明細書(発明の詳細な説明)|特許要件
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
明細書(発明の詳細な説明)|特許要件
特許請求の範囲の重要性は、
前のこのページ特許請求の範囲の重要性1でご理解いただいたと思います。
特許請求の範囲が極めて重要であり、あくまで、その説明に過ぎないというのが、
この明細書(発明の詳細な説明)に部分になります。
弁理士等に書いてもらったものをチェックする際にも有用な記載としてあります。
明細書(発明の詳細な説明)の役割
前述のように、発明の詳細な説明は特許請求の範囲の説明に過ぎないという部分
以外の役割は以下の①と②の2点です。
① 拒絶理由通知が来た場合の対応
特許取得の拒絶理由通知にこだわる理由などで説明したように、
拒絶理由通知は極めて高い確率で来ます。
95%以上だと思います。
そのような場合、反論は可能で、
その反論こそが我々弁理士の腕の見せ所になります。
その時、大抵は、特許請求の範囲をより具体的に限定していくことになります。
その場合の、限定する内容が、明細書(発明の詳細な説明)に書いてある必要があります。
もし、書いていないと、新規事項追加という新たな拒絶理由となってしまうことになります。
具体的には、特許請求の範囲の重要性2(複数のポイント)|特許要件のところで、
記載したように、複数想定される発明のポイントへ限定していくことになります。
場合によっては、想定されていないポイントへの限定をしていくことになります。
その時、明細書(発明の詳細な説明)部分に書いていないことへの変更のために、
明細書(発明の詳細な説明)部分の記載は重要なポイントになります。
したがって、
明細書(発明の詳細な説明)=拒絶理由通知への対応のための記載
なお、拒絶理由通知は審査段階でも来ますし、拒絶査定不服審判の時に来ますし、
更には、拒絶理由通知とは言いませんが、同じ状況は、侵害訴訟などでも直面するので、
これらの場合のためにも記載を充実させることは、重要です。
② サポート要件
発明の詳細な説明は特許請求の範囲の説明とのことを、
専門用語で記載した言葉が、「サポート要件」です。
これが満たされない場合、特許法第36条第4項の拒絶理由通知が通知されます。
つまり、特許が欲しいのであれば、その特許請求の範囲に記載して権利化を求める内容は、
明細書(発明の詳細な説明)に書いて説明してくださいね。
という要件です。
明細書(発明の詳細な説明)の作成
以上より、拒絶理由通知への対応のために、
出願の段階で、この拒絶理由通知へ対応することを想定して、
書き込んでおく必要があります。
弁理士の仕事で、最初の段階においては、
どれだけ、拒絶理由が来る可能性があるか、をあらかじめ想定して、
予防的に書き込んでおくことが重要です。
この能力というのは、弁理士でもかなり個人差があり、
いつまでたっても、全然できていない人もいます。
ある程度、しっかりこの辺りを検討してくれる弁理士を選択することが重要です。
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