商標法第3条第1項第4号|商標拒絶理由対応編|商標の教科書
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
商標3:拒絶理由対応 3条1項4号対策
1 問題提起
商標の拒絶理由通知で、あまり多くはない拒絶理由通知ですが、
あまりよく考えずにつけた会社名の場合よく通知されます。
具体的には、
長谷川工務店、豊田商事、東京銀行、田中組、行政書士 植村総合事務所、株式会社鈴木等
です。
2 この拒絶理由通知の解説
(1)条文
商標法第3条第1項第4号は次のように規定しております。
「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、
商標登録を受けることができる。
(中略)
四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」
(2)解説
① ありふれた氏
この条文は、鈴木、田中などの氏を出願した場合に適用されます。
ありふれたというのは、基準があいまいなのですが、審査官が電話帳を調べて、
それなりの数(それなりが不明です。)があればありふれたと判断していると聞いております。
ここで、重要なのは、氏名ではなく「氏」であることです。
氏名の場合にはこの条文の適用はないです。
氏名の場合には、商標法第4条第1項第8号の拒絶理由通知です。
② ありふれた名称・・・1
著名な地理的名称(東京、日本、薩摩、フランス等)が該当するということです。
ここからわかるのは、古い地名(加賀、蝦夷)なども、外国もダメということです。
東京の更に地方となると微妙ですが、銀座などはこれに該当する可能性が高いです。
③ ありふれた名称・・・2
業種名もありふれた名称として例に上がっています。
具体的には、工業、製薬、保険、などです。
④ ありふれた名称・・・3
イ 商号や屋号に慣用的に付される文字
「商店」、「商会」、「屋」、「家」、「社」、「堂」、「舎」、「洋行」、「協会」、「研究所」、
「製作所」、「会」、「研究会」等
ロ 会社等の種類名を表す文字
「株式会社」、「有限会社」、「相互会社」、「一般社団法人」、
「K.K.」、「Co.」、「Co., Ltd.」、「Ltd.」等も、ありふれた名称になります。
⑤ 今あげてきた各ありふれた氏
ありふれた名称の組み合わせもこの条文に該当することになります。
例えば、弁理士 植村総合事務所、田中商事などです。
正直厄介なのが、この組み合わせです。
どんだけありがちな名称を組み合わせても、この拒絶理由通知が来てしまう
可能性があるということです。
⑥ この条文の厄介な点は、指定商品・指定役務との関係性がなくても、
この条文に該当してしまうということです。
この点では、商標法第3条第1項第3号よりも指摘されると厳しいです。
3 対応案
正直、この拒絶理由通知に
以下に、対応案を列記して解説します。
(1)「普通にもちいられ」ていないとの反論
この条文は、普通に用いられる方法で表示する場合だけ、適用されます。
その為、出願商標が普通の方法での表示ではないとの反論があり得ます。
(2)「ありふれていない」との反論
例えば、辞書に載っていないとかを理由に、ありふれていないという反論があります。
(3)過去の登録例
過去に似たような名前、名称で登録例があれば、それを付けて平仄を取ってください
(同じようにしてください)という反論があり得ます。
(4)対応が難しい場合
その場合は、ロゴで出しなおす。前後、中間に、言葉を足して出しなおすことが可能です。
4 その他
正直これに対する反論はかなり難しいです。
また、拒絶理由対応のまとめページは以下です。
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