アプリ名(プログラム)と商標権:登録する区分(類)

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

アプリ名(プログラム)と商標権

0 結論

区分 商品等の例
第9類 アプリ、プログラム、CD、DVD、音楽の電子ファイル、ゲームソフト、電子書籍、サングラススマートフォン用カバー,スマートフォン用ストラップ
第42類 オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS),コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータに関する指導・助言
第35類 広告及びマーケティング,デジタル広告,様々な種類の消費者製品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(オンラインによるものを含む。),オンラインの百貨店による衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネット・コンピュータネットワーク・電子ネットワークを通じて行うコンピュータソフトウェアの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯型デジタル式電子応用機械器具及びその他のコンシューマ用電子機器に用いるコンピュータソフトウェアの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告業,コンピュータネットワークでのオンラインによる広告,広告物の配布
第?類 その他、売りたいものに対応した商品・サービスを取る必要がある。

詳細は、以下を読んで下さい。

1 歴史:アプリって何の商品・役務なの?

(1)原始的な状態:各製品(テレビならテレビ、炊飯器なら炊飯器)

昔は(今も)、決まったハードを動かすためのプログラムは、
そのハードと一体不可分だったため、プログラム自体だけを売買するということは、
ほぼ考えられない状態でした。

その為、プログラムについて独立してた商品として
登録しようということはありませんでした。

つまり、炊飯器、テレビなどの家電、測定装置、自動車などに、
プログラムは含まれていても、
それぞれの製品について取得すれば足りるという状態でした。

(2)パソコンの登場 (プログラムの入ったCD-ROM等)

それに対して、プログラムさえ入れれば、
どのような処理でも可能な汎用コンピュータが登場しました。
そうすると、製品と切り離されたプログラムだけが流通するようになりました。

ただ、その時代は、プログラムが入った何らかの媒体
(フレキシブルディスク、CD-ROM、USBメモリ等)を購入して、
それをその、パソコン等にインストールしていました。

その結果、独立したこれらCD-ROM等の商品を商標登録するために
9類に 所定のプログラムを記憶した記録媒体という指定商品
が存在することになります。

(3)ダウンロード可能なプログラム

それから、インターネットなどが普及するにつれて、
記録媒体を購入するということではなく、単にダウンロードするだけになっていきました。

そうすると、記録媒体では対応できなくなったものの、
それに対しては、特許庁は、プログラムは物であるとすることによって、

従来、記録媒体に記録していたプログラムを9類において直接保護するようにしました。

(4)現在1:メンテナンス料での課金(サブスクリプション

(2)(3)の場合はいずれも、ユーザはそのソフトについて有料で購入したいという、
プログラムを購入するという利用方法でした。

しかし、現在、携帯電話などにインストールしているアプリについても、
ダウンロード可能なプログラムでいいのだろうか?
ということが疑問になってきています。

具体的には、アプリは現在無料で配っていないだろうか?
もしくは、無料とまでは言えないものの、その後のメンテナンス、
継続利用についてお金を払っているのではないだろうか?

ということになってきているのです。
そうすると、ユーザがお金を払っているのは、プログラムではなく、
サービスということになってきてしまうのです。

そうすると、物から離れたサービスの分類である35類や、42類が対象になってきます。

(5)現在2:特定の商品やサービスを売りたいために無料でアプリを配布

さらに、現在、アプリは完全に無料(もしくは、無料に近い値段)にしつつ、
そのアプリを使ってもらうことによって、特定のユーザを囲い込んだり、情報を得たりして、
特定の商品や、サービスの購入をしてもらうという流れをも生じて来ております。

そうすると、アプリ名が使われているのは、
その特定の商品やサービスに対してということになりますので
取得する必要があるのは、その特定の商品やサービスということになります。

2 検討しなければならないこと

それは、特定のアプリのその名前で、何を売りたいのか?
を根本に立ち返って、検討する必要があるということになります。

アプリ=プログラムだから、9類でいいということではないのです。

そのため、アプリの商標出願の場合、
弊所では、いつもとても、頭を悩ませます。

お客様は、真に何を売りたいのかということをまず検討しなければなりません。

さらに、アプリや、メンテナンスのところを捨てていいのかというと、
やはり、そこも捨てて、将来、問題が生じないのか?ということも問題になります。

さらに、関係しそうなところを全部取ってもらえれば簡単でいいのですが、
それには、費用がかかるため、お客様の負担を考えて、
増やせばいいということでもないです。

類の決定のために考えること

3 取得する分類

(1)取得の確率の高い分類

取得したほうがいいのではないかと思われる分類

区分 商品等の例 コメント
第9類 アプリ、プログラム、CD、DVD、音楽の電子ファイル、ゲームソフト、電子書籍、サングラススマートフォン用カバー,スマートフォン用ストラップ
コンピュータ系の場合必須です。今はスマートフォン関係にグッズなどが多く売れているため、需要が比較的大きいです。
第42類 オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS),コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータに関する指導・助言 アプリケーションの提供の部分は個々になります。
第35類 広告及びマーケティング,デジタル広告,様々な種類の消費者製品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(オンラインによるものを含む。),オンラインの百貨店による衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネット・コンピュータネットワーク・電子ネットワークを通じて行うコンピュータソフトウェアの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯型デジタル式電子応用機械器具及びその他のコンシューマ用電子機器に用いるコンピュータソフトウェアの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告業,コンピュータネットワークでのオンラインによる広告,広告物の配布 オンラインで販売や広告をするということであれば、この分類が視野に入ってきます。
(2)その他、ケースによって検討すべき分野

化粧品であれば化粧品(3類)、サプリメントであれば(5類)、なんらかの食品であれば(29類、30類)、セミナー学習関であれば(41類)、飲食店であれば(43類)
保険などの金融商品であれば(36類)、健康についての助言などであれば(44類)
という風に、それぞれ検討が必要です。

繰り返しますが、
アプリ=9類のプログラム
という簡単なものではない!!

ということになります。

 

商標全般については、↓こちらのページです。

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