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デマンド監視|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

デマンド監視

デマンド監視とは、
30分間デマンド時限における電力需要をリアルタイムで計測すると同時に、
デマンド時限終了時点での30分間平均需要電力を予測することです。

あらかじめ定められた目標電力に対し、
予測された電力が大きければ「電気の使い過ぎ」と判断することができ、
電力使用を抑制する行動に移すことが出来ます。

デマンド監視をするには、デマンド監視装置または
デマンドコントローラーと呼ばれる装置を利用します。

もうすでにデマンド監視を導入していても、
よく意味が解らないまま運用されている方が多くいらっしゃいますが、
これはしかたありません。

デマンド監視はもともと電気担当者がするもので、
省エネや経費節減を推進する会社が
総務や経理の事務担当者にさせるケースが出てきたからです。
人手不足の時代なので、これもしかたありません。

 

ここはあきらめてデマンドコントロールがよく解らないという方も、
デマンド監視の仕組みだけは知っておきましょう。

実はどのメーカーのものでも、4つのキーワードを覚えておくことで
デマンド監視を理解することが出来ます。

デマンド監視の意味と電気の使い過ぎ警報が出た時の電力抑制について、
分かりやすくご説明します。

 

デマンド監視の4つのキーワード

デマンド監視装置は多くの電気機器メーカーが販売しています。
各メーカーにより表示内容は多少異なりますが、
次の4つのキーワードを覚えておけばOKです。

デマンド監視のキーワード

 

デマンド用語 意味

目標電力  超えないことを目標にする電力
現在電力  スタートから現在までに使った電力
予測電力  そのままのペースで使い続けたら計測終了時にデマンド値となることが予測される電力
残り時間  計測終了までの残り時間

デマンド監視装置は数字だけ表示するものや、
グラフで表示するモニターが付いているものがあります。
機能はどちらも同じですが、どのような表示をしているか見てみましょう。

契約電力が420kWで、目標電力を400kWに設定した場合を例にしてご説明します。

目標電力は契約電力を超えないことを目標にする設定置のため、
契約電力よりもやや低めにしておくことが通例です。
ここでは契約電力の95%位の400kWを目標電力としました。

大丈夫な例(電気の使い過ぎでは無い)

現在電力が現在時点で目標電力の下にあり、
予測電力が計測終了時点で目標電力の下にある場合は、
電気の使い過ぎにはならないことが予測されているのです。

大丈夫では無い例(電気の使い過ぎ)

現在電力が現在時点で目標電力の上にあり、
予測電力が計測終了時点で目標電力の上にある場合は、
電気の使い過ぎになることが予測されているのです。

このままでは契約電力の420kWも超えてしまうので、
デマンドオーバーになってしまいます。

回復させた例(電気の使用を抑制した)

現在電力が現在時点での目標電力の上にあり、
予測電力が計測終了時点での目標電力の下にある場合、
電気の使い過ぎにはならないことが予想されます。

予測電力が目標電力を超えそうになりましたが、
予測電力を目標電力よりも低くなるように回復させることが出来ます。

現在電力が時間の経過とともに移動し、予測電力と重なったらデマンド値が確定します。
これを1日であれば48回、全ての30分デマンド時限で行っています。

覚えておくのは目標電力・現在電力・予測電力と残り時間の4つで、
重要なのは予測電力が目標電力を超えないようにするだけです。

デマンド監視の電力抑制4パターン

デマンド監視装置は電気の使い過ぎを予測するものであることは分かりましたが、
どのように電力使用を抑制するのでしょうか。

使い過ぎを教えてくれるだけのものと自動的に電気を切ってくれるものがあり、
おおむね次の4パターンがあります。

デマンド監視装置が教えてくれる

デマンド監視装置の本体に内蔵されるランプやブザーが警報を出して、
電気の使い過ぎを知った人が電力使用を抑制します。

パトライトが教えてくれる

デマンド監視装置から出力された警報でパトライトなどの警報表示器を動かして、
電気の使い過ぎを知った人が電力使用を抑制します。

パソコン・スマホ・タブレットが教えてくれる

デマンド監視装置に内蔵される小型ウエブサーバーに
パソコン、スマホ、タブレットでアクセスし、需要電力の情報を監視します。
監視画面で電気の使い過ぎを知った人が電力使用を抑制します。

ただし、業務時間中であれば監視画面を常に見ているわけにはいきません。
そのためパトライトなどの警報表示器との併用で活用することをお勧めします。

自動的に特定の電源を切る

デマンド監視装置から出力された警報を、
あらかじめ決められた電気機器を停止させるか、スロー運転に切り替えます。

全て自動で電力使用の抑制が行われますが、このパターンで行うには、
どの電気機器を切るか、突然切っても問題がないか、
切ろうとする電気機器に自動で切る回路が準備されているか、
デマンド監視装置から電気機器までの配線工事がかかるなど導入までに少々検討を要します。

 

デマンド監視は契約電力の見張り番

デマンド監視装置は、
契約電力を超えないように需要電力を監視する見張り番のようなものです。

デマンドコントロールが無ければ、電気の使い過ぎをリアルタイムで知ることができずに
無駄な基本料金を支払う羽目になってしまいますので、有効活用して経費節減に努めましょう。

慣れてきたら監視するだけでなく、契約電力を下げることにもチャレンジ出来ます。

契約電力を下げるためには、まず電力需要の上限を体感することです。
自社の最大需要電力はどの時期なのかを把握して、
電気を使い過ぎそうな時期に最大限の注意を払うようにしてみましょう。

下げられそうだなと感じることが出来たら、目標電力を少しずつ低くして、
上手くいけば契約電力を下げることが出来ます。

デマンド監視装置を有効活用して無理のないピークカット
(電力需要のピークを抑えるように、電力消費を制御する)を行ってください。

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