特許(実用新案)の第1稿(初稿)納品時の確認のお願い内容

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

特許(実用新案)の第1稿(初稿)納品時の確認のお願い内容

最初に確認してほしいこと

納品された書類に間違いがないかを確認していただきたいです。

お客様から頂いた各種の資料を参照し、

かつ、Zoom等でご説明を頂いた内容をできるだけ正確に書こうと常に努力しております。

しかしながら、発明者本人ではないため、誤った理解などが人間(他人)である限り普通に起こりえます。

そして、誤った理解による記載は、誤記レベルであればいいのですが、そうでない場合、
特許等の場合どうやっても後で直せないのです(新規事項の追加になってしまいます。)

そのため、間違いが無いかの確認はしっかりやってほしいのです。
大変申し訳ございませんが、この点はしっかりとお願いさせてください。

そうはいっても難しい!のでまずは図面

という場合、まずは、図面を見ていただき図面上で問題が無いかを見ていただきたいです。
実は、次にお願いする、特許請求の範囲よりも重要度は低いのですが、
全体の理解をする、大きな間違いを発見するという点では、まずはここを見て、
間違いが無いか確認してほしいです。

書くべき例が掛かれていないとかを確認してほしいです。
例えば、自分では、車として4輪車が基本で説明したけど、2輪車も権利に欲しいという場合に、
2輪車について書いていないとか、そういう観点で確認してほしいです。

次は、特許請求の範囲(請求項1)

次に確認頂きたいところは、
特許請求の範囲です。

この特許請求の範囲=権利範囲

ですので、最も重要です。

少し難しい表現(もしかすると、大変難しい)が使われているのですが、
ページ数は、後述する、明細書(発明の詳細な説明)部分よりは、量は大幅に少ないから容易なはずです。

それでも多いという場合は、請求項1だけでも見てください。

その部分に記載されている文言を「全て」満たす他社製品があったときに、
権利行使をして排除できれば、守りたい範囲をすべて守れるかという観点で見てほしいです。

特許一体の原則(権利一体の原則)

この点についてもう少し詳細に説明します。

特許請求の範囲の請求項に記載された、文言の全てを満たす他社製品だけに対して権利行使が可能です。

例えば、特許請求の範囲の請求項で、「赤い」と限定してしまえば、赤以外の色のものに対して権利行使ができません。

そのような無駄な限定が無いか、逃げ道が無いかという観点で見てほしいのです。

この点について、下記のページも参照ください。
特許請求の範囲の重要性1|特許要件

今後の審査による限定

なお、この請求項1はいまだ審査官等の審査を経ていないので、
これからさらに限定などされる可能性があります。(むしろ、限定されるのが普通です)
(その点は、出願時には、分かりません。)

この点について、どうやっても、出願時に行うことは大変たいへん困難です。
 参照下さい→:特許調査(特許検索)の必要性!必要ないです!元特許庁審査官

この点について、は本当に心苦しいのですがどうぞお許しください。
そのため、最終的に新しくないや進歩性が無いという、最終的にことで権利が取れないということもありえます。
↑ ただ、権利が全く取れないということは、弊所ではあまりないです。
むしろ、コストの問題などでお客様が諦められることの方が圧倒的に多いです。

請求項2以降の確認

請求項2以降は、請求項1に比べるとかなり優先度が下がります。
そのため、ざっくりとみていただければいいのかなと思います。
もちろん、本当はしっかり見てもらいたいです。ざっくりだと、本当にお客様が欲しい権利となっているか心配だからです。

出願時の請求項の数と請求項1の広さ(クレームの広さ)

発明の詳細な説明

この部分についても、確認をお願いします。
ただ、ご自身この発明のポイント(1つである必要はないです。)であると思う部分以外はざっくりでもいいと思います。

背景技術~特許文献まで

納品された文章のなかで、最初に記載されている

【背景技術】
 【0002】
 特許文献1には、・・・・・が記載されている。

から

【先行技術文献】
【特許文献】
 【0009】
 【特許文献1】特許〇〇号公報

までの部分は、
正直、読む必要がありません。

特許の出願の形式として、従来技術を記載することになっているので、記載しているのにすぎません。

弊所では、非常に簡単に検索して、ちょっと関係するなという程度のものや、同一分野の特許文献などを、
適当につけています。

この部分をしっかりとしないとだめじゃないかと思われる方もいますが、
弊所はこの部分は何の意味もないと判断しております。

むしろ、この部分をしっかりと過去の文献を調べて、内容をしっかりと記載してしまうと、
特許の自由度が下がってしまい、むしろ有害とさえ、元審査官の経験から考えています。

つまり、あえておおざっぱに記載しているのです。

以下のページも参照してください。

特許請求の範囲の重要性4(調査していたら?)|特許要件
特許調査(特許検索)の必要性!必要ないです!元特許庁審査官

【発明が解決しようとする課題】及び【発明の効果】

この部分も正直読み飛ばしていただいて構いません。
この部分を細かく記載してしまう(適切に記載してしまう)と、
ここも、むしろ有害であると、むしろ有害とさえ、元審査官の経験から考えています。

ここもあえておおざっぱに記載しているのです。

理由は、上記の「背景技術~特許文献まで」と同じです。

話していないことを書かれた!

