速報15 外国人のビザ|「単純労働」の緩和 ~在留資格「介護」と「特定技能」の関係~
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
注1:職業紹介は植村貴昭が行います (屋号:日本海外人材支援機構) 注2:特定技能の登録支援は 一社)日本海外人材支援機構が行います |
速報15 外国人のビザ|「単純労働」の緩和
~在留資格「介護」と「特定技能」の関係~
「介護ビザ」とは?
外国の方が、「介護職」で日本に在留する場合には、在留資格「介護」を取得するルートがひとつ挙げられます。
在留資格「介護」の正式な運用は、平成29年(2017年)の9月からでしたが、海外の方にとっては、非常にハードルの高い在留資格となっています。
その職務レベルは、実に専門性が高いものであり、介護現場のリーダー的な役割を担うことが期待されています。
この在留資格「介護」の獲得要件の一つに、「介護福祉士資格の取得・登録」があります。
つまり、在留資格「留学」で、日本の介護福祉士養成施設に2年以上留学をして、さらに、国家試験合格(平成29年から、国家試験の合格による国家資格となりました。※経過措置あり)をもって、ようやく、在留資格獲得のための要件を満たすということです。
介護福祉士は、専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含みます)を行ない、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行なうこと(以下「介護等」といいます)を業とする者で、国家試験に合格又は養成施設を修了した者が所定の登録を受けることにより、介護福祉士の資格を取得できるものです。 公益財団法人 社会福祉振興・試験センターHP
「技能実習ビザ」による介護職
これに対して、在留資格「技能実習」の目的は、建前上ですが、外国の方が学んだ技能を、母国に還元させることです。
「技能実習制度」自体は昔からありますが、介護職がその対象業務となったのは、平成29年(2017)からと、比較的新しいことに驚かれる方も多いのではないでしょうか。
在留資格「技能実習(介護)」で来日された海外の方は、「技能実習生」として、3年以上学び続けていれば、「特定技能」があるとみなされ、試験なしで、「特定技能1号」が取得できる、ということになります。
つまり、在留資格「技能実習(介護)」と、新しい在留資格「(介護の)特定技能」とは、密接な関係があるのです。
あたらしい「特定技能ビザ」による介護職
今回新設される「特定技能」は、あくまでも、日本経済における労働力の確保を目的とした在留資格であり、「技能実習」とは、目的を完全に異にします。
そうであるにもかかわらず、在留資格「技能実習」による実習修了によって、新しい在留資格「特定技能」の要件となるとすれば、その連続性の拠り所は、いったいどこにあるのでしょうか。
「特定技能1号ビザ」は「介護ビザ」への移行が可能
厚生労働省の谷内繁社会・援護局長が30日の衆院厚労委員会で、立憲民主党の尾辻かな子氏の質問に答えた。 現行制度の下で、在留資格「介護」は養成施設で2年以上学び、介護福祉士の資格を取った人に限って認められている。政府は、特定技能を創設する出入国管理法(入管法)改正案が成立したら、法務省令を改正して「特定技能1号」からの移行を可能にする。 朝日デジタル「「特定技能1号」の外国人、在留資格「介護」へ移行可能」
「特定技能2号ビザ」の対象は、建設業と造船業が予定されています。
当初、「2号」対象業種に「介護」が入ってくると予想されていましたが、上記の報道のように、在留資格「介護」との関係を考慮してか、結局は「1号」業務にとどまったようです。
©行政書士 植村総合事務所 代表行政書士 植村貴昭