youtuber(ユーチューバー)の名前を商標登録する場合
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
YouTuber(ユーチューバー)の名前を商標登録する場合
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キャラクター権については、このページもご参照ください
UUUM株式会社さん(YouTber(ユーチューバー))の登録まとめ
1 芸名を登録する
(1)最近の事例
ユーチューバーの名前(=芸名)について登録するということが実務として行われています。
詳しく説明すると、
芸名の場合、芸能事務所がその芸名を登録しておくということは、多くなされているようです。
それに対して、ユーチューバーは芸能事務所はないため、
ユーチューバー自身が商標登録するということが行われております。
弊所も過去、何度かユーチューバーの登録を行ってきました。
その際の注意点をまとめたいと思います。
まずは、登録例を少しだけ調べてみると、
さん等の事例があります。
なお、芸能事務所に近い、UUUMさんの登録は、このページにまとめました。
(2)結果登録するということになる。
なぜ登録するのかというと、
ユーチューバーの場合も、芸能人と同じように、名前自体に集客効果があるからです。
2 芸名は商標なのか?
本来的には、ユーチューバーの名前(芸名)は、商品やサービスを表すものではないというのが、基本的な考え方です。
ただ、グッズ展開などをするなら、当然商標が必要です。
また、そうではなくても、他人にとられると大変ですので、とっておいた方がいいとは思います。
3 登録するならどの区分(類)か?
(1)一般論
芸能人として、どこを取っておかなければならないかというと、
実は、ぴったりとした分類は無いのです。
芸能活動については、そのようなサービスの区分は存在しておりません。
その為、グッズの時と同じように、関係する部分を取っておく必要があります。
(2)芸能活動に一番近い区分
芸能活動では、一番近い分類が以下になります。
区分 | 商品等の例 | コメント |
第41類 | 音楽の演奏、イベントの企画、ビデオの制作、娯楽の提供、電子出版物の提供 | 娯楽の提供というのが一番近いかなと、思います。 |
たまに、キャラクターグッズで出したいというざっくりとしたご依頼があります。
残念ながら、キャラクターグッズという商品は、
特許庁が何がキャラクターグッズに入るか分からないため、特許庁は認めておりません。
その為、具体的に商品を選ぶ必要があります。
(3)よくある登録例
区分 | 商品等の例 | コメント |
第5類 | サプリメント | サプリメントが必要ということは少ないかと思いますが、一応入れておきます。 |
第9類 | アプリ、プログラム、CD、DVD、音楽の電子ファイル、ゲームソフト、電子書籍、 等 |
コンピュータ系の場合必須です。今はスマートフォン関係にグッズなどが多く売れているため、需要が比較的大きいです。 |
第14類 | 身飾品(アクセサリーなど)、キーホルダー、バッジ、メダル、 |
貴金属のアクセサリなどの小物もキャラクターグッズの対象であることが多いです。 |
第16類 |
シール、マグネット、印刷物(カード、ポストカードetc),
|
印刷物の場合に、必要があるかといわれると微妙ですが、取っておいた方がいい場合が多いと思います。 |
第18類 | かばん類,袋物等 | かばんや、ポーチ等にキャラクタグッズがついている場合も多いのでその時には、使われます。 |
第20類 | クッション、まくら、プラスチック製包装容器(お弁当箱等)、 |
|
第21類 | マグカップ、歯ブラシ、ヘアブラシ、食器等 | |
第24類 | 布製身の回り品(タオル,ハンカチ)等 | タオルハンカチも多くあります。 |
第25類 | 服、靴、帽子等 | 服・靴も多いです。 |
第26類 | 頭飾品、ワッペン、ブローチ、衣装用バッジ等 | バッジなども多いです。 |
第28類 | おもちゃ等 | おもちゃも多いかと思います。 |
第30類 | お菓子、コーヒー、お茶、パン等 | お菓子にキャラクタがついていることも多いのです。 |
第32類 | 清涼飲料、ビール等 | なおその他の酒は33類 |
第35類 | 各商品の小売(キャラクタグッズ屋などです)・広告業 |
ただ、あくまで小売業なので、商品自体にそのキャラクターを付けて売るという場合には本来的に合致しません。※後述します。 広告主の広告を見させることを目的にしているということで、広告業ということもできそうです。 |
第41類 | 音楽の演奏、イベントの企画、ビデオの制作、娯楽の提供、電子出版物の提供 | イベントのキャラクターの場合などは、これも検討すべきです。 |
(4)費用
費用感としては、1区分目でパック(各種費用全て込み)で
20万円で、1区分増える毎に+10万円になります。
(オリジナリティの高いキャラクターの場合、オリジナリティの高い文字だけの場合、
上記額よりも大きく値引きします。)
この費用は、すべて取ると、すごい値段になるので、しっかりと考える必要があります。
なお、たくさん出すような場合は、弊所の場合は値引きします。
4 小売り(35類)についての検討
予算がないという場合に、第35類(小売り)だけという選択しもあろうかと思います。
この場合、1区分で、全ての商品の小売りを取れるので、魅力的に見えます。
事実、そのような場合に、弊所としては苦渋の決断ですが、それをご提案する場合もあります。
ただし、その場合には、比較的大きな危険性があることも、理解いただきたいです。
具体的には、小売りとはあくまで、高島屋や、楽天の様に製品を作らずに、
他のメーカが作ったものを、消費者に販売するというのがサービスなのです。
そのため、グッズに直接その商標が付くことは、基本的に無く、
持って帰るための袋、手提げなどに商標が付くものが基本なのです。
そのため、基本的に第35類を、このような目的で使用するのは、
どうしてもという場合にさせていただいております。
5 広告業(35類)についての検討
ユーチューバーへお金を払っているのは、ユーチューブですが、
そのお金は、もともと広告主です。
そして、ユーチューバーは、広告を見てもらうために、
様々な、娯楽を提供しているということもできます。
そのため、広告業ということも可能だと言えます。
6 「娯楽の提供」(41類)についての検討
娯楽の提供が本当に、職業といえるかは微妙ですが、
特許庁の指定役務で、娯楽の提供が登録されておりますので、
ここもしっくりくると思っております。
7 調べて思ったこと。意外と登録が少ない
調べて思ったのですが、かなり有名なユーチューバーであっても、
商標登録している例は多くないです。
名前で検索してもらうというよりも、
面白い動画を上げて、その後登録してもらうという形が多く、
集客では、名前はそれほど重要ではないということもあるのかと、思いました。
関連ページ
UUUMさん(YouTber(ユーチューバー))の登録まとめ
商標全般については、↓こちらのページです。
©植村国際特許事務祖 所長 弁理士 植村貴昭