このようなご意見を頂くことがあります。
どうして、話していないことまで書いてしまうのか説明させてください。

(A)登録できないと困る

私だけでなく全ての弁理士は、せっかく多くの費用を出していただいて、特許出願をしてもらったのに、
権利化が全くできないという事態を恐れています。

「容易に、高い金を出して登録できないとはどうしてくれるんだ!!(怒)」

とのお?りを恐れているのです。
そのため、拒絶理由通知が来たときに、限定できるような要素を想像で加えてしまうのです。

(B)実施可能要件で問題とされると困る

また、特許法には実施可能要件という要件があります。
只のアイディアだと審査官に思われると、登録できなくなってしまいます。

この拒絶理由通知を受けると対応するのが極めて難しいです。

この拒絶理由通知は、詳細に記載しておくと回避できる可能性が高まります。
この理由でも、弁理士は、お客様に言われていないことも含めて、
記載しておきたいと思ってしまうのです。

(C)別に問題ない

これらの目的で、お客様のお話になっていないことが記載されていることがありますが、
その部分は、いつでも削除可能ですし、それだけでは、権利範囲に何ら影響がないのです。
それどころか、上記(A)(B)を回避するために有効です。

そのため、あって困ることはないです。

検討時間

上記の検討について、時間がかかることは当然です。
しかし、出願が遅くなると、その分、他人が同じ出願をする可能性が増えてしまいます。
そのため、一定の時間の範囲で納めていただく必要があります。
もちろん、急ぐ必要が無いという場合は、お好きなだけ検討いただいて構いません。

修正時間

できるだけ、修正には時間をかけずに対応したいと思っております。
しかし、修正内容が多い、理解が困難という場合には、時間を頂戴してしまいます。

また、他のお客様も自分の出願を第一にと思っていることは同じです。
そのため、すぐに修正に着手できない場合もあります。
体が一つであるため、お許しください。

追加料金

基本的に、弊所は、追加料金を頂いておりません
しかし、発明の追加、実施例の追加が多くなると、当初見積もりの範囲を大幅に超えてしまう可能性がありあます。
その場合には、大変申し訳ございませんが、追加料金をお願いしてしまうことがあります。
申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

当初の見積料金は、最初にお話しいただいた内容を、全て文章にしたらという見積もりであり、
追加の事項がある場合まで、考えて見積もりをすることはできないのです。
お許しください。

最後にお願い(懇願)

特許は最初に出願した(1日でも早く出願)人が勝つ仕組みになっています。

そのため、出願した後に新しいことを加えることは法律的にできません。
この時(出願の時)に、書いていないことは一切追加できないのです。

本当は、お客様の頭の中にあることを私どもが全部言語化できればいいのですが、
それは人間であることからどうしてもできません。

それどころか、大変申し訳ございませんが、
お話いただいたことも、どうしても人間ですから書き漏れが十分にあり得ます

書いてはいても、その部分についてお客様が大変重要だと思っていても、
私どもにはその部分の重要性がわからないということも十分にありえます。

あとから、ここが違う、ここが書き漏れである、ここについてもっと書いてほしかった、ここも権利でほしい、
などと言われても、法律的にどうにもならないのです。

このようなことがないように、いつも努力しておりますが、
大変申し訳ございませんが、後から問題が発見されるということは大変良くあります。

(神ならざるものなのでどうしても常に発見されます。というか、後から、ここをこうしておけばと思わなかった出願は実は1件もありません。
 後知恵では、どんなものでもケチは付けられるのです。)

そのため、大変申し訳ございませんが、

納品された書面について、しっかりとチェックをお願いします。

このチェックを漏れてしまったものについて、弊所としては責任を負うことができません
プロなんだからといわれるかもしれませんが、上述のように神ならざる者には同省もありません。お許しください。

関連ページ

この記事の内容は約款の内容と大いに関係します。
ご請求書等にも記載しておりますが、↓のリンクも今一度ご確認いただけるようにお願いします。
約款(弁理士 ・行政書士・株式会社・一般社団法人 植村総合 事務所)

 

植村総合事務所 所長弁理士 元審査官 植村貴昭

  • 専門家(元特許庁審査官・弁理士・行政書士)に相談!

      必須お名前

      会社名・店舗名・屋号

      ※法人・事業主の方はご記入ください。

      必須メールアドレス(携帯電話以外のメールアドレスをお願いいたします)

      必須メールアドレス確認用(携帯電話以外のメールアドレスをお願いいたします)

      お問い合わせ内容・ご相談内容・ご質問内容があればお書きください

      大変申し訳ございません匿名・偽名・名のみ・姓のみのご質問にはお答えできません