようにぐらいに
なってほしいと切に願う父なのでした。