コラム(各種情報)
第26回 小泉内閣時の特許庁の一部民営化。工業所有権情報・研修館が独立行政法人に。
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
小泉内閣時の特許庁の一部民営化。
工業所有権情報・研修館が独立行政法人に
植村のコラム26
前回から、小泉改革時の特許庁の様子を書かせていただいております。
今回はその続きです。
ノルマの増大とそれに対する厳密な管理が始まっただけではなく、
小泉改革は民営化を推し進めました。
その中で特許庁(経済産業省)にも、
民営化できる部署を探せ、という指令(圧力)が来ていたのだと思います。
その際、経済産業省の方々にしてみれば、特許庁が適切に見えたのだと思います。
私に来ている話によると、特許庁を民営化することによって、
経済産業省の他の部分を民営化しないように交渉するということのようでした。
その時の特許庁内部の状況は、民営化されることについて
肯定的な意見も比較的若手の方からの意見もあったように思います。
他方、特許庁の上の方の方々は民営化はそんなにいいことばかりじゃない
という風に判断したのだと思います。
その上層部から、入庁10数年ぐらいの先輩に指示があったと聞いています。
どういう指示がというと、若手に民営化しても良いという空気があるが、
その若手を集めて勉強会を開いて、民営化が良いことばかりではないと説明しろ
ということだったようです。
実は私も、民営化したら給与が上がるなんて言うことを聞いていたので、
いいんじゃないかなぁなどと、思っていた口でした。
そういった努力もあって、特許庁は民営化されずに残りました。
それが本当に良かったか否かはよくわかりませんが、ただ言えるのは、
その当時に比べて、特許庁の審査は早くなり、
より均一な審査がなされるようになったと思います。
ただ、聞くところによると、特許庁の職員は今や、
隣の席の人とも一言も話さず、黙々と机に座って仕事をしているということです。
人と話していると非常に目立つというような状況と聞いています。
非常に素晴らしい状況なのだと思いますが、そこまでして、
人間のメンタルはだいじょうぶなのだろうかと、少し心配です。
正直、私が残っていたら、おそらく、精神が持たなかったろうと思います。
以上で、特許庁は民営化されなかったと申し上げましたが、一部民営化されました。
工業所有権情報・研修館と現在呼ばれる組織が、この時、独立行政法人となりました。
さすがに、特許庁も無傷で民営化されない
というわけにいかなかったということなのだと思います。
なお、この一連の小泉改革の際に、
実は特許庁(現在 経済産業省所属)と文化庁(現在 文部科学省所属)とを
くっつけて、知的財産庁の様なものをつくるという構想もありましたが、
結局実現しておりません。
その理由は以下の理由と聞いております。
特許庁は数千人の規模の省庁です。他方、文化庁は数百人規模の省庁です。
そのため、一緒になると特許庁(経済産業省)が
ほぼ支配することになることが明白だったので、
権益を失うのを嫌った文部科学省側が強く反対したと聞いております。
なんか、書いてて思ったのですが、伝聞が多いですね。
ただ、正直このあたりのことは、本当に上層部しかわからないことなので
伝聞でしかお伝えできませんし、
上層部の人はこのようなことを公に書いたりしないのでこの程度の伝聞であっても、
文章にすることに少しは意味があるかと思っています。
さて、この小泉改革の話は一応終わらせたので、
次は、ちょっと毛色を変えて補助金について記載したいと思います。
ではでは、また来月!
以上
特許庁のHPはこちら