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高架水槽|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

高架水槽

去年の夏、アパートの受水槽を下着姿で泳ぎ、動画をネットにアップしたとして、
二人の輩が世間を騒がせた事件がありました。
さすがに冬のこの時期、受水槽で泳ぐ人はいないでしょう。

ちなみに、二人は不起訴処分になったそうです。
動画は残されていましたが、【衛生面で影響があった】という証拠は無かった。
ということで(水に流された!?)・・・

二度と起きてはならない事件です。

一度に水をたくさん使う施設に設置されているのが貯水槽です。
貯水槽とは水を溜める施設のこと。

上水道としてだけでなく、工業用や防災用に利用するものもあります。
受水槽や高架水槽といった名称で呼ばれることもあるのですが、
これらには、どのような違いがあるのでしょうか?

そこで今回は、貯水槽と受水槽の違いなどについてご説明します。
貯水槽をつける理由や手入れの方法などもご紹介しましょう。

貯水槽と受水槽は何が違うの?

貯水槽とは、私たちの生活に欠かせない水を溜める設備や施設の総称です。
一般住宅の場合、水道局が引いた配水管に各家の給水管を直結させ、給水栓へと水を運びます。

しかし、一度に大量の水を必要する設備の場合は、直結方式では間に合いません。
そこで、貯水槽に一度水をためてから改めて必要な場所へ送るのです。

受水槽とは、貯水槽の一種で上水道を溜める設備のことを言います。
配水管から水を引き込み、1階や地下に貯水する設備です。
また、マンションやビルの屋上に設置すると「高置水槽」と呼ばれるのです。

さらに、「圧力水槽」というものがあります。
給水ポンプの吐出管に直結した密閉加圧の受水槽のことです。

「貯水槽」だけでは、設置場所や設備の種類が分かりませんが、
受水槽や高置水槽、圧力水槽という名称を使うと
「どのような水」を「どこ」に、「どんな設備」で保管しているのかすぐに分かるのです。
貯水槽と受水槽の関係

 

受水槽を設置する際の決まりは?

受水槽は水道水を溜めておく設備ですから、飲料用に使われることも多いでしょう。
設置場所は、屋外、屋内、地下室があります。

同じようなタンクを使っていても、屋上に設置すると高置水槽になるため、
管理方法も代わってくるのです。

受水槽は、常にメンテナンスと管理が必要になります。

巨大な水槽ですから、管理を怠れば、すぐに水が汚染されてしまいます。
汚染された水を飲料用に使えば、感染症が発生する可能性もあります。
壁面や床面、天井に60センチ以上の空間を開け、
目視点検をしやすいようにしなくてはなりません。

また、ゴミや虫などが入らないように、オーバーフロー管を
排水口に直接接続することは禁止されています。

受水槽の水を飲料に使う場合は、1日の使用量を受水槽の容量の
40%~60%に抑える必要があります。

大規模な施設を作る場合、1日に必要な水の量を計算したうえで
受水槽の容量を決めなくてはなりません。
施設で使う水は飲用だけではないのです。

また、定期的な清掃消毒作業や、水質検査等、
適正な衛生管理が持ち主には義務付けられています。

受水槽は誰のもの?

水道設備は水道局で管理するものと、建物の持ち主が管理するものがあります。
受水槽は、建物の持ち主のものです。

水道料さえきちんと収めておけば、どのような設備を作ろうと持ち主の自由ですが
受水槽の管理は、持ち主が責任を持って行わなければなりません。

受水槽にたまった水に菌が繫殖して食中毒などが起きた場合は、管理責任を問われるでしょう。

また、受水槽の点検や清掃などで断水しなければならない場合は、
テナントへの説明や断水時間の調整なども行わなければなりません。

もちろん、受水槽が壊れたり老化したりした場合は、持ち主が修理したり交換したりします。
ですから、持ち主が管理出来る規模の受水槽を作らなくては維持出来ないでしょう。

飲用水用の受水槽の管理方法は?

飲用水用の受水槽は、工業用や防災用の受水槽よりも厳重な管理が必要です。
管理項目や頻度をご紹介しましょう。

 ●清掃

  受水槽を1年間に1回以上清掃することが、法律で決められています。
  清掃業者に委託することが一般的ですが、貯水槽清掃作業監督者が
  設置されている業者を利用しなくてはなりません。

 ●点検

  必要に応じて受水槽の点検が必要です。
  受水槽本体だけでなく、ポンプなど付属の設備も点検しましょう。
  1年に何回などの決まりはありませんが、1回は行っておくと安心です。

 ●検査

  年に1度給水設備や水質の状態を検査することが義務付けられています。
  この検査で、もし水質に異変が発見された場合は、
  すぐに対処し、もう一度水質の検査を受けなくてはなりません。

受水槽が減っているって本当?

かつて、受水槽は小規模なビルなどにも設置されていました。
しかし、現在は水道設備の給水圧の向上などにより、受水槽を使わなくて
水道本管へ直に接続して給水するブースターポンプ方式が主流になっています。

しかし、東日本大震災のような大規模な震災が発生すると、
水道管が壊れて、長い間断水が起こることもあるでしょう。

断水が長期化すると飲み水はもちろんのこと、トイレも困ります。
このような場合、受水槽が設置されていると、飲料用としては無理でも、
トイレ用に水源を確保することができるのです。

ですから、貯水槽や受水槽を廃止した設備は、いざという時のために
緊急用の水を確保しておかなければなりません。

水道管も古くなれば、赤さびが浮いて水質に影響が出ます。
受水槽も同じこと。
メンテナンスをこまめにしなければ、すぐに飲料用として適さなくなるでしょう。

池や沼のように、たまった水は腐りやすく、カビや藻も発生しやすいものです。
ですから、受水槽の管理はしっかりと行いましょう。

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