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殺虫器①|特定技能 ビルクリーニング
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
電撃殺虫器とは
接触した虫類に電気ショックを与えて捕虫する殺虫用の電気設備です。
単相100V・200Vの低圧回路を変圧し、
2、000~7,000Vの高圧を発生させることで、
接触した害虫にショックを与えて捕虫します。
薬剤などを使用しないため、空気をクリーンに保ったまま殺虫出来るという利点があります。
殺虫灯とも呼ばれていますが、構造や用途は同一です。
紫外線を多く含む光で害虫を引き寄せて、電圧によりショックを与えて害虫を駆除します。
電圧を印加したグリッド状の格子に、虫が接触することで捕虫する単純な仕組みです。
このグリッドは「電撃格子」とも呼ばれ、青い光を放つことにより殺虫器に誘虫し、
グリッドに接触した瞬間に衝撃を与えて捕虫します。
食品業界や外食業界では、虫一匹の混入でも大きなクレームにつながりますし、
これらの害虫が感染症を伝染させる恐れも考えられ、
虫対策のための電気設備の設計も重要となっています。
高電圧による捕虫の仕組みと安全対策
高電圧が印加されたグリッドを害虫が通過する瞬間、
グリッドの絶縁が破壊されて放電を起こし
電撃音と共に害虫を感電死させ多数の害虫を駆除することができます。
虫が通過するたびにバチバチという音響と放電の光を発生するのはそのためです。
虫が接触する部分の電圧は著しく高いが、二次短絡電流は20㎃以下となっており、
人体接触しても致命的な損傷をうけないように安全措置のガードが施されています。
高電圧部分に接触すると痛みを伴うショックを受けるため、
ガードを取り外し捕虫部分を露出したままでの運用は大変危険です。
通常、ガードが取り外された場合に通電を遮断するよう、インターロックが施されています。
光による虫の制御
建築物の害虫による衛生面の問題を解決するには、
まず「虫を建物に近寄らせない」という方法が考えられます。
対策としては、建物よりも遠い場所に虫を誘い込むのが有効であり、
照明計画で一般的に行われています。
建物から離れた場所に虫を寄せるために、虫を誘いやすい高出力水銀灯などを設け、
建物付近の照明器具は嫌虫ランプや低誘虫ランプを使用すれば、虫の接近を予防出来ます。
これら措置を講じても全ての害虫に対して防虫出来るわけではなく、
建物内に侵入した虫は、電撃殺虫器や捕虫器で確保すると良いでしょう。
住宅の出入口や庭、レストランや飲食店、公園、スーパーやコンビニなど、
虫の侵入を特に阻止したい場所には、電撃殺虫器や捕虫器を設けることが多くなります。
薬剤を使用していないため、設置しても空気が汚れる心配がなく広く用いられていますが、
機器の内部に死骸が溜まるので、定期的に内部を清掃しなければならず、
運用面の負担は大きくなります。
虫のすう光性を利用した仕組み
夜行性の虫に青い光に誘われるという「すう光性」という特性があります。
人間が感じられない350~400nmの光を敏感に感じ取り、誘引される性質で、
電撃殺虫器や捕虫器は、365nm(青色)付近の光を放出して、高い誘因効果を発揮します。
紫外線を放出するランプは非常に誘虫性が高く、一般の白熱電球の誘虫性を100とすると、
捕虫器専用の蛍光灯は、10,000を超える誘虫能力があります。
この誘虫能力によって害虫を引き寄せて、電撃殺虫器や捕虫器で捕獲します。
照明メーカーでは、光源別に誘虫性能を算出して公開しています。
代表的な照明器具の指数は、パナソニックが公開している下記の数値の通りであります。
・白熱電球:100
・低圧ナトリウムランプ:4
・純黄色蛍光灯:8
・高圧ナトリウムランプ:36
・蛍光灯:153
・水銀灯:609
・捕虫器用蛍光灯:13,100
メーカーが独自に調査して数値を定めていますが、発光原理が同じであれば、
どのメーカーであっても概ね同様の数値を示します。
近年普及が進んでいるLED照明は、蛍光灯よりも紫外線量が少なく、
一般的に、蛍光灯の50~60%の放出量とされており、
蛍光灯をLEDに交換するだけでも、低誘虫効果が得られます。
次回は捕虫器について説明いたします。