カタカナ・ローマ字(英語)・ひらがな・漢字の関係(どれか一つで商標取得した場合)
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
カタカナ・ローマ字(英語)・ひらがな・漢字の関係(どれか一つで商標取得した場合)
商標の登録とは
商標は出願した際に表した通りのものが登録されます。
のように、「MS 明朝体」で打った文字は、その明朝体をも含めて登録されます。
また、「王」と「様」の間にスペースなどがある場合には、そのスペースをも含めて登録されます。
さらに、王様のしたに「OSAMA」と書いてある場合も、その部分も、その位置関係も含めて登録されます。
縦書き、横書きも含めて、全てその通り登録されるのです。
したがって、このような漢字で登録した場合には、
ひらがな、ローマ字、カタカナは、登録されていない!
ということになります。
では保護されていないか?
となると、「王様」を登録しても、ひらがな、ローマ字、カタカナは登録されていないため、
意味がいない、又は、それらも登録しなければならいのですか?
との相談を受けることがあります。
確かに、前述のように登録されるのは「王様」でそのフォント、位置、並びなどすべてについて、限定されたものです。
しかしながら、商標は、類似の範囲も保護されています(=他人の使用を排除できます)。
類似の範囲に入れば、たとえ、同一でなくても保護されるのです。
類似の範囲
ではどこまでが、類似の範囲かという問題になるのですが、
この点は実は大変難しいです。
最終判断権者は、訴訟になった際の裁判官(又は特許庁の審査官・審判官)になります。
そのため、弁理士の立場では、類似の範囲を確定的に申し上げることは困難です。
しかし、一般には、称呼・外観・観念が同じか類似であれば、
商標全体も類似とされることになっております。
一般的には
そのため、ローマ字、カタカナ、ひらがな、の間では、
通常は、類似とされる確率が高いです。
他方、英語となった場合「KING」と「王様」では、類似とされる可能性が下がってきてしまいます。
類似度が下がる可能性
ただし、一般的には、カタカナでのみ表記される言葉。
「イングリッシュ」と「いんぐりっしゅ」とは、類似関係があるかは微妙です。
また、英語で難しい単語、フランス語等のその他の言語では、
一般消費者が、正しい読み方を読めるかは微妙になってきます。
その場合、英語表記等が、そのまま、カタカナ・ひらがな表記と類似性があるかは微妙になります。
商標登録以外の表記も使って宣伝するのですが?
例えば、「王様」で登録(出願)するとしても、
他の表記でも取得したほうがいいのですか?
との質問に対しては、
取っておいた方がいいです!!
と答えざるを得ません。
しかしながら、商標出願(商標登録)にはコストがかかります。
そのため、とっておいた方がいいですが、
① コストを抑えたい
② この言葉が取れるかどうかまだわからない
③ この言葉が有名になるかわからない
という段階では、まずは、よく使う1つだけを出願しておいて、
もう少し、状況が確定したら(有名になってきた、先の出願が登録なった、資金に少し余裕ができた)
という段階で、他の出願をしたらよいのではないかと一般的には思います。
